ファッション雑誌のマリ・クレール(Marie Claire)が、「マリ・クレール・エディット(Marie Claire Edit)」というアグリゲーションサイトを開設した。グッチ(Gucci)、プラダ(Prada)など小売から買い物ができるほか、同誌のファッション編集者から発信される流行を追うことができる。
ファッション雑誌のマリ・クレール(Marie Claire)が、「マリ・クレール・エディット(Marie Claire Edit)」というアグリゲーションサイトを開設した。セルフリッジズ(Selfridges)、グッチ(Gucci)、プラダ(Prada)、ネッタポルテ(Net-a-Porter)、トップショップ(Topshop)といった小売パートナーから買い物ができるほか、同誌のファッション編集者から発信される流行を追うことができる。
このサイトは、マリ・クレールのeコマース収益を拡大し、また、ネイティブ広告とディスプレイスポット広告を、メインサイトと連動して実施するため、親会社のTIメディア(TI Media)が開発した。マリ・クレールによると、オーディエンスデータが集まったら、より進んだ広告ターゲティングを導入する計画だという。
買い物客は「今すぐに買いたいシューズ」、「今シーズン必要なチェックのプレザーの最新事情」といった特集記事をこのサイトで読める。マリ・クレールのファッション編集者6人が、このサイト限定の毎日の特集を作成し、特集からはクリックひとつで、大手からデザイナーまでさまざまなところの製品に関するページに移動できる。たとえば、マンゴ(MANGO)の90ポンド(約1万3100円)を切ったブレザーや、ブルネロ・クチネリの3500ポンド(約51万円)以下のジャケットがある。各アイテムは小売サイトにリンクされており、売上の一部がアフィリエイトとしてマリ・クレールに入る。どれだけ入るのかについては、マリ・クレールが明らかにしなかった。
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「全方位のアプローチだ」と、マリ・クレールのファッションアフィリエイトの責任者であるエミリー・ファーガソン氏はいう。「アフィリエイト、広告、および記事に取り組むことで、オーディエンスのエンゲージメントという強みに沿って、ブランドのアイデンティティを維持できる。購入と広告フォーマットのための新しいタッチポイントを開発したのだ」。
ナチュラルなeコマース
マリ・クレール・エディットは、マリ・クレールの編集トーンの維持と、独立した別のサイトとしての存在証明を両立させる必要がある。ファーガソン氏は、ファッションの立ち上げに特化したマリ・クレールのサイト「ラブ・ファッション・セールス(Love Fashion Sales:すでに廃止)」の改善とリブランドのため、2017年7月にマリ・クレールに入った。マリ・クレール・エディットに同誌の編集者を並べることで、マリ・クレールはメインサイトにアフィリエイトリンクを満載する危険を冒すことなく、eコマースの収益を増やすことができる。
ただマイナス面として、コンテンツが魅力的すぎると、クリックして購入するのをユーザーが忘れるという問題が生じるかもしれないと、オムニコムのエージェンシーであるモバイル・ファイブ(Mobile Five)のストラテジスト、サム・ブランディ氏は語る。「どんなプラットフォームも、特にeコマースだと、メッセージを伝える時間は数秒しかない。提供している価値が直ちにわからなければ、それが問題になる恐れがある」。
ほかに、マリ・クレールの編集者がアイテムをいくつか選び、その印にマリ・クレール・エディットのバッジをつけ、小売業者のストアやサイトにマリ・クレールのブランドをライセンスする。米国ではハースト(Hearst)やコンデナスト(Cond Nast)などの出版社が、ライセンス収益でたくさん稼いでいる。マリ・クレール・エディットの予測収益額については、マリ・クレールが明かそうとしなかった。
プラットフォーム活用戦略
シミラーウェブ(SimilarWeb)によると、マリ・クレールのメインサイトは検索が大きなトラフィック元であり、参照トラフィックの86%を占めている。マリ・クレール・エディットは、メインサイトよりも息の長いコンテンツを制作してSEOランキングを構築した。ほかの小売りサイトへの外部リンクの数は、すなわちすでにマリ・クレール・エディットのSEO強化につながるわけだが、モバイルファイブのマーケティングエグゼクティブであるトム・ステープルトン氏によると、蓄積にはまだ時間がかかるという。
一方で、ページビューの増加と、マリ・クレール・エディットの立ち上げ以降は販売の促進のため、マリ・クレールはPinterest(ピンタレスト)を使おうとしている。Pinterestとファーフェッチ(Farfetch)を使ったキャンペーンを、数カ月以内に実施する計画だ。
ファーガソン氏は、「Pinterestは素晴らしいショッピングプラットフォームであり、クリックで製品に直結する素晴らしいタッチポイントであり、大きな可能性を秘めている」と語る。
マリ・クレールのPinterestチャンネルは、月間ユニークビューが550万件で、66万人のフォロワーがいる。ファーガソン氏によると、先日作ったマリ・クレールのブラックフライデーのPinterestボードは、数千件のページビューを集めた。またシミラーウェブの数字だと、Pinterestはソーシャルプラットフォームのトラフィック参照元の第3位で、平均で15%を占めている。
読み込み速度が課題
たくさんある小売サイトからAPIフィードを獲得しつつ、質の高い画像を表示するために新しいサイトを構築するのは、理にかなっている。ただ、マリ・クレール・エディットはモバイルページの読み込みが遅い。GoogleのPage Speed Insightsによると、デスクトップサイトは読み込みスピードのスコアが99%なのに対し、モバイルページは38%だ。
2018年のはじめ以降、25人以上がマリ・クレール・エディットに取り組んでいるが、マリ・クレールが手がけているのはこれだけではない。メインサイトには健康関係のアフィリエイト事業が残っているし、TIメディアが2016年に、独自の美容ストア「Fabled by Marie Claire」を立ち上げている。全事業におけるeコマースの割合については、マリ・クレールが明かそうとしなかった。
Lucinda Southern (原文 / 訳:ガリレオ)
Image: Marie Claire UK via Facebook.