GDPR もなんのその、NYTの「広告収益」は大きく成長中

他国の法案にも対応

昨年5月、GDPR施行の際におけるパブリッシャーたちの慌てっぷりは、米国での法案施行では繰り返されないだろうと、業界のエグゼクティブたちは考えている。業界に精通する情報源によると、CCPAは2020年まで施行されないが、アメリカの3つのメディア複合企業は、CMPパートナーを積極的に探している最中だ。CMPはユーザーがトラッキングされ、パーソナライズされた広告を受けることに同意した、という情報を保存する。そして、その情報をパブリッシャーが抱えるプログラマティック広告パートナーへと送る。

「米大手パブリッシャーたちから、我々の同意戦略に対する関心が改めて集まっている。英国で『とりあえず初日のための』GDPRソリューションを導入したパブリッシャーたちはいま、長期的なプロセスを運営したいと考えている。これはGDPRだけでなく、アメリカのプライバシー法案にも対応できるものだ。英国でも類似の関心を受けている」と、ケーン氏は言う。

これまでのところ、英国個人情報保護監督機関(Information Commissioner’s Office:ICO)は、罰則よりもインセンティブを優遇している。特に米パブリッシャーの管理方法に関してはそうだ。ワシントン・ポスト(The Washington Post)はそれに倣って、トラッキングに対する同意を与えたくないユーザー向けに有料サブスクリプションを開発した。警告の文書という形でICOから注意を受けたが、これ以上の罰則が彼らに与えられる様子はない。

「1年半前に、カリフォルニアのプライバシー法案に対する不安はあるか、と聞かれていればイエスと答えていただろう。しかし、GDPRを経験して、不安はなくなった。ポリシー間の小さな違いはあるけれども、同じフレームワークに修正を加えて適応するだろう」と、ボズウェル氏は言う。

Jessica Davies(原文 / 訳:塚本 紺)