ポストFacebook時代、「直接トラフィック」が増えている:パブリッシャーたちに光明

これまでパブリッシャーはあらゆる手を使って記事を配信し、多くの読者に目をとめてもらおうとしてきた。

だが、昨今、GoogleとFacebookというテクノロジー業界の巨人たちから支配権を奪い返し、自社サイトに直接読者を呼び込む動きが活発化している。そうした動きの広まりは、実際のデータからも見てとれる。

チャートビート(Chartbeat)が5月29日に公開した新たなデータによると、2017年10月以降、パブリッシャーサイトおよびアプリを直接訪問するモバイル読者が、ソーシャルプラットフォーム(つまりFacebook)経由の読者を上回っている。

下のグラフの通り、直接訪問の週間ページビューは10月以降堅実に増加している一方、Facebook経由のページビューは減少している。Facebookを経由したPCサイトへのトラフィックを含めても、直接のモバイルトラフィックが、依然としてFacebook参照トラフィックを上回った。

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原因はいまのところ不明

この期間中、Facebookは一貫してパブリッシャーへのトラフィックを削減。今年に入ってもその傾向は続き、1月にはニュースフィード上で個人ユーザーの投稿を優先するとの方針を発表した。しかし、チャートビートによると、Facebookトラフィックの減少とモバイル直接訪問の増加にはっきりした相関はみられず、必ずしも後者が前者のせいとはいえないという。

直接トラフィックがなぜ増加したのか、チャートビートは明確な結論は述べていないが、可能性として従来の想定よりも読者はパブリッシャーに忠実なのかもしれないという見方を示した。モバイルトラフィックはすでにデスクトップを上回り、またモバイルトラフィックの大部分はFacebook経由だが、もうひとつの可能性として、実際にはFacebookよりもモバイルそのものがメディア閲覧習慣に大きな影響を与えているのかもしれない。

モバイルがデスクトップを上回るのは必ずしも悪いことではない。かつて、モバイルの広告料はデスクトップよりも低かったが、いまでは同等になりつつある。たとえば、エンターテインメントサイトであるランカー(Ranker)では、モバイルのプログラマティック広告の価格がデスクトップの広告料を上回っていると、同サイトのCEO、クラーク・ベンソン氏はいう。

直接トラフィックの重要性

個々のパブリッシャーに目を移すと、各社は直接訪問の読者を増やし、Facebook依存から脱却すべく取り組みを進めている。たとえば、デイリービースト(The Daily Beast)は、トップページへのトラフィックを前年比30%増加させ、全トラフィックの約40%を占めるまでになった。これは、トップページの掲載記事数を減らし、新たなニュースレターを創設するといった取り組みの成果だという。LGBTサイトのピンクニュース(PinkNews)は、Facebook受けする記事よりも硬派な記事に力を入れたことで、直接のトラフィックを30%増加させた。スレート(Slate)のプレジデント、ダン・チェック氏は、新規読者の獲得が難しくなるなか、ここ数年読者エンゲージメント強化に向けた取り組みを行ってきた成果が出たと述べる。

直接トラフィックの増加は、パブリッシャーが自らの運命を自分の手に取り戻すことを意味する。読者の閲覧履歴のデータが増え、それによりターゲティングの精度が上がり、関連コンテンツやサブスクリプションの案内など、読者売上につながるオファーを提示できるようになるからだ。

女性向けライフスタイルサイト「ポップシュガー(PopSugar)」でプロダクトマーケティング・営業戦略担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるクリス・ジョージ氏は、「直接トラフィックは非常に重要であり、ブランド力の指標だ」と述べる。同サイトは全トラフィックの70%がモバイルで、現在はこのうち33%を直接トラフィックが占める。「eコマース、ブランド拡張、有料イベントなどを通じた読者売上の獲得をめざすうえでは、サイトを直接訪問する読者のコンバージョン率がもっとも高いと見込まれる。こうしたオーディエンスを増やすことで、ブランド力を高め、売上の多角化を実現できる」と、ジョージ氏は語った。

Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)