2017年7月19日、ポップシュガーの共同設立者のブライアン・シュガー氏は、マストハブイット(Must Have It)のローンチを非公式ながら発表した。これは、商品のオファーをテキスト形式で送信し、欲しいと感じた人が「YES」と返信するだけで、送料無料で5営業日内には、顧客のもとへ届くという仕組みだ。
グローバルメディア会社のポップシュガー(PopSugar)は、テキストのメッセージを使って衝動買いを誘おうとしている。
2017年7月19日、この会社の共同設立者のブライアン・シュガー氏は、マストハブイット(Must Have It)のローンチを非公式ながら発表した。これは、商品のオファーをテキスト形式で送るというもので、それ見て商品を欲しいと感じた人が「YES」と返信するだけで商品は送料無料で発送され、5営業日内には顧客のもとへ届くという仕組みだ(公式ページのアニメーションを参照)。
ちなみに、シュガー氏のツイートによる、このプロダクトの発表は時期尚早だったという。ポップシュガーのウェブサイトやSNSでのプロモーションを連動させ、正式に発表されるのはこの秋の予定だったからだ。シュガー氏はこのことで、プロダクトチームとトラブルになったことを認めているが、これに大きな期待を寄せている。
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「商売のプラットフォームとしてテキストを使っている人は少ないが、もっと活用しない手はない」と、シュガー氏は語る。
アプリからテキストへ
ポップシュガーがテキストメッセージに移行しようとしている背景には、何年にも渡ってモバイルアプリのオーディエンス獲得に力を注いできた経緯がある。ポップシュガー・ギフトガイド(PopSugar Gift Guide)、ポップシュガー・セルフィー(PopSugar Selfie)など、過去5年間で幾十ものアプリをリリースしてきたが、定着したアプリの数は少なかった。
「世界で2番目に難しいことは、(人々に)アプリをダウンロードさせることだ」と、シュガー氏は語る。「もっとも難しいのは、それを日常生活で使ってもらうことなのだが」。
それでも、ポップシュガーのトラフィックの80%はモバイル端末からのものであり、携帯電話にフォーカスしたビジネスの機は熟したといえるだろう。
1分あたり3件の受注
マストハブイットの発想は、シュガー氏が彼の娘たちにアナログレコードを送る手段を探していたときにひらめいた。そのときウェブ検索で見つけたのがテキストにフォーカスしたプロダクト、リプライイエス(ReplyYes)だった。そして2017年6月、彼はプロダクトチームに同じものを作るように依頼した。
いくつかの実験を経て、マストハブイットは2017年7月19日に最初のプロダクト、バッグ(Baggu)のピンク色のリュックの商品情報を一斉に送信した。シュガー氏によると、このリュックは1分あたり3件の注文を受注したとのことだが、その販売総数についての情報は非公開だ。
現在、マストハブイットの商品は、ポップシュガーのコマースビジネスの定期購読を長年支えている「マストハブ」(Must Have)チームによって運営されている。彼らが選んだ商品の情報は、トレンドランク(TrendRank)によく似た、リテールランク(Retail Rank)というポップシュガー独自のツールによって配布される。このツールはインフルエンサーのネットワークを通じて、もっとも購買者の興味をひいた商品の購入データやそのほかの情報を収集する。
ターゲティングも視野に
現在はマストハブイットの登録者全員が、同じテキストメッセージを同時に受信している。だが、シュガー氏によると、このプロダクトが成長するにつれて、ユーザーの購入履歴やポップシュガーのウェブサイトやアプリでの閲覧履歴をもとに分けられた、より小さなグループに特化した情報を送る予定だという。「ポップシュガーへの登録時にユーザーが使用したデバイスや電話番号により身元はわかっているので、より詳しいプロファイリングが可能となる」と、シュガー氏は語る。
「時間が経つにつれて、私たちが日々受け取るオファーの種類と数は多くなりすぎてしまうかもしれない」と、シュガー氏は語る。
また、この先数カ月は、送るメッセージのタイミングや口調を変えながら試していく予定だ。「少し遊び心を持って、金曜日の夜11時にテキストを送ってみようと考えている」と、シュガー氏は語る。「もしかしたら、少しお酒を飲んだ後かもしれないからね」。
Max Willens (原文/訳:Conyac)
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