Facebookのリーチが大幅減少、警戒強めるパブリッシャー

DIGIDAY無料メルマガに登録しませんか?

平日朝9時にマーケティング業界の最新情報をお届けします。利用規約を確認


Facebookの苦悩が続いている。Facebookのリーチの減少について調査したMedium(ミディアム)への投稿記事が、パブリッシャーに警鐘を鳴らしているのだ。

投稿者は、米紙シカゴ・トリビューン(The Chicago Tribune)のデジタルニュース担当副編集長カート・ゲスラー氏。1月以降、ファン層が拡大したのにも関わらず、Facebook投稿のリーチが大幅に減少したという。

これをキッカケに、同様にリーチが減少しているという声がソーシャルメディアで上がった。以下が、そんなパブリッシャーから嘆きの声だ。

 

シカゴ・トリビューンでは、Facebookでの投稿のリーチに、微妙だが重大な変化が見られる。ほかにも同じ状態の人いる? http://bit.ly/2pxparQ

 

@kurtgessler 私にもいささか身近な現象だ。君だけじゃない。

 

@kurtgessler がデータをうまく処理してくれた。 twitter.com/tylrfishr/stat…

 

これはすごいね、@kurtgessler ―まだ数字をデータ処理してないけど、Facebookのリーチが低下しているのは確かだ。それに、我々はFacebookのインスタント記事を利用している。

 

Facebookによるニュースフィードのアルゴリズム変更は、長年に渡って、パブリッシング業界を一喜一憂させてきた。だが、米紙ボストン・グローブ(The Boston Globe)のオーディエンスエンゲージメント担当ディレクターであるマット・カロリアン氏は、次のように述べている。「3月はおそらく、この1年ほどのあいだでリーチが最悪だった。ほかの誰もが同じ状態なのは、いささか問題だ」。

「最初の頃よりも悪い状態」

宗教ニュースサイト、リリージョン・ニュース・サービス(Religion News Service)のソーシャルメディア担当編集者であるエイシャ・カーン氏も、Facebookのリーチが減少してきたと述べている。

「夏にリーチが急増し、賛否の分かれる大きな投稿でリーチが152万5000人に到達しはじめた。政治的な投稿だけでなく、あらゆるインタビューもそうだった。大きな反応を得る可能性があったものは何でも、大反響だった。だが、その後気がつくと、そうした動きが止まり、1月までには消えていた。いまは、最初の頃よりも悪い状況だ」。

そうした変化は、リリージョン・ニュース・サービスが、ライブ動画などの動画や写真、Facebookが推奨する投稿を増やしても起きた。だが、カーン氏によると、同サイトは、ライブ動画などの動画を全般的にもっと定期的に公開する計画で、まだ努力をしているという。

投稿が獲得するリーチ数には、投稿頻度やテーマ、Facebookが推進している手段など、多くの要因が絡むので、リーチ減少に関する意見はさまざまだった。リーチ減少はシカゴ特有の現象だという意見もあったが、ほかの市場のパブリッシャーも同じ傾向を報告していた。

敬遠されるニュースたち

ソーシャルメディアコンサルティング企業ワラルー・メディア(Wallaroo Media)のCEO兼創設者であるブランドン・ドイル氏は、追跡しているパブリッシャー約20社で、第1四半期にオーガニックリーチが減少したと語っている。Facebookがパブリッシャーのオーガニックリーチを抑制しているので、パブリッシャーは今後、投稿を宣伝するためにFacebookへ費やす時間が増えると、同氏は推測している。Facebookがまたアルゴリズムを調整中で、それをまだ公表していない可能性もあるという。

Facebookが、テキストの投稿よりも動画を好み、通常のリンクを利用しているパブリッシャーよりもインスタント記事のフォーマットを利用しているパブリッシャーを好むので、不利な立場に置かれているパブリッシャーもいるという説も支持が多かった。Facebookにコメントを求めたが、いまのところ回答はない。

