パブリッシャーのQuartz(クオーツ)は、読者売り上げを多様化するため、次なる大きな動きを見せている。元来、広告に支えられたモデルとしてスタートしたQuartzは、11月にメンバーシッププログラムを開始した。Digiday Podcastは、Quartzの共同CEOであるジェイ・ローフ氏に話を聞いた。
パブリッシャーのQuartz(クオーツ)は、読者売り上げを多様化するため、次なる大きな動きを見せている。元来、広告に支えられたモデルとしてスタートしたQuartzは、11月にメンバーシッププログラムを開始した。
「広告への全面的な依存は、誰にとってもよくなかった」と、Quartzの共同CEOであるジェイ・ローフ氏はDigiday Podcastで語る。「確かに、Quartzではそれが当初の前提だった。多くの競争がペイウォールの裏側で繰り広げられ、潜在的なトラフィックや得られるリーチを抑えていた。だから、間口を広くすれば大きな広告基盤を得られ、取っかかりとなる基礎を築けるはずだった。ビジネス専門家にリーチするのは、この方針に沿っており、こうしたオーディエンスにとってさらに有益になる可能性があり、お金を払ってもらえるかもしれない、ほかのサービスを生み出せるという発想だった。それを起点に、我々はいま探りを入れている」。
Quartzの取り組みは、2018年6月の買収で強化された。創設されてから6年になるビジネスニュース専門の新興企業Quartzは、このときに、7500万~1億1000万ドル(約85億〜124億円)ほどで日本の経済情報メディア、ユーザベース(Uzabase)に売却された。デジタルメディア企業が投げ売りされつつある時代に、Quartzは依然として、業界で比較的明るく輝いている。差別化されたままにして、万人向けを目指さないというのが、その戦略だ。
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「Quartzは、直観に反していて、ほかとは違う何かを行うことに興味がある。最初に調べはじめたのは戦略だった。新しいグローバルビジネス専門家にサービスを提供するための共通戦略があった。2番目に吟味したのは文化だった。ユーザベースのウェブサイトにアクセスすると、Quartzと驚くほど一致している。読み込み速度やユーザー最優先、グローバルな視点を備えている点などが合致している。それは対話の最初のほうのやりとりで気づかされた」。
ローフ氏は、サブスクリプション事業や、投げ売り時代にQuartzが企業として価値を保った理由などについて語った。そのハイライト部分に編集を加えたものを以下に紹介する。
方向転換を避け、価値を維持
「一時のトレンドに資金を投入しないようにしていた。質に特徴のあるジャーナリズムを発展させてきた。広告の企画やユーザー体験については、本当に悩んできた。それが忠実なファン層を惹きつけてきた。ユーザベースは、ファン層の一部だ。足掛かりにできる有意義なブランドだ。かなり特殊なオーディエンスにサービスを提供するというのが戦略だった。そうした焦点は非常に重要であり、方向転換を避けるのに役立ってきた。実験は行ってきたが、完全な方向転換は一度も行わなかった」。
ユーザベースが関与するずっと以前には、サブスクリプションが話題だった
「11月13日に独自のメンバーシッププログラムを開始した。会員に支払いを求めているのは専用コンテンツだ。ユーザベースの話がはじまるずっと前に計画されていたことだ。そういったことに要求されるものを軸に、当初の想定の下で前進している。我々はQuartzでそれらを考え出した。ユーザベースから学びつつあるのは、サブスクリプションコンテンツの流れや、無料から有料へ人々をシフトさせるようなもので、我々は、日本が独特な市場かどうかについては慎重な姿勢を保っている。ほかの国とはまったく異なるかもしれない」。
メーター制課金の価値提案が不明だ
「サイトを毎月訪問する2000万人の人々で、幅広いユーザーファネルを築いてきた。ファネルのさらに下のほうには、日々のニュースやアプリ『Quartz ブリーフ(Brief)』、ニュースレターなどの購読者である忠実な読者がいる。そうした読者層を失いたくないが、そういったオーディエンスを育てる機会も失いたくない。いま見ているものは、ある特定のバーティカルメディアに深化しつつあり、ユーザーは今後、それに対して金を払うことになる。だから、ニュース記事にペイウォールを導入すべきかどうか、恣意的に決めようとするのではなく、ユーザーをよりスマートにする部分がある会員向けコンテンツに力を注いでいる。メーター制案がユーザーにとってどういうものなのかは、よくわからない。私には、潜在的に任意のものであるように思える。人々にもっと特別な提案をするほうがいい。我々がやるなら、ひとりでに表示され、Quartzへの認識を高める会員向けコンテンツを用意するだろう」。
規模が問われる時代が終わって久しい
「生き残らないといけないなら、何とかしてオーディエンスにとって不可欠な存在にならなければならない。人々が毎朝、アクセスする必要があるような存在になるのだ。Oath(オース)の規模でも、規模の面で競争できないので、規模で勝負するのをやめたほうがいい。それが、広告市場だけでなく消費者市場についても大いに物語っている。こうした政治情勢で、信頼できる情報源の場合は、金を払って支えなければならないかもしれないという事実に、我々は気づきはじめている」。
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Aditi Sangal(原文 / 訳:ガリレオ)