アドテクノロジーは、本当にメディアの役に立っているのか? こうした疑問に株式会社EVERRISE(エバーライズ)は、プライベートアドサーバーという概念を掲げ、メディアのためのソリューション「ADmiral(アドミラル)」で応える。個々のメディアの多種多様なニーズに対応し、広告収益の最大化を実現できるという。
アドテクノロジーは、本当にメディアの役に立っているのか?
こうした疑問は、ずいぶん前からさまざまなところで話題になってきた。効率化の名のもとに、さまざまな統一化が図られたのはいいものの、個々のメディアにおける「広告の価値」が、おしなべて一律で比較されていいわけではないからだ。従来の枠にとらわれている現行のシステムではメディア本来の魅力を活かしきれていないことも多いのではないか。
このような状況に一石を投じるのが、デジタルマーケティング領域の開発を得意とし、数多くのアドサーバーを開発してきた株式会社EVERRISE(エバーライズ)だ。同社はプライベートアドサーバーという概念を掲げ、メディアのためのソリューション「ADmiral(アドミラル)」という製品を販売している。
「プレミアムなメディアならば、第三者のプラットフォームの都合に左右されない、独自の広告戦略を打ち出していくべきだ。独自のデータを使って、独自の広告メニューを作り、独自のメリットを提供しながら、広告主とユーザーを結びつける、強固な架け橋となれるはずだ」と、EVERRISE取締役の伊藤孝氏は語る。

「どのメディアも画一的なアドサーバーでいいのか」と伊藤氏
メディア独自のアドサーバーを活用すれば、メディアの魅力を活かしながら、外部サービスでは手の届かないニーズを解決し、広告収益の最大化を実現できるという。
メディアビジネスの課題
「この10年来、お客さまのアドサーバーを開発してきて、ひとつとして同じ要件がなかった」と、伊藤氏はADmiralの開発経緯について語る。「既存のアドサーバーは『インプレッション数』や『クリック数』を最大化させるような統一仕様やロジックが確立されている反面、果たしてどのメディアもそれを画一的に利用することで良いのかという疑問があった」。
実際、メディアによって、そのマネタイズ戦略はさまざまだ。たとえば、多くのユーザーが日常的に集うニュースメディアなら、ディスプレイ広告のインプレッションを高め、少額でも多くのキャンペーンを回したいと思うだろう。逆に規模は小さくとも濃いユーザーが集うバーティカルなサイトならば、作り込んだネイティブ広告で、その広告価値を高めたいと思うはずだ。インスタグラムやTwitterのようなユーザー投稿型のメディアであれば、それぞれのコンテンツになじんだ、独自の広告を開発した方がいい。
また、昨今、ブランドイメージやユーザー体験を損ねるような広告が、業界内で問題視されている。全画面を覆ったり、誤クリックを誘発したりすれば、確かに効果はあるのだろう。しかし、それがサスティナブルなやり方かといえば、そうではない。なぜなら、ユーザーから疎んじられるからだ。
メディアのコンテキストに沿った広告ならば、ユーザーにも受け入れられる。それが、しっかりとパーソナライズされたものなら、むしろ歓迎されるだろう。もっと、メディア独自の特徴を活用した、メディア価値をも向上させる広告表現があるはずだ。
このように、多種多様な目的やニーズに、既存のアドサーバーをきめ細やかに対応させることは難しい。だが、ADmiralなら、それが可能だ。「FacebookやTwitterのように、メディア独自の形で広告メニューを作成できる。つまり、メディアが広告の枠にとらわれる必要がなくなる」と、伊藤氏は語る。
オーディエンスを把握するメディア
ADmiralの大きな強みは、同じEVERRISEが提供するCDP「INTEGRAL-CORE(インテグラルコア)」とも接続していることだ。既存のアドサーバーでも他社のCDPやDMPと接続することはできるが、かなり手間がかかる。しかし、ADmiralならINTEGRAL-COREと、親和性高くつなげることができるという。
INTEGRAL-COREは基本機能としてオウンドメディアを計測し、顧客マスタやセッション情報を構築して蓄積し、それらをリアルタイムに活用可能とする。このようなCDPの機能により、メディアはオーディエンス一人ひとりをリアルタイムに把握することが可能となる。
