2015年、BuzzFeedが試験的にレシピ動画の専門チャンネルとしてローンチした「テイスティ」。それから、わずか1年足らずで、BuzzFeedの動画再生数を牽引する存在になった。
Facebookページの「いいね!」は536万件。BuzzFeedによれば、まるでスパムチャンネルのような急増によるFacebookの不具合で、一時的に増加にストップがかかるほど、世界的な人気を呼んでいるという。いまでは、ディナー、デザート、ジュニアなど、たくさんの派生カテゴリーも誕生。食を飛び越えて、同じモデルとなるDIY愛好家向けの動画サイト「ニフティ(Nifty)」もできた。そして「テイスティ」は、広告業界にも扉を開きはじめたのだ。
BuzzFeedの動画責任者ゼ・フランク氏は2016年5月2日、IABのイベント「ニューフロンツ(NewFronts)」において、テイスティをテーマにしたプレゼンテーションを行い、「テイスティはブランド向けに作られている」「ブランドに効果的だ」と語った。
2015年、BuzzFeedが試験的にレシピ動画の専門チャンネルとしてローンチした「テイスティ(Tasty)」。それから、わずか1年足らずで、BuzzFeed全体における動画再生数を牽引する存在になった。
Facebookページの「いいね!」は5360万件。BuzzFeedによれば、まるでスパムチャンネルのような急増だったため、Facebookの不具合を引き起こし、一時的にカウントストップがかかるほど、世界的な人気を呼んでいるという。いまでは、ディナー、デザート、ジュニアなど、たくさんの派生カテゴリーも誕生。食を飛び越えて、同じモデルとなるDIY愛好家向けの動画サイト「ニフティ(Nifty)」もできた。そして「テイスティ」は、広告業界にも扉を開きはじめたのだ。
BuzzFeedの動画責任者ゼ・フランク氏は2016年5月2日、IABのイベント「ニューフロンツ(NewFronts)」において、テイスティをテーマにしたプレゼンテーションを行い、「テイスティはブランド広告向けに作られている」「ブランド広告に効果的だ」と語った。
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最先端の分散型モデル
どこよりも早く、分散型モデルを自身のビジネスに採り入れてきたBuzzFeed。だが、その道のりは決して平坦なものではなかった。BuzzFeedがペットケア・ブランドのピュリナ(Purina)のために制作したブランデッド動画『ディア・キトゥン(Dear Kitten)』はバイラルに成功したとはいえ、同じことを繰り返すのは容易なことではない。そんななか、「テイスティ」とその広告主向けコンテンツが、より拡散されやすい「成長への道」のひとつとして浮上してきたのだ。
こうしたBuzzFeedのレシピ動画に対する執念は、Facebookのアルゴリズムに最適化した結果だと見られやすい。だが、同社によると、「テイスティ」のビジネスモデルは、分散型モデルが複雑さを増していることを認識した結果でもあるという。つまり、パブリッシャーとしてFacebookに適応しつつも、過剰な依存を避けるための逃げ道も用意してあるのだ。そのため、「テイスティ」は現在、長編動画シリーズ「ママ対シェフ(Mom vs. Chef)」によって、YouTubeでもプレゼンスを構築している。
「テイスティ」のこうしたモデルをほかのトピック対象へも移植していくことで、ユーザーにはクロス・プロモーションを提供することも可能だ。広告主にとっては、この施策を通して、自社のオーディエンスを関連するバーティカル市場へと拡大できる。実例としては、「ニフティ」の延長上に、子供向けの「ニフティ・ジュニア(Nifty Junior)」や「ニフティ・キッチン(Nifty Kitchen)」、さらには余分な出費を避けたい人向けの「テイスティ」関係の新シリーズ「テイスティ・セービングズ(Tasty Savings)」などがある。すべてが「テイスティ」のモデルを踏襲しているのだ。
「テイスティ」のジェネラルマネージャーを務めるアシュリー・マッカラム氏は、「メディアは複雑だ。こうしたプラットフォームの価値は、それをネットワークにつなげたあとに、はじめて実現されるのだと我々は気づいた」と、語っている。「そしてもちろん、プラットフォームが増えれば、価値はより守りやすい」。
マネタイズも抜かり無く
ブランド構築をFacebook動画に依存する場合に危険なのは、パブリッシャーが動画をマネタイズする明確な方法をFacebookが提供していない点だ(YouTubeではさまざまな広告メニューでマネタイズできる)。ただ、Facebookは扉を開きはじめており、「テイスティ」は制限の緩和を利用して広告の販売を開始した。
BuzzFeedだけでなくパブリッシャー全般における、ネイティブアドの課題として、それを広告主のビジネス目標につなげることが難しい点が挙げられるだろう。しかし、「テイスティ」の短尺料理動画は、初期の広告主がクラッカーの「トリスケット」(Triscuit)だったように、パッケージ商品に自然と馴染ませて制作できる。また、販売成績にも結びつけやすい。これらは、いま広告主のあいだで、特に要望が高まっている点だ。キッチン家電ブランドであるオスター(Oster)の提供で制作した動画では、同社のグリルが飛ぶように売れたと、マッカラム氏は主張する。
「プロダクト・プレイスメントに乗り出すチャンスだ。これまできちんと行ってはいなかった」と、マッカラム氏は語る。
ほかのデジタルパブリッシャーも巨大なオーディエンスを集めており、また、「テイスティ」の動画と、無数にあるそっくりな動画を見分けるのは難しくなってきている。規模だけでは「テイスティ」の差別化ができなくなるときがやってくるだろう。
これに対しBuzzFeedは、売りは規模だけではなく、さまざまなプラットフォームにリーチしていること、そして、オーディエンスに受けるものに関する洞察をたくさん持っていることだと述べている。
「規模はひとつ(の資産)だが、それだけというのはあり得ない」とマッカラム氏は語った。
Lucia Moses (原文 / 訳:ガリレオ)
Photo by Thinkstock / Getty Image
※訂正:Facebookページの「いいね!」は536万件とありましたが、正しくは5360万件。修正致しました(編集部)。