アメリカ三大ネットワークのひとつ、NBC(National Broadcasting Company:全国放送会社)は、8月5日に開催されるリオ五輪の番組を若い視聴者たちにも楽しんでもらいたいと考えている。そこで、BuzzFeedをはじめ、多くのソーシャルインフルエンサーたちを頼った。
4月に発表されたように、NBCは期間中、ポップアップチャンネルとしてSnapchat(スナップチャット)「ディスカバー」に参入する。そこで、同局自らでコンテンツを用意する代わりに、BuzzFeedの動画ユニットから12名のプロデューサーで構成されるチームを出向させ、1日20本ほどの番組を制作するという。
アメリカ三大ネットワークのひとつ、NBC(National Broadcasting Company:全国放送会社)は、8月5日に開催されるリオ五輪の番組を若い視聴者たちにも楽しんでもらいたいと考えている。そこで、BuzzFeedをはじめ、多くのソーシャルインフルエンサーたちを頼った。
オリンピック独占放映権を擁する放送局としてNBCは、リオ五輪の開催期間中、4500時間以上に渡るライブコンテンツの配信を計画している。その一方、同社はまた、BuzzFeedやソーシャルインフルエンサーと提携し、若年層をターゲットにしたオリンピック関連動画の作成もはじめた。
「オリンピック競技の(スポンサーへの)売り込みは、世帯視聴率をもとに行われる。そして世帯視聴率を獲得するために、できる限り年配の人々に視聴してもらう努力が必要になる」と、NBCオリンピックのCMO、ジョン・ミラー氏はいう。このため、同社のオリンピック関連テレビ番組の視聴者獲得のために行われているマーケティングのほとんどが、年配者を対象にしていると同氏は付け加えた。
Advertisement
しかし、12歳から34歳の年齢層もNBCには重要であり、彼らが日常的に耳を傾けているご意見番の協力を仰ぐことが、その年齢層の視聴者に到達する最善の方法だと考えている。
BuzzFeedとSnapchat
4月に発表されたように、NBCは期間中、ポップアップチャンネルとしてSnapchat(スナップチャット)「ディスカバー」に参入する。そこで、同局自らでコンテンツを用意する代わりに、BuzzFeedの動画ユニットから12名のプロデューサーで構成されるチームを出向させ、1日20本ほどの番組を制作するという(NBCユニバーサル[NBC Universal]は2015年8月、BuzzFeedに対して2億ドル[約214億円]を投資している)。
この「ディスカバー」チャンネルの一部コンテンツは、NBCが放送した番組のハイライトやクリップとなる。その一方、BuzzFeedが手掛けるコンテンツの多くは、動画や記事、インフォグラフィックやリスティクル(まとめ記事)の形式で、オリンピック競技にちなんだ活動へスポットライトを当てるものになるのだそうだ。
「それは、ときおり宣伝的な要素を含む。たくさんの関心を惹くようなネタについて、我々は彼らと話すことになるだろう」と、NBCスポーツグループのオペレーション戦略プレジデントであり、NBCオリンピックのプレジデントでもある、ゲイリー・ゼンケル氏は述べる。「彼らは、プライムタイムの番組で使えるような、選手のライバル関係についても、何かコンテンツを作成するかもしれない。ただし、それは彼らと、そのオーディエンスにとって理にかなっている必要がある」。
言い換えれば、NBCは編集責任をすべてBuzzFeedに任せたということだ。同社がBuzzFeedの制作チームに機会を与えているように見える一方で、最終的にNBCは、魅力的なコンテンツの作成に関して、BuzzFeedのSnapchatにおける専門知識に依存しているのである。
広義のソーシャルウェブ
また、BuzzFeedは現在、Snapchatの「ディスカバー」に対し、自身のチャンネルでもオリンピック関連の動画を掲載している。たとえばNBCは、125名のオリンピック選手にインタビューができるイベントに、BuzzFeedのプロデューサーたちを招いた。このイベントだけでなく、BuzzFeedが作成したオリンピック関連ビデオは、ゲームがはじまる週まで同社のソーシャルアカウントにアップされる。もちろん、BuzzFeedのコンテンツは、冷やかし半分であることは織り込み済みだ。
しかし、NBCが期待を寄せている利点は、専門知識だけではない。BuzzFeedが提携している、ライフスタイル、コメディ、ファッション、ビューティー、フィットネスそして、食品のバーティカル市場にわたる何十人というソーシャルインフルエンサーにも期待している。
プラットフォーム全体で1.2億人のフォロワーを擁する、これらのインフルエンサーたちは、競技に先立ってプロモーションビデオを作成。彼らも制作にあたって、かなりの自由裁量が与えられている。ただ、ひとつの大きな決め事は、それぞれ動画の最後に、オリンピックゲームはNBCでのみ視聴が可能で、8月5日からはじまると述べることだ。「人々に開会式を見てもらうことを、主に重視している。というのも、それができれば、社会的な話題を作り出すのに役立つからだ」と、ミラー氏はいう。
ファイン・ブラザーズやジャスティン・エザリック、フルラといったユーチューバーを含むこのグループは、史上はじめての「ソーシャルメディア開会式」にも参加する予定だ。同イベントは、アメリカの人気司会者ライアン・シークレストの呼びかけによってロサンゼルスで開催される。そのイベントのコンテンツは、NBCオリンピックのソーシャルハンドル上だけでなく、同インフルエンサーたちのアカウントでも公開される予定だ。
「最終的に我々の成功は、どれだけ多くの人々がオリンピックゲームを視聴し、どれだけ幅広いオーディエンスに到達したかによって決まる」とゼンケル氏は語る。「だから彼らが、もっとも注目する場所でオリンピックの話題に触れ、オーディエンスに対してその話題を提示するために、インフルエンサーが請け負うタスクがより多くの視聴数を獲得することを、我々が願っているのは確かだ」。