「 トップ・ギア 」、今度はモータートレンドで新シリーズ:旧シリーズも合わせて配信

世界でもっとも人気が高い自動車情報番組のひとつが、動画パブリッシャー、モータートレンド(MotorTrend)のサブスクリプションストリーミングサービスで年内に配信される。

ディスカバリー(Discovery)が過半数を所有するモータートレンド・グループ(MotorTrend Group)は、英国の人気シリーズ番組「トップ・ギア(Top Gear)」について、BBCスタジオ(BBC Studios)と共同制作・ライセンス契約を結んだ。7年契約の一部として、モータートレンドとBBCスタジオは、新しい米国版「トップ・ギア」を共同制作する。

米国版「トップ・ギア」は、モータートレンドのサブスクリプション動画アプリで独占的に配信される。サブスクライバー数が30万人を超えるこのアプリは、英国版についても、200エピソード以上(シーズン2~25と特別エピソード)と、BBCが制作する今後のシーズンを配信。契約は米国やカナダなど14カ国に及ぶ。「トップ・ギア」の各エピソードはいままでどおり、AmazonやiTunes、Google Playなどでも購入またはレンタルできる。

契約の金銭的条件は明らかにされていないが、モータートレンド・グループのグローバルプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるアレックス・ウェレン氏によると、新しい米国版の「トップ・ギア」には、モータートレンドが制作するシリーズとしては最高額の予算が投じられるという。

「画面上で起きることが、実際よりも素晴らしく見えるようにする」と、ウェレン氏は語る。「スタントと企画が大量にあり、地球の隅々に行く。そういった番組にするには、多額の番組予算が必要だ。かなり斬新なことをするとBBCに確約しなければ、このようにはならなかっただろう」。

D2C企業としての矜持

モータートレンドからすれば、新しい「トップ・ギア」シリーズとすべての旧シーズンは、ユーザーをストリーミングサービスに登録させるうえで中心的な役割を果たす。現在、サブスクライバーは月額5ドル(約560円)か年額50ドル(約5600円)を支払っている。「トップ・ギア」は20年以上続いているので、自動車のファンやマニアにとって、もっとも有名な番組のひとつになっている。

それに、独占配信権を持つ新しい「トップ・ギア」シリーズと旧シーズンに加えて、モータートレンドは、決定的瞬間と番組の放送期間を通じたテーマを混ぜ込んだ60以上の「編集番組」も制作する予定だ。今後登場する編集番組には、司会のジェームズ・メイ氏が慎重な運転スタイルのために付けられた「キャプテン・スロー(Captain Slow)」というあだ名を返上したエピソードを中心とした「ファースト・タイム・ウィズ・キャプテン・スロー(Fast Times with Captain Slow)」、番組ホストが米国製のクルマについて語った最高の侮辱を特集する「ダァム・ヤンキー(Damn Yankees)」が含まれる。

「真のD2C(ネット専業)サブスクリプション企業になるなら、オーディエンスは『トップ・ギア』の完全なライブラリを求めるだろう。だが、我々は完全なライブラリ以上のことをして、『トップ・ギア』を視聴できる究極のサービスにもなりたい」と、ウェレン氏は語る。

あらゆる規模のメディア企業が競ってD2C化して、サブスクリプションストリーミング事業を構築するなかで、番組(それも特に独占番組)はもっとも重要になる。人々はコンテンツに対して金を払う理由を必要としており、モータートレンドのようなニッチなメディア企業にとっては、世界でもっとも有名な自動車番組の視聴機会を提供することが手助けになる。

旧作との組み合わせに勝機

また、独占配信される新シリーズを完全なライブラリと組み合わせることで、モータートレンドは、新番組を視聴する目的で人々にサインアップさせてから、お気に入りの旧シーズンをキャッチアップするために視聴を続けさせることができるサービスを生み出しつつあると語るのは、エンターテインメント企業、ドゥーイング・ワーク・アズ(Doing Work As)の共同創業者、クリス・アーウィン氏だ。

「旧ライブラリは大好きだが、サインアップするか、まだ決めかねている人もいるかもしれない。新エピソードが約束されれば、そうした人たちも気が変わる可能性がある。それに、旧シーズンには馴染みがないが、新シリーズを楽しんで、最終的に旧ライブラリを視聴する新規顧客にもサービスを提供できる」と、アーウィン氏は指摘する。

契約を宣伝するために、モータートレンドは6月に、選り抜きの英国版エピソードをTVネットワークで放送する。ウェレン氏によると、米国では7300万世帯がネットワークを視聴でき、月平均の視聴者数は1700~2000万人だという。

新シリーズ制作への意気込み

一方、米国版の新シリーズは、夏に制作が始まり、秋に初公開する計画だ。

「『トップ・ギア』に注目すれば、これは聖なる道だ」と、ウェレン氏はいう。「これを成功させるために、この分野で必要な信頼性を理解している。受け継がれてきたものを引き継ぐには、もう少し大胆にならなければならない。だが、我々はモータートレンドだ、受け継がれてきたことが染みついている」と、同氏は語った。

Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)