[ DIGIDAY+ 限定記事 ]DIGIDAY[日本版]では8月初旬、「インフルエンサーマーケティング」をテーマにしたアンケートを実施。そこで集まった総計128の回答を分析した結果、スポンサードを明確にしたり、投稿を意図的に操作せずインフルエンサーの自主性にまかせるなど、いわば「透明性」を重視するマーケターが増えているという印象が得られた。
[ DIGIDAY+ 限定記事 ]「ステルスマーケティング」という言葉は、すでに過去のものとなりつつあるようだ。
DIGIDAY[日本版]では8月初旬、無料メールマガジン購読者を対象に、「インフルエンサーマーケティング」をテーマにしたアンケートを実施。そこで集まった総計128の回答を分析した結果、スポンサードを明確にしたり、投稿を意図的に操作せずインフルエンサーの自主性にまかせるなど、いわば「透明性」を重視するマーケターが増えているという印象が得られた。
なお、当サイトでは、2018年9月にも同様のアンケートを実施している。前回のアンケートとは少し設問内容を改変してあるが、あえて比較をしてみると今回の回答者は、ステルスマーケティングという言葉からは、明らかに距離を置いている様子が強く感じられた。
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ちなみに、今回の調査結果では、インフルエンサーマーケティングをよく実施しているプラットフォームとしてもっとも票を集めたのは、インスタグラム(Instagram)が前回同様トップで72%(複数回答)。次いで、YouTube(41%)、Twitter(37%)と続いた。1位のインスタグラムが、2位以降に対して、ほぼダブルスコアの差をつけている。また、新興勢力のTikTok(ティックトック)も22%と勢いをみせるだけでなく、少数意見としてWeChat(微信)やWeibo(微博)などを挙げる回答者もおり、中国の経済圏が日本国内にも少しずつ影響力を及ぼしはじめているのを感じた。
また、利用した経験のあるインフルエンサーの種類も、マイクロインフルエンサー(フォロワー数、1万から10万未満)が48%といちばん多く、マクロインフルエンサー(フォロワー数、10万から100万未満)が45%、一般的な著名人(フォロワー数、100万以上の著名人)が25%と、それに続いた(複数解答)。こちらの構成は前回とは、あまり変わっていない。
ファネルの上部重視
少し印象的な結果を見せたのが、「インフルエンサーマーケティングに期待する効果は?」という設問だ(複数回答)。前回は類似の設問で、「認知」が14%、「理解」が8%、「共感」が24%、「購買」が16%と、マーケティングファネルの下部重視の回答が優勢。それに対して今回は、「認知」が61%、「興味・関心」が80%、「比較・検討」が22%、「購入・申込」が32%と、マーケティングファネルの上部重視の回答が優勢となったのだ。
「インフルエンサーマーケティングを実施・検討にあたって、大切にしているポリシー」について自由回答で訊いた設問でも、ファネル上部での効果を期待するコメントが目立つ。以下に、それらを書き出しておく。なお、一部読みやすさを重視して、編集してある。
あたらしい認知メディア、興味喚起メディアと割り切って、従来リーチしない層や拡散効果を狙っている。あまりビジネス指標に直結させて考えてはいない。
インフルエンサーの力により、いままでなかった顧客接点を持つことをもっとも重要視している。また新しい顧客接点となるため、クリエイティブなどはインフルエンサーの方にある程度自由度を持って表現してもらうようにしている。
「売りたいもの」にフォーカスするのではなく、その手前の「ものづくりのストーリー」を伝えることが大事。
エンゲージメント率。ファンの熱量(が大事)。ここが高くなければ、大抵の場合、アドを回した方が効果が良い。
課題はパフォーマンス測定
認知目的が拡大していることにともなって、「インフルエンサーマーケティングにおいて特に課題だと思うことは?」という設問(複数回答)では、「パフォーマンス測定」が68%でもっとも多かった。というのも、容易に測定できるクリックスルーレート(CTR)やコンバージョンレート(CVR)は、ファネル下部の効果測定を担うものだからだ。インフルエンサーマーケティングにおいて、それらはあまり当てにできない。なぜなら、CTRやCVRをKPIにしてしまうと、共感を伴わない「やらせ感」のある投稿や、ステルスマーケティングを生むからだ。
その一方で、ブランディング効果やエンゲージメントをわかりやすく数値化できる共通指標は、まだ存在していない。いいね!やシェア、コメントの数などがそれに当たるといえなくもないが、明確にビジネス貢献と直結しているかというと、そうも言い切れない現状もある。以下、関連のコメントだ。
基本的に認知拡大のために行うもので、LP遷移や購入を期待するものではないと捉えてはいる。だが、それでも購入につながるような動線や訴求を意識するようにしている。
インフルエンサーマーケティングすべてがフォロワー数、LP遷移数が指標ではない。いかにブランドがエンゲージメントできるかを日々試行錯誤している。
(一般的な著名人へ依頼するように)フォロワー数に意識が行き過ぎるとコケる可能性があるが、一方でマイクロインフルエンサーに振れ過ぎてもコケる可能性がある。商材やKPIによって人数や、インフルエンサーのパワーの度合いを調整する必要がある。インフルエンサーマーケティングには事例はあっても、正解はないということを念頭に置いて、最善と思われる提案をしている。
関係性の構築も悩みどころ
また、同じ「インフルエンサーマーケティングにおいて特に課題だと思うことは?」という設問(複数回答)において、「インフルエンサーとの関係性の構築」も大きな課題と見られていた(51%)。インフルエンサーは、単発でブーストするために利用するよりも、中長期的な視点に立って、しっかりと関係性を構築していくほうが効果を得やすい、ということの表れだろうか。以下、コメントをピックアップする。
まずはノウハウが不足している。 しっかりとした実施がなければ費用対効果は得られない。
発注側としては、インフルエンサーが取り組みに共感して協力的に実施してもらえる(もしくは対象商品の興味がある)ことが重要だと考える。理由は、実施者の共感が商品との親和性やフォロワーの共感のイコールと考えるため、ビジネスありきのみのキャンペーンはあまり実施したくないと考えている。
組ませていただくインフルエンサーの方へは、自身のフォロワーに対して普段どおりの距離感で、情報やコンテンツの発信をしてもらうようにしている。少しでもクライアントへの忖度が感じられると、逆にネガティブな方に振れてしまうこともあるからだ。
Written by DIGIDAY[日本版]編集部