今日の私たちは「ポスト事実」「ポスト真実」の世界 を生きていると言われる。マイクロソフトの元CEOスティーブ・バルマー氏は、この状態を良しとしない。それこそが、バルマー氏が約11億円を投じてウェブサイト「USAFacts.org」を立ち上げた理由だ。同氏がBusiness Insider に語った。
本記事は、DIGIDAY[日本版]の兄弟サイト、ミレニアル世代向けのビジネスニュースサイト「BUSINESS INSIDER JAPAN」からの転載となります。
今日の私たちは「ポスト事実」「ポスト真実」の世界 —— 自らの世界観が揺るがされそうになると、事実を無視したり、嘘を信じる —— を生きていると言われる。
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マイクロソフトの元CEOでNBAのロサンゼルス・クリッパーズの現オーナーである億万長者スティーブ・バルマー氏は、この状態を良しとしない。
それこそが、バルマー氏が1000万ドル(約11億円)を投じてウェブサイト「USAFacts.org」を立ち上げた理由だ。同氏がBusiness Insider に語った。
USAFacts.orgは、70もの政府機関から公式データを取得し、「アメリカ政府の財政報告書」を作成している。これにより、アメリカ国民が実際に支払っている税額から、国内の犯罪率や離婚率まで、何でも簡単に調べられる。
バルマー氏は、このサイトのアイデアはどの政党ともまったく関係がなく、むしろ政治状況全般と大いに関係があるとしている。
「これは政治的なサイトではないが、何らかの役割を果たすことを願っている。私は事実それ自体の擁護者だ」と同氏はBusiness Insiderに語った。
バルマー氏にとって、現在のアメリカの政治状況はまるでスポーツイベントのようだ。誰もが自分のチームを応援し、他のチームを否定する ―― 同氏はこれは本質的に危険だと言う。
「スポーツの試合なら勝者と敗者がいてかまわない。だが、それはこの国としてあるべき姿ではない。政治はスポーツとは異なり、皆が共有できる結論にたどり着かねばならず、私たち全員がその結論と共に生きるのだ」
言い換えると、アメリカ人は同じ法によって統治されているのであり、どのチームが勝とうが関係ない。だからこそ、バルマー氏の取り組みによって、人々が事実に深い関心を抱くことを期待できる。例えそれらの事実に関して何をすべきかということについて、私たち全員が異なる意見を持ったとしてもだ。
4月のサイト正式公開まで、バルマー氏は、どのような反応が寄せられるのか、気に留める人がいるのかどうか分からなかった。だが公開当日、アクセスが殺到し、サイトは数時間落ちてしまった。公開から48時間で、USAFacts.orgは50万人超の訪問者と200万のページビューを記録。バルマー氏は、離婚率のよりよい計算方法を提案する人や、誤字を見つけた人から、ファンレターを受け取りさえしたのだ。
USAFacts.orgで明らかになったアメリカに関するデータの一部は、非常に興味深い。BUSINESS INSIDER JAPAN のオリジナル記事では、その一部を紹介してあるので、ぜひ確認してもらいたい。
[BUSINESS INSIDER JAPAN オリジナル記事]
(翻訳:十河亜矢子)
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