より速く、より安く:コロナ禍の広告ニーズに応える、パブリッシャーたち

新型コロナウイルスの到来から5カ月を経て、広告主はパブリッシャーに、より短い時間で考え、実行に移すようますます強く要求している。

新型コロナウイルスはいまだ経済に打撃を与えており、社会不安が消費者心理を混乱させている。マーケターは支出が結果につながることを証明するようプレッシャーを受けており、その結果、多くのマーケターがわずか数週間後の計画に支出を集中させている。

これは特に、テレビ局や雑誌出版社にとって厳しい状況だ。通常は数カ月後の広告枠を販売するためだ。さらに、あらゆるパブリッシャーがこれまでと異なるプログラムをつくり、ブランドに販売することを強いられている。つまり、すぐに実行できるプログラムのことだ。

トラステッド・メディア・ブランズ(Trusted Media Brands)はやりとりだけで何週間もかかるブランデッドコンテンツの代わりに、既存のエディトリアルページにコンテンツを組み込む機会をブランドに与えている。プレイヤーズ・トリビューン(Players Tribune)やミニッツメディア(Minute Media)は手の込んだブランデッドコンテンツ制作ができないことを認める代わりに、アスリートが自分の携帯電話で撮影したコンテンツに移行した。リーフ・グループ(Leaf Group)はイベントスポンサーシップ契約を打ち切る代わりに、教育コンテンツと商品サンプリングを中心とする代替プログラムを2週間弱でつくり上げた。

こうした新しいプログラムの一部は必要性から生まれたものだ。しかし、パブリッシャーはたとえ日常が戻ってきても、こうしたプログラムから売上を得続けるべきだと考えている。

リーダーズ・ダイジェスト(Reader’s Digest)やテイスト・オブ・ホーム(Taste of Home)を所有するトラステッド・メディア・ブランズの販売およびマーケティング担当エグゼクティブバイスプレジデント、ローラ・ジエル氏は「ビジネスを違う視点から見ざるを得なくなった」と話す。「個人的には、(日常が戻ってきたとき)我々はどちらも提供できると思う」。

至るところに広がっている

すべての広告主が短期的な思考にとらわれているわけではない。自動車、住宅、さらには旅行といったカテゴリーでは、人々が購入に時間をかける商品を扱うブランドは予算を投じている。

しかし、8月後半になり、販売リーダーたちがチームメンバーに、ウェブサイトのディスプレイ、プレロールインベントリー(在庫)を中心とする「1点、2点を獲得する」レベルの契約に注力するよう指示してから5カ月が経過しても、短期的な計画は至るところに広がっている。ジエル氏によれば、1カ月あるいは1四半期ごとに消費者心理のインサイトを求めていたブランドは、今や1週間ごとのインサイトを必要としている。さらに、一部の広告主はパブリッシャーに、契約のキャンセル期間を短縮するよう求めている。

パンデミックが進行するにつれ、多くのパブリッシャーがこの短期的な思考を受け入れながら、顧客の予算を勝ち取る別の方法を探すようになった。

「強制されているのとは程遠い」

その一部は新型コロナウイルスに脅かされた契約を守るためにつくられたものだ。今年の春先、ハンカー(Hunker)、ウェル・プラス・グッド(Well + Good)などのバーティカルライフスタイルサイトとアザー・アート・フェア(Other Art Fair)などの対面型イベントを運営するリーフ・グループは、ボンベイ・サファイア(Bombay Sapphire)とのスポンサーシップ契約を大急ぎで見直さざるを得なくなった。

全米で予定されていた対面型イベントのプレゼンティングスポンサーとして来場者にジンを提供する代わりに、リーフ・グループの自社プロパティであるハンカーとeコマースプラットフォーム、ソサエティー6(Society6)を使ったコンテンツ、サンプリングプログラムに契約を変更した。

わずか2週間でつくり上げたこのプログラムは最高の苦労話になるだろうと、リーフ・グループの広告およびブランドパートナーシップ担当シニアバイスプレジデント、ジェイ・クー氏は話す。しかし同時に、未来の広告主にも応用できると考えている。クー氏によれば、現在、あるティーブランドとウェル・プラス・グッドのコンテンツ、ソサエティー6のサンプル配布を使った同様のプログラムについて交渉しているという。

「何かを強制されているのとは程遠い」と、クー氏は述べている。

短期プログラムのデメリット

こうした新しい短期プログラムはパブリッシャーの既存プログラムと競合することになる。たとえば、トラステッド・メディア・ブランズは広告主にカスタムコンテンツと手軽なコンテンツ組み込みの両方を提供している。

手軽なパッケージはやはり、扱う金額も小さくなる。ジエル氏によれば、トラステッド・メディア・ブランズの場合、コンテンツ組み込みはカスタムコンテンツの料金に届かないという。ただし、ジエル氏は具体的な金額に言及しなかった。

それでも、はるかに速く回転させられるため、ブランドは消費者の目に触れ続け、トラステッド・メディア・ブランズはカスタムコンテンツキャンペーンより素早く売上を生み出すことができる。

慎重な姿勢は崩していない

多くのパブリッシャーが2020年最大の難所は過ぎたと考えており、パートナーに販売できる新商品が見つかったことを喜んでいる。

ただし、慎重な姿勢は崩していない。「本格的なキャンペーンができるようになるまで、売上に一喜一憂するつもりはない」と、ジエル氏は述べている。

[原文:‘Nothing quite like being forced’: Publishers whip up quicker, cheaper ad products for advertisers

MAX WILLENS(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:長田真)