分散型プラットフォームでいかにして目立つかは、パブリッシャーにとってブランディング問題のひとつだ。BUSINESS INSIDER UK、タイムズ・オブ・ロンドン(The Times of London)、サン(The Sun)、CNN、BBCの5社に、社名を認識してもらうための取り組みについて聞いた。
分散型プラットフォームでいかにして目立つか、というのはパブリッシャーにとってブランディング問題のひとつだ。ニュースフィードは混みあっており、利用者は足早にスクロールする。ロイター通信の実験では、ニュース記事を見た人のほとんどが、その記事を見つけた経緯について記憶していた。しかし、ニュースブランド名となると、覚えていた人はSNS経由の場合で47%、検索ではわずか37%だった。
BBCニュースのソーシャルメディア編集者、マーク・フランケル氏は「市場は飽和状態だ。多くの根拠が示すように、オーディエンスは自分がソーシャルプラットフォームで目にするコンテンツを、どのパブリッシャーが制作したか認識していないことがある」と述べている。
英DIGIDAYは、BUSINESS INSIDER UK、タイムズ・オブ・ロンドン(The Times of London)、サン(The Sun)、CNN、BBCのパブリッシャー5社に、ニュースフィードで社名を認識してもらうための取り組みについて聞いてみた。その内容は次の通り。
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印象づけをスピーディに
BBCニュース、CNN、BUSINESS INSIDER、サン、タイムズはFacebookやインスタグラム上で公開する投稿や動画にしっかりとブランドを表記し、ユーザーがフィード上でそれを目にして数秒以内に、ソースを認識できるようにしている。さらに一歩先を行くCNNは、Apple NewsやFacebook、Google AMPそしてインスタグラムに記事を掲載する際、本文中の特定の単語を赤く色づけしている。これは同社のロゴに使われているのと同じ色だ。
「オーディエンスは我々の赤い社名ロゴを目にすることで、自分たちが確実で信憑性の高いニュースと情報を得ていることを知る。彼らが利用するフィードでは、事実とフィクションの区別がほとんどないため、そういった認識はますます重要になる」と、CNNでデジタルプログラミング担当バイスプレジデントを務めるミトラ・カリタ(Mitra Kalita)氏は語った。

BUSINESS INSIDER UKは、ブランド想起させるためにFacebook投稿の画像にロゴを掲載している
BUSINESS INSIDERは、ガーディアン同様、Facebookのサムネイル投稿の一部に社名のバナー表示をはじめており、Facebookページ外でリンクがシェアされるごとに、ブランドが広まっていく。
ブランドを代弁するコンテンツを作成する
これまでのことに加え、パブリッシャーはコンテンツやトーンを使ってブランド強化を図っている。BUSINESS INSIDER UKのソーシャルメディア編集者、チャールズ・クラーク氏は、「Facebookがアルゴリズムでユーザーの反応を重視するなかで、我々はできる限り個性を身につけようとしている」と話す。「自社のコンテンツやブランドを広めたいなら、パブリッシャーは感情と個性をもたなければならない」。
同様にニュースUK(News UK)のタブロイド紙、サンもFacebookに投稿する場合はポジティブで愉快で、非排他的な動画を好む。「我々は、ポジティブな内容が本質的にシェアされやすいことに気がついた。私はSNSに動画投稿するというのは、人々のサンに対する認識に挑むことだと考える」と、ニュースUKの動画担当ディレクター、デリク・ブラウン氏は述べる。
サブブランド間の一貫性
サンは空想サッカーサイトのドリームチームやサンファビュラスをはじめ、さまざまなサブブランドを抱えており、それぞれに独自のスタイルやトーンがある。しかし、同じくニュースUKが所有するタイムズの場合、同紙のサイトやバーチカル全体が同じトーンとテクニックを維持することを重視している。そのためSNSに投稿されるテキストでも、タイムズ紙と同じ基準やトーンを維持するために、編集はすべてタイムズのジャーナリストが行っている。さらに同社は、社内ツールを活用し、シェアに最適な一文を選び、トーンやデザインを統一して、デジタル版で引用している。

タイムズが実施している、本文から引用した一文を記載したFacebook投稿用画像
タイムズのソーシャルメディアエディターのウィリアム・パーク氏は、「このツールを使うことで、もともと先行する画像がない場合でも、記事に合う画像を作成して話題を呼びそうな論評記事や、シェアに最適な事実を記事から抜き出してSNSで発信することができる」と語る。