Facebook依存の軽減を目ざすパブリッシャーたちが、あらためてLinkedIn(リンクトイン)に目を向けている。ビジネスの専門家のソーシャルネットワークとして有名なLinkedInだが、ビジネス分野以外のパブリッシャーたちも、利用できる場を求めてこのプラットフォームに着目しているのだ。
Facebookがニュースの優先順位を下げる計画を発表して以降、Facebook依存の軽減を目ざすパブリッシャーたちが、あらためてLinkedIn(リンクトイン)に目を向けている。
ビジネスの専門家のソーシャルネットワークとして有名なLinkedInだが、ビジネス分野以外のパブリッシャーたちも、利用できる場を求めてこのプラットフォームに着目しているのだ。
ニューズUK(News UK)傘下のタイムズ(The Times)とサンデー・タイムズ(The Sunday Times)は現在、LinkedInにはコンテンツを投稿していないが、同社は、LinkedInでの公開に今年は力を入れていく計画だという。
Advertisement
ハフポストUKは、LinkedInに寄せた、仕事に関する動画とテキスト記事のシリーズに取り組んでいる。また、ライフスタイルのパブリッシャーであるショートリストメディア(Shortlist Media)は、LinkedInに取り組む人員の採用を進めている。
動画への反応が顕著
ショートリストメディアはLinkedInから持ちかけられて、この2カ月、オーディエンスに適した動画コンテンツをテストしている。うまくいった動画に関するフィードバックの提供をLinkedInの英国チームは反対していないと、ショートリストメディアでマネージングディレクターを務めるオーエン・ワイアット氏はいう。同氏は隔週でLinkedInと会っている。
「すべてのプラットフォームを見渡したとき、オーディエンスと収益の拡大のチャンスがいちばん大きいのがLinkedInだ。LinkedInはコンテンツ企業と一緒に学ぼうとしている」と、ワイアット氏は語った。
フィナンシャル・タイムズ(Financial Times:以下、FT)やエコノミスト(The Economist)のようなパブリッシャーたちも、LinkedInが2017年8月に開始したネイティブ動画のテストを進めている。人工培養肉に関するエコノミストの動画は、2000件のいいねと数十件のコメントを生み出した。FTは、その週のニュースを先取りする週刊の5分動画と、先日のスペースXによるFalcon Heavyの打ち上げのような60秒動画を投稿し、どちらも約500件のいいねを獲得している。また米国のCNBCインターナショナルは、LinkedInとのネイティブ動画のテストは実施していないが、ダボス会議を説明したこの動画のようなコンテンツを制作しており、それをCNBCのメインページに投稿して、約500件のいいねと約20件のコメントを集めている。
LinkedInのビジネス開発マネージャーであるジェシカ・チャン氏によると、同社は一部のパブリッシャーと提携してニュース用ツールと製品の早期アクセスを提供しており、英国ではビジネスインサイダーUK(Business Insider UK)、エコノミスト、およびFTが、12月のバイロット版ネイティブ動画に参加した。「一部のパブリッシャーからは、動画の視聴数と配信は素晴らしく、パイロット版の参加によってフォロワー数が増加しそうだと聞いている」と、チャン氏は語る。
規模の面では物足りなさ
ただ、失われたFacebookのトラフィックをLinkedInで補える見込みはない。LinkedInはパブリッシャーの参照元トラフィックのソースとしてはまだ小さく、調査会社パースリー(Parsely)のデータによると、全世界の参照元トラフィックの0.5%にも満たない。とはいえ、LinkedInは2017年、デスクトップのトラフィックこそ横ばいだったが、モバイルの参照元トラフィックはパースリーのパブリッシャーベース全体で2倍以上に増えた。また、調査企業ニュースウィップ(NewsWhip)によると、フォーブス(Forbes)、BBC、ブルームバーグ(Bloomberg)、ビジネスインサイダーといったパブリッシャーとのコンテンツのエンゲージメントは、この2年間で4倍に増加している。LinkedInが英DIGIDAYに語ったところでは、製品の更新、ニュース機能、およびアナリティクスによって、コメント、いいね、シェアは前年比で60%以上増加したという。
LinkedInは、動画に対してゆっくりした着実なアプローチを採用しているが、これはおそらく、YouTubeやFacebookのようなほかのプラットフォームが先に犯した、ブランドセーフティと測定の過ちが繰り返されるのを避けようというものだろう。英国のパブリッシャーたちによると、LinkedInはブランデッドコンテンツを除くと、動画コンテンツを広告を通じてどのようにマネタイズしていくのかを明らかにしていない。
パブリッシャーのあいだには、LinkedInは小さなメディア企業だと大手よりも多くのオーディエンスにリーチするのが難しく、この点はFacebookのほうが公平だったという見方もある。
メディアよりも個人の投稿
ところで、CNBCインターナショナルは、デジタル動画とソーシャルメディアの責任者を務めるクリスティ・ガラット氏によると、同社のビジネスコンテンツと金融コンテンツがLinkedInの自然な位置にあるにもかかわらず、ページのフォロワー数の増加が鈍っている。記者が自分のプロフィールから記事を投稿するほうが、パブリッシャーが投稿するよりもLinkedInではより顕著にトラフィックを得られるのだという。
「(投稿への)エンゲージメントは実のところ当たり外れがある」とガラット氏。「LinkedInはニュースフィード分野では新しい方であり、アプリのデザイン変更以降は改善が見られる。願わくは、動画で流れが変わってほしい」と同氏は語った。
Lucinda Southern (原文 / 訳:ガリレオ)