エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)への関心が高まっていることに目をつけたターナー・スポーツ(Turner Sports)は、独自のプロリーグを立ち上げた。「イーリーグ(ELEAGUE)」と名付けられたこのリーグでは、24のチームが総額120万ドル(約1億2000万円)の賞金を目指して競い合う。
去る6月30日に、はじめてのシーズンを終えた「イーリーグ」。ターナー・スポーツでエグゼクティブバイスプレジデント兼最高コンテンツ責任者(CCO)を務めるクレイグ・バリー氏は、シーズンが終わる前、すでにその成功に満足しているとコメントしていた。
エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)への関心が高まっていることに目をつけたターナー・スポーツ(Turner Sports)は、独自のプロリーグを立ち上げた。
「イーリーグ(ELEAGUE)」と名付けられたこのリーグでは、24のチームが総額120万ドル(約1億2000万円)の賞金を目指して競い合う。試合の様子は、ゲームに特化したライブストリーミング配信プラットフォームのツイッチ(Twitch)でライブ配信されるほか、ターナー・ブロードキャスティング・システム(Turner Broadcasting System、以下TBS)が、週1回テレビ放映している。
視聴者は約8億分を視聴
去る6月30日に、はじめてのシーズンを終えた「イーリーグ」。ターナー・スポーツでエグゼクティブバイスプレジデント兼最高コンテンツ責任者(CCO)を務めるクレイグ・バリー氏は、シーズンが終わる前、すでにその成功に満足しているとコメントしていた。
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「当社のビジネスにおいては、エンゲージメントがこれからもっとも重要な指標のひとつになる」と、バリー氏は語る。「特にエンゲージメントに関しては、最初のシーズンは大きな成功を収めている」。
シーズン9週目の時点で、ツイッチとTBSを合わせて、視聴者は8億分近く(およそ1330万時間)「イーリーグ」のコンテンツを視聴したと、ターナー・スポーツは述べている(週替わりのコンテンツには、TBSで放映される3時間番組のほかに、ライブ中継やチームとプレイヤーの舞台裏シーンなど、30時間分のデジタル配信コンテンツが含まれる)。
テレビにどれだけ馴染む?
「イーリーグ」は、ツイッチで1870万ビューを獲得したが、より大きな課題は、テレビでeスポーツがどれほどの人気を得られるかという点だ。このジャンルがテレビにおいて、どのくらい市民権を得ているか、疑問は残る。
TBSのテレビ放送における視聴者数は、期待のもてるものだった。調査会社ニールセン(Nielsen)によれば、TBSで放映された「イーリーグ」の番組は、シーズン7週目までで、ライブとタイムシフト試聴を合わせて、平均27万1000人の視聴者を獲得したという。
この数字は、常に数百万人の視聴者を獲得している全米フットボール連盟(NFL)や全米プロバスケットボール協会(NBA)と比べれば色あせて見えるものの、eスポーツの番組としては成長した方だ。なにしろ、ケーブルテレビ局のESPN2が2015年に放映したビデオゲーム「ヒーローオブザストーム(Heroes of the Storm)」の大学対抗競技会は、視聴者数9万6000人程度。当時はまだ、eスポーツの成功は見出されていなかった。
新規獲得にも大きな貢献
「これは幸先のいいスタートだ」と、ゲーム調査会社スーパーデータ・リサーチ(SuperData Research)のCEO、ユースト・バン=ドレウネン氏。「これまで、オーディエンスはもっと広く分散していたが、いまでは、あるセグメントに集約される形で存在することを示した」と述べる。
だが、ターナー・スポーツとTBSに関するニールセンの調査結果よりも注視すべきは、若い男性に人気が偏っているeスポーツが、ケーブルテレビ局にどれだけの新たな視聴者をもたらすことができるかという点だ。そして、ここでも、期待できる兆しは現れている。
ターナー・スポーツによれば、「イーリーグ」は最初のシーズンで、TBSへ340万人の新規視聴者をもたらした。ここでいう視聴者とは、過去1カ月間にTBSの番組を一切見なかったケースで、同リーグの放送を観た人を意味する。さらに、18歳から34歳までの男性視聴者の割合は、「イーリーグ」の試合が行われる金曜日の夜の時間帯にTBSが放映していた別の番組と比べて、70%増加したのだ。
Twitterのライブ中継も
「熱心なファンたちが、eスポーツのテレビ放映をサポートしたいという理由で、TBSに観に来たようだ」と、バリー氏は語る。
テレビは、「イーリーグ」の試合中継を担う重要なプラットフォームだが、バリー氏はコンテンツを配信する方法として、いままでにないやり方も打ち出した。7月29日と30日に開催された準決勝と決勝を、ツイッチとTBSだけでなく、Twitterでもライブ中継を行ったのだ。
「イーリーグは、人々に知ってもらいやすい形の取り組みを行っており、非常にうまく行っている」と、スーパーデータ・リサーチのバン=ドレウネン氏は語る。「問題はもちろん、eスポーツがポーカーに匹敵するようなものに成長できるかどうかだ」。
「我々は総出で取り組む」
ターナー・スポーツは今後も、「イーリーグ」の発展に向けた取り組みを続けていく。2回目のシーズンは、今秋にスタート。また、ゲームプラットフォームのフェイス・イット(FACEIT)と提携し、ブリザード・エンターテインメント(Blizzard Entertainment)のゲーム「オーバーウォッチ(Overwatch)」を利用した、新たなトーナメントを開始する。このトーナメントは北米と欧州を対象とし、決勝戦はアトランタにあるターナー・スポーツの「イーリーグ」会場から中継されるという。
同社では、制作、人事、広告、営業、マーケティングなど、さまざまな部門で構成される総勢150名のチームがサポートする計画だ(「イーリーグ」自体は、毎週約75名から成る運営チームによってサポートされている)。
「我々は総出で取り組んでいる。これは短距離レースではなくマラソンなのだ」。
Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)