マガジンハウスは4月15日、福祉をたずねるクリエイティブマガジン「こここ」を創刊した。このサイトは、同社が手掛ける、福祉とクリエイティブをテーマにした新たなメディアプロジェクトの一環であり、「個と個で一緒にできること」を合言葉に、福祉につらなる人や場所、活動、表現、創造性をたずね、紹介していくという。
令和の時代のマガジンハウスの姿が、少しずつ見えてきた。
マガジンハウスは4月15日、福祉をたずねるクリエイティブマガジン「こここ」を創刊。プレスリリースによるとこのサイトは、同社が手掛ける福祉とクリエイティブをテーマにした新たなメディアプロジェクトの一環であり、「個と個で一緒にできること」を合言葉に、福祉につらなる人や場所、活動、表現、創造性をたずね、紹介していくという。
『BRUTUS(ブルータス)』や『anan(アンアン)』、『GINZA(ギンザ)』などのカルチャー誌で、昭和・平成の日本の雑誌黄金期を牽引してきたマガジンハウス。近年では、2012年1月から「日本の地域」をテーマにしたウェブマガジン「コロカル」を運営している。コロカルでは、日本各地の新しい取り組みや文化とつながりながら、その根底にある日本の地域の課題に向き合ってきた。
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「『こここ』もまた、高齢化社会を迎える日本での介護人材の不足、社会のなかで『生きづらさ』や『わかりあえなさ』を感じる人の増加などの社会課題を背景に創刊した」と、同誌の統括プロデューサー、及川卓也氏は語る。「『こここ』では、『クリエイティブ』を入り口に、福祉領域に関わる人・活動・テーマをたずね、紹介していくことで、これからの社会をともに生きていくうえでのヒントを読者とともに考えていければと願っている」。
「クリエイティブ」を入り口に
「こここ」では、ただ福祉の課題を抽出し、ウェブで伝えていくのではなく、あくまでクリエイティブの力をもって、エンパワーメントしていく。実際、揃えられたコンテンツには、ネオ渋谷系お笑いコンビEXITのりんたろー氏や写真家兼障害者プロレスラーの齋藤陽道氏、美学者の伊藤亜紗氏などの名前が並び、いままでにない福祉メディアという印象だ。
「近年では、福祉の現場から驚くほど創造的な活動や表現も生まれている」と、及川氏は指摘する。「さまざまなクリエイターやアーティスト、専門家が関わっているのだ」。
なお、前述したように「こここ」は、マガジンハウスが手掛ける福祉とクリエイティブをテーマにしたメディアプロジェクトの一環だ。広告コンテンツでマネタイズするメディアとともに、課題解決を手伝うクリエイティブラボ「こここラボ」も併設されている。「こここラボ」では福祉に関わるプレイヤーやクリエイター、専門家などとのコミュニティと協働し、新たな知見や技術をとりいれたサービスやシステムを提案・提供していくという。
マガハのデジタルメディア
個々のユーザーのパーソナライズされた課題解決がデジタルメディアに求められるようになり、国内外では専門領域を深める、さまざまなバーチカルメディアが生まれている。マガジンハウス初のデジタルメディアだった「コロカル」で、そうした領域に踏み出した同社は、さらにその分野に深く踏み入れてきたのだろう。
「福祉の現場は社会全体の構造的な課題にさらされ、立ち向かうことを求められてきた領域だ」と、及川氏は締めくくる。「そこには、人と人とが真摯に向き合う実践が存在し、私たちに気づきを与えてくれると感じている」。
Written by 長田真