マーケターたちは、MFA(made-for-advertising:広告のためにつくられた)サイトについて懸念を口にするが、MFAとは実際にどのようなサイトなのか、業界内では明確なコンセンサスが確立されていない。
あるメディアバイヤーに取材して、クライアントのプログラマティックキャンペーンにMFAを含めることについてのスタンスを尋ねたら、こんな反応が返ってくるのだ。「(MFAと聞いて)私の頭にぱっと思い浮かぶのはクリックベイトだが、このとらえ方で合っているだろうか?」。
そこで広告主やパブリッシャーが頼りにするのは、通常であれば、ANA(全米広告主協会)やIAB(インタラクティブ広告協議会)のような業界団体が提供する、統一された定義やガイドラインだ。ANAは10月の発表を目指してガイドラインを作成中だが、IABはまだ公式にはこの問題に触れていない。定義の策定に取り組んでいるかとの問いに対し、IABの広報担当者は「4As:アメリカ広告業協会)またはANAが定義に取り組んでいるのではないだろうか」と答えている。
全米広告主協会は10月に定義を発表予定
「業界全体が、(MFAを規定するための)大きなガードレールを必要としている」と、IABテックラボ(IAB Tech Lab)でプログラマティックおよび製品担当ディレクターを務めるヒラリー・スラッタリー氏は話す。
IABは、MFAに関する公式なポリシーを定めていないが、スラッタリー氏によると、バイヤーはIABテックラボから得られる特定のシグナルに注目し、そのサイトがクライアントのメディア投資に適切かどうかを監視するのに役立てることができるという。
そのようなシグナルには、広告枠のリフレッシュ回数や、動画がインストリームか否かといったことが含まれるが、これらのシグナルだけでは、特定のサイトがMFAであることを示す指標にはならず、さらには「バイヤーによっても、MFAに該当するかしないかというリスクの閾値は微妙に異なるだろう」とスラッタリー氏は述べている。
それでもANAは、実際にどのようなサイトがMFAに該当するかについて、たったひとつの定義を打ち出すべく取り組んでいる。ANAのグループ・エグゼクティブバイスプレジデント、ビル・ダガン氏によると、この定義は、ANAが6月に公開し、初めてMFAについて取り上げた「Programmatic Media Supply Chain Transparency Study(プログラマティックメディアのサプライチェーンの透明性に関する調査)」の続報として10月に発表される予定だ。
マーケターたちは、MFA(made-for-advertising:広告のためにつくられた)サイトについて懸念を口にするが、MFAとは実際にどのようなサイトなのか、業界内では明確なコンセンサスが確立されていない。
あるメディアバイヤーに取材して、クライアントのプログラマティックキャンペーンにMFAを含めることについてのスタンスを尋ねたら、こんな反応が返ってくるのだ。「(MFAと聞いて)私の頭にぱっと思い浮かぶのはクリックベイトだが、このとらえ方で合っているだろうか?」。
そこで広告主やパブリッシャーが頼りにするのは、通常であれば、ANA(全米広告主協会)やIAB(インタラクティブ広告協議会)のような業界団体が提供する、統一された定義やガイドラインだ。
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全米広告主協会は10月に定義を発表予定
ANAは10月の発表を目指してガイドラインを作成中だが、IABはまだ公式にはこの問題に触れていない。定義の策定に取り組んでいるかとの問いに対し、IABの広報担当者は「4As:アメリカ広告業協会)またはANAが定義に取り組んでいるのではないだろうか」と答えている。
「業界全体が、(MFAを規定するための)大きなガードレールを必要としている」と、IABテックラボ(IAB Tech Lab)でプログラマティックおよび製品担当ディレクターを務めるヒラリー・スラッタリー氏は話す。
IABは、MFAに関する公式なポリシーを定めていないが、スラッタリー氏によると、バイヤーはIABテックラボから得られる特定のシグナルに注目し、そのサイトがクライアントのメディア投資に適切かどうかを監視するのに役立てることができるという。
そのようなシグナルには、広告枠のリフレッシュ回数や、動画がインストリームか否かといったことが含まれるが、これらのシグナルだけでは、特定のサイトがMFAであることを示す指標にはならず、さらには「バイヤーによっても、MFAに該当するかしないかというリスクの閾値は微妙に異なるだろう」とスラッタリー氏は述べている。
それでもANAは、実際にどのようなサイトがMFAに該当するかについて、たったひとつの定義を打ち出すべく取り組んでいる。ANAのグループ・エグゼクティブバイスプレジデント、ビル・ダガン氏によると、この定義は、ANAが6月に公開し、初めてMFAについて取り上げた「Programmatic Media Supply Chain Transparency Study(プログラマティックメディアのサプライチェーンの透明性に関する調査)」の続報として10月に発表される予定だ。
メディアエージェンシーによるKPIの例
しかし、コンセンサスが確立されるまでは、ジャウンスメディア(Jounce Media)のクリス・ケイン氏の定義におおむね従うことになるだろう」とダガン氏は話す。
ケイン氏によると、プログラマティックサプライチェーンの管理を手がけるジャウンスメディアは、6つのKPIに基づく基準を作成し、すべてのリアルタイム入札(RTB)サイトにおいて日々それらを監視しているという。
ただし、これら6つのKPIは非公表であり、それだけでもMFAに関する業界標準が必要な理由としては十分といえる。ケイン氏によると、日々のKPIから以下の3つの変数が得られ、そのうちひとつでも該当するサイトがあれば、最終的にジャウンスのMFAリストに追加されるという。
- 有料トラフィックへの依存度が平均的なサイトの2倍に上る。
- 広告密度がウェブ平均の少なくとも2倍に上る。
- 広告がマーケターの売り上げを促進する、または促進するとみなされる確率が、平均的なウェブサイトを少なくとