脱・スマホ、OMO事業部…国内動画メディアたちの挑戦:スポーツブル、デリッシュ キッチンの事例

国内の動画メディアは、オンライン/オフラインの垣根を超えた、新たな地平に可能性を見出している。

2019年9月4日、ブライトコーブが主催するイベント「REC ONE(レック・ワン)」が、TECH PLAY SHIBUYAで開催された。同社は、動画配信プラットフォームを提供する、テクノロジーベンダー。当日は、パブリッシャーを中心に、ブランドやエンターテイメント企業まで、幅広い領域のコンテンツホルダーが参加し、消費者の「可処分時間」を獲得するための勝ち筋はどこにあるのか、熱い議論を交わした。

登壇したコンテンツホルダーのなかでも、新しい取り組みに挑戦しているのが、スポーツ専門動画メディア「スポーツブル(以下、スポブル)」と、料理動画メディアの「DELISH KITCHEN」だ。両者とも、デジタルオリジンのメディアだが、オンライン/オフラインの垣根を超えたビジネスを推進している。

「脱・スポブル」「脱・スマホ」

スポブルがローンチされたのは2016年6月。最新の発表によると、現在のMAUは1300万、DAUは300万(2018年8月次点)にも及ぶ。その最大の特徴は、高校野球を中心に、プロだけでなく、アマチュアスポーツまで幅広いコンテンツを用意している点だ。また、60社を超える良質なスポーツ媒体と連携しており、コンテンツの質の高さにも定評がある。そんなスポブルが、戦略の軸として現在掲げているのが「脱スポブル・脱スマホ」「フォーマットの多様化」そして「熱狂」の3つだ。

スポブルには、ライブをはじめ、アーカイブやダイジェスト、さらにドキュメンタリーなど、さまざまなコンテンツフォーマットが存在する。しかし、運動通信社 代表取締役社長の黒飛功二朗氏は「スポーツの醍醐味は、実際に体を動かしたりスタジアムで試合を観賞するなど、リアルな場でスポーツを体験することにこそある」と語る。

そこでスポブルでは、トレーニング領域やチケッティングといった、スポーツ/運動に関わるオフラインでの接点や、オンライン/オフラインを融合したコンテンツフォーマットを、この秋以降、積極的に展開していくという。 「ユーザーには、アプリやWebのスポブルから離れて、もっとオフラインの世界でも、スポーツを楽しんで欲しい。『脱スポブル・脱スマホ』と謳っているのは、こうした意図がある」。

一方同社は、マネタイズの柱である広告事業にも、アップデートを加えていくという。「広告ビジネスはまだ、どれだけ広く、消費者にリーチできたかが、一般的な指標となっている。しかし今後は、ユーザーがどのコンテンツに、どれだけ熱狂しているか、これを可視化する必要がある」。そうすることで、趣味趣向やモーメントを捉えた、細かなターゲティングが可能になり、ユーザーの離脱を防ぐことができる。最終的には、可処分時間の獲得に繋がるのだ。

キーワードは「OMO」

オンライン/オフラインの垣根を超えたビジネスを推進しているのは、スポブルだけではない。「DELISH KITCHEN」を運営するエブリーはこの6月、タイアップやディスプレイ広告といった、メーカー向けの認知獲得を支援する、オンラインのソリューション事業と、全国各地の小売店の販売支援として、Webチラシやデジタルサイネージを提供する、オフラインのソリューション事業を統合し、OMO(Online Merges with Offline)事業部を設立した。

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エブリーが提供するデジタルサイネージ

 

エブリー 執行役員 DELISH KITCHENカンパニー OMO事業部長の鵜飼勇人氏は、同事業部設立の狙いをこう語る。「我々が目指しているのは、オンラインのデータだけでなく、小売店が持つ購買データを、プロダクトや、マーケティングソリューションの改善、そして新たなビジネスに活用するための仕組み(※下記の図を参照)作りにほかならない」。

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OMO事業部が提供するソリューションの概要

 

これが実現できれば、クライアント企業、そしてユーザーに対しても質の高いコンテンツを提供可能になる。結果、可処分時間の獲得にも繋がるというのが同氏の見立てだ。「いまはまだ、小売企業のみなさまからデータを提供してもらうことは難しいが、まずは彼らとの繋がりを強固にしていきたい」。

※DIGIDAY[日本版]は、REC ONEのメディアパートナーです

Written by Kan Murakami
Photo by Shutterstock(TOP)、エブリー(記事中)