一部のパブリッシャーのリーチが減少しているのは、政治関係の記事を読むことに人々が飽きつつあることや、トランプ大統領がニュースに対してハードルを上げようとしていることが理由ではないか、と考える者もいる。「かつては丹念にフォローしていたニュースソースすべてに嫌気がさした人々を知っている。おそらく、Facebookはそれに対応しようとしているのだろう」と、カーン氏は言う。

 

報道機関で働いていて、リーチをFacebookに頼っているなら(つまり、君たち全員だ)、これは必読だ。 medium.com/@kurtgessler/f…

 

@tylrfishr @kainazamaria @kurtgessler 私が推測するに、トランプ政権では何もかもがさらにとげとげしくなっている。幅広い国民が、「もっとホットな」話題に焦点を合わせるために、より多くのことをセーブしている。

 

ライフスタイルサイトは好調

複数のライフスタイルサイトが、これらの説を裏付けている。バイラルサイト「リトル・シングス(LittleThings)」は、動画にかなり入れ込んできて、3月はトラフィックが史上2番目の多さだったが、これは、Facebookでの参照トラフィックが引き続き好調なことを反映していると、共同創設者のジョー・スペイサー氏は語る(リトル・シングスは、多くのパブリッシャーがやっていないFacebookでのA/Bテストをやっていることも、成功の理由だと考えている)。「Facebookは、動画優先であることをかなり明確にしてきた。動画フィードは自ら楽しめる。動画はどこにでもある」。

デジタルライフスタイルメディア企業、スリリスト(Thrillist)の最高クリエイティブ責任者を務めるベン・ロビンソン氏は、Facebookでの参照トラフィックが史上最高になったのは、インスタント記事の導入とともに、動画を重視するようになったからだと思うと述べている。米大統領選前は政治報道が少ないせいで打撃を受けていたが、いまはその裏返しなのかもしれないという。

ゲスラー氏はその後のメールで、Facebookと協力して何が起きているのかを解明しようとしているが、リーチの低下は政治ニュースへの食傷や、シカゴ・カブスの108年ぶりのワールドシリーズ優勝と、その後の一服感とは関係ないと考えていると述べている。変化が大きすぎて、記事のテーマが問題だと結論づけることはできないように思われるそうだ。

「おそらく、あらゆることが少しずつ影響しているのだろう」と、ゲスラー氏は投稿で結論づけている。

オーディエンス源を多様化

理由が何であれ、投稿は、新たな自己分析と、Facebookがパブリッシャーのオーディエンスを掌握していることへの懸念をもたらした。「ニュースの大半をFacebookから仕入れるところは多い。プラットフォームで広まる質の高いニュースが全体的に減少しているなら、一般に、冷静な目で見て気がかりなことだ」とカロリアン氏。

Facebookの動画志向がひとつの要因であるのが事実ならば、動画に移行する態勢が整っているパブリッシャーはほとんどいない。ほとんどのパブリッシャーがFacebookでマネタイズできないメディアに、未経験であるにもかかわらず、苦労して移行しようとするべきではないのも明らかだ。それに、動画を増やすだけでは、パブリッシャーのFacebook依存が続く。過去に何度もやったように、Facebookはいつでもアルゴリズムをまた変更しかねない。

この問題は、検索やダイレクトなトラフィック、ニュースレターを通じて、パブリッシャーがオーディエンス源を多様化する必要性を示している、と見る向きもあれば、諦観の姿勢を見せる者もいる。

「私が思うに、我々はアルゴリズムにいわば翻弄されている。だが、つまらない反応を得ていて、読者が見ることもできない記事がたくさんある。常にそういうものであり、それを自分の仕事の流れに組み込む方法を見出そうとしている。画像をイチ推ししていたかと思えば、次は動画推し、ライブ動画推しだった。今後もこんな調子だと思う」と、カーン氏は言う。

Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)