これまで広告主サイドではテクノロジーやデータの活用がさかんに行われてきたが、メディアサイドではなかなか活用が進んでこなかった。たとえば、広告主から見ればDSPやトレーディングデスクなどを通じて男女別や年代別に広告を出し分けるのは当たり前のことだが、メディアから見て、純広告を男女別や年代別で売り分けることは困難だった。
「アドサーバーとCDPをシームレスにつなげることで、データを活用してより良いクリエイティブを見せたり、より精度の高いターゲティングを簡単に行える。また、セカンドパーティやサードパーティのデータとかけ合わせることで、GoogleやFacebookのような巨大なプラットフォームすら持ち得ない価値のあるデータを形成することも可能になる。先進的なメディアはすでに着手している。未来のメディアはもっとオーディエンスを把握するべきだ」と、伊藤氏。
メディア運用のために考え抜いた仕様
EVERRISEのマーケティングプラットフォーム事業部で、ADmiralの開発リーダーを務める西出尚史氏は「これまで何度となく作ってきたアドサーバーだが、メディア向けのソリューションとして品質と拡張性にこだわって一から再構築した」と、開発サイドの視点を語る。同氏は、エンジニアとして、数多くのアドサーバーの開発に携わってきた人物だ。

「メディアの広告運用の効率化も、我々の使命だ」と西出氏
西出氏によると、ADmiralは、お客さま自身でも改修可能なオープンなアーキテクチャで構成され、他システムとの連携を前提として、すべての機能をAPI化している。そのため、レポートツールや、CMS、ほかの業務システムなどと、比較的容易に連携することが可能だ。
たとえばレポートひとつとっても、現状のメディアの広告レポートは簡素なものが多い。誘導バナーの効果やリファラ、あるいはコンテンツの読了率、さらにサードパーティデータを使って、どの業種の人がコンテンツを読んでくれたかなど、さまざまなレポートを出せるならばメディアの広告価値はさらに高まるのではないか?
「ただし、メディア側のコストが増大してしまうならば本末転倒だ。メディアの広告ビジネスにおける運用効率化も、我々の使命だ」と、西出氏は語る。
プライベートアドサーバーという選択
しかし、気になるのは導入コストだ。独自のものを構築するとなると、どんなメディアの担当者であっても、少々身構えてしまうのが正直なところだろう。
「たしかに、初期導入のコストは高く、幅広いメディアに選択されるソリューションでないことは理解している。ただし、ある程度の配信量が見込まれるメディアであれば、プライベートアドサーバーという選択肢はありなのではないか」と、伊藤氏は語る。
ADmiralはソースコードライセンスを一括で買い取ることも、月額利用料モデルで利用することも可能だ。一括買取りでは自社でソースコードの翻案も可能なため、今後の広告ビジネスを本格的に展開するメディアやプラットフォーマーには魅力的だ。
プライベートアドサーバーという考え方は、確かに万人向けのものではない。しかし、ブランドセーフティ、アドフラウド、ビューアビリティが叫ばれるいま、プレミアムなビジネスを成長させていきたいメディアにとって、一考すべき価値のあるものだろう。
▼伊藤孝(写真左)
EVERRISE取締役
ソフトウェア開発会社にてプログラマとしてキャリアをスタート。物流や会計などのプロジェクトに携わった後、2006年に現経営陣とともに株式会社EVERRISEを創業し取締役就任。起業後もアドテク領域で多数のプロジェクトで実績を積み、現在は主にコンサルティング営業を担当。
▼西出尚史(写真右)
EVERRISE マーケティングプラットフォーム事業部
2013年に株式会社EVERRISEに入社し、広告入稿ツールやアドサーバー、DMPなど数々のアドテク関連の開発を担当。現在は自社プロダクトのADmiralで開発リーダーを務める。好きな言語はPerl。
Sponsored by EVERRISE / ADmiral
Written by 広告制作チーム
Photo by 合田和弘(本文中) / Shutterstock(TOP画像)