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「積極性こそが道をひらく」: グループ・ナイン のジェフ・シラー氏が描く販売戦略とは

2020年は、メディア業界にとって厳しい1年となった。各社、第2四半期には広告収益が大幅に落ち込んだからだ。ポップシュガー(PopSugar)と合併して1年のグループ・ナイン・メディア(Group Nine Media)も、この状況に変わりはなかったのだが、見事にこの危機を乗り切ることに成功している。

同社のCRO(最高収益責任者)のジェフ・シラー氏は以前、合併してから数週間という時期に米DIGIDAYのポッドキャスト番組に出演している。ポップシュガーで販売部長を務めていた同氏は、2020年のはじめにグループ・ナイン・メディアにも特定の顧客層に力を入れた販売戦略を持ち込んだ。

コロナ禍で大打撃を受けた旅行業界や外食産業のメインスポンサーが撤退するなかでも、同社はこの戦略のもと、デジタルライフスタイルメディア企業のスリリスト(Thrillist)といったエンタメ分野のブランドに、これまで培ったノウハウを投入した。

シラー氏は、2020年を通じて広告主のニーズが変化していることに気づき、グループ・ナインの全タイトルにわたる水平的な取り組みが重要であると考えるようになった。また、サードパーティのCookieからの脱却が進むなか、ファーストパーティデータによる分析が重要であること、またブランド各社が文化的多様性や企業の社会的責任といったメッセージの発信を重要視し、優先的な投資対象に位置付けていることについても改めて認識するようになったという。

こうした垂直、水平的な取り組みもあって、同社の2020年の収益は前年度とほぼ変わらない水準を維持しただけでなく、第4四半期には過去最高の収益をもたす結果となった。

米DIGIDAYポッドキャストの最新回となる今回のインタビューでは、シラー氏に販売戦略について尋ねた。なお、発言の意図を明確にするため、一部に若干の編集を加えている。

苦戦しているカテゴリーを、ほかのカテゴリーで補う

「追い込まれると、反射的に素早く解決策を見出そうとするところは多い。これにより、新たな道筋を迅速に発見できる組織もあるが、逆に闇雲に動き、解決策が見つからず停滞してしまうところもあるようだ」。

「当社の場合、ポートフォリオを活かした戦略を採用した。もし我々が1つのブランドしか持っていなければ行き詰まっていただろう。だが幸い当社には5つのブランドがある。だからこそ、『各ブランドの広告主との関係性を、別のブランドに活かせないだろうか?』という発想につながった。これは、異なる分野のブランドをいかにつなげるか、という取り組みでもある。そして実際に、たとえばザ・ドードー(The Dodo)の消費者向けパッケージ商品の売上を伸ばすことに成功した」。

RFPプロセスをいかに管理するか

「現状のRFP(提案依頼書)は、我々が望むほど効率化できる余地は残されていないと感じている。クライアントが、それぞれの役割をより積極的に果たすという形でしか効率化できないのではないか。だが、少なくとも短期的には、なるべく望ましい成果を得られるように自分たちの手で改善を試みることはできる」。

「当社では、広告主ごとに詳細な分析を行っている。RFPを3連続で失敗すれば、それは見直しが必要だ。5回失敗すれば、ステークホルダーたちと『自分たちに適したブランドなのか?』ということを考え直し、調整を図る。あるいは、『ブランドが必要としているものを自分たちが持っているのか?』という質問でも良い。もしその回答が『イエス』であれば、なぜ失敗しているのかを考えねばならない。逆にブランドの求めるものを持っていないのであれば、『当社を検討していただいてありがたいが、パートナーとして適切ではないようだ』とブランドに伝えるべきだ。RFPのプロセスを可能な限り実用的なものにして、自分たちの道をなるべく自ら決められるようにしたい」。

アップフロントを販売戦略の中核に据える

「まずアップフロントでの交渉について、当社は顧客生涯価値(既存顧客との関係価値。顧客のライフサイクル全期間を通して、その顧客がサービス提供企業にもたらした価値の総計)の向上を目的の柱としている。顧客には常に最高級のサービスを提供したい。グループ・ナインは、ファネル全体をフル活用して顧客のビジネスに最上の成果をもたらすようサービス提供したい。そのための最適なアプローチとしてアップフロントが存在すると考えている」。

「2022年を見据えたアップフロント契約の締結が奏功し、今年はすでに前年比20%の成長が見込まれている。そして総収益のうち10%以上が、このアップフロント契約がもたらしたものとなる予定だ」。

[原文:‘Proactive is the path’: Group Nine’s Geoff Schiller on his selling strategy

KAYLEIGH BARBER(翻訳:SI Japan、編集:長田真)