CNET を買収した、米中堅ネット企業の メディアビジネス :100以上のサイトを運営するレッドベンチャーズ

レッドベンチャーズ(Red Ventures)はインテントメディア、つまり何らかのプロダクト購入を検討している消費者をターゲットに、プロダクトの売り込みをおこなうメディアの企業だと呼ばれることを嫌っている。

ノースカロライナ州シャーロットを拠点とするメディア企業レッドベンチャーズはCEOのリック・イライアス氏によって2000年に創立された。先日、レッドベンチャーズはCNETメディアグループ(CNET Media Group)をバイアコムCBS(ViacomCBS)から5億ドル(約526億円)で買収すると発表して話題を集めた。彼らはここ5年間で静かに100を越えるニュースサイト、情報サイトからなるポートフォリオを形成しており、全世界で毎月3億人のオーディエンスにリーチしているという。

CNETの買収はレッドベンチャーズによる2020年4つ目の買収である。その内訳は、メンタルヘルス関連のサイトであるサイキセントラル(PsychCentral)、マットレスのレビューサイトであるスランバー・ヤード(Slumber Yard)、OTTサービスや関連するプロダクトをレビューするサイト、コードカッターズ・ニュース(Cord Cutters News)だ。

アフィリエイトに必須のメディア

レッドベンチャーズのサイトのほとんどはディスプレイ広告からある程度の収益を得ており、コムスコア(Comscore)によると2020年7月には7500万人の月間ユニークユーザーを集めた医療情報メディアのヘルスライン(Healthline)のように、大きなオーディエンスを集めるサイトもある。

しかし彼らのポートフォリオがほかのメディア企業と異なっているのは、アフィリエイト手数料で収益のほとんどを稼ぐサイトの存在だ。クレジットカードや引越し業者、電気サービスなど、高額な「買い物」の売上を牽引することでこの手数料を獲得している。クレジットカードのようなカテゴリーの場合、コンバージョンが高いパブリッシャーであればユーザーひとりにつき、手数料が数百ドルにも達することがある。

株式未公開であるレッドベンチャーズは各サイトの収益を公開していない。彼らのサイトはアフィリエイトマーケティングを狙う銀行やクレジットカード会社にとって必須のバイイング先だ、とメディアバイヤーたちは言う。

巨大なポートフォリオでビジネスを拡大

しかし、「プロダクトを買わせる」ことにフォーカスしたメディアを持っているとしても、インテントメディア企業だと指摘されることにレッドベンチャーズの幹部たちは嫌悪感を示す。

「インテントメディアという用語は非常に狭いと思う」とテクノロジー・メディア部門プレジデントであるマーク・マコラム氏は言った。「我々はメディアビジネス全体を成長させており、そこにはニュースコンテンツも含まれる。ファネルの上部に位置する動画コンテンツも含まれる。比較やレビュー、アドバイスを扱うコンテンツも含まれる」。

ポートフォリオを拡大する狙いは5年前に始まったとマコラム氏は言う。そのいくつかは買収を通して進められた。2016年には航空会社とクレジットカードのポイントやマイルにフォーカスしたサイト、ポインツ・ガイ(The Points Guy)を所有していた消費者金融のバンクレイト(Bankrate)を買収。2019年にはヘルスラインと大学向けのデータプラットフォームを提供するハイヤーエデュケーション(HigherEducation)を買収した。買収だけでなく、社内での開発を通じての拡大もある。

レッド・ベンチャーズと彼らの広告主たちが消費者を購買ファネルへと招きいれ、その先で(理論上は)購買させることができるようなサイトを集める計画は、ポートフォリオ戦略の要素のひとつとなっている。最初のサイトで消費者は貯蓄に関するコンテンツを読み、ふたつ目のサイトでクレジットカードについてリサーチし、3つ目のサイトでクレジットカードに申し込む、といった具合だ。

レッドベンチャーズは匿名のままでユーザーを追跡する機能を使い、業界のカテゴリーごとにサイトを横断して訪問者をトラッキングしているとマコラム氏は言う。また自社データも利用し、訪問者へのオファーやサイト体験をカスタマイズしている。

パートナーシップでさらなる成長を狙う

いくつかのサイトにおけるコンテンツのリーチを伸ばすために、レッドベンチャーズは他のメディア企業とパートナー関係も結んでいる。ポインツ・ガイが2017年から提供しているパートナー配信プログラムがその例のひとつだ。このプログラムを通じて、トラベルとクレジットカード関連のポインツ・ガイの記事はビジネスインサイダーからCNBCに至るまで、多くのほかのサイトにシェアされる。

「アセットを所有しているだけでは意味がない」とマコラム氏は言う。「(アセットを活用して)私たちは情報を発見する助けとなるビジネスをしているのだ」。

パートナーシップの多くは純粋にコンテンツの配信をするだけだが、最近ではそれ以上の関わりを見せてもいる。6月にはタイム(Time)と提携し、パーソナルファイナンスに関するコンテンツを揃えるネクストアドバイザー(NextAdvisor)をリニューアルすることを発表した。ネクストアドバイザーは、2017年に彼らがバンクレイトを買収した時に獲得したサイトのひとつだ。

タイムにとってこの新しいパートナーシップは初めての経験だと、同社のプレジデントであるキース・グロスマン氏は言う。レッドベンチャーズはネクストアドバイザーのコンテンツを監督するために、老舗パーソナルファイナンスメディアであるマネー(Money)の元編集長アダム・オーリエマ氏を雇用するなど、タイムの編集者たちがパートナーシップに安心して取り組めるようにするために尽力した。

「レッドベンチャーズと取り組むのはネクストアドバイザーが最後ではないだろう」とグロスマン氏は語った。

[原文:‘Helping people discover information’: How Red Ventures grew into a giant

MAX WILLENS(翻訳:塚本 紺、編集:分島 翔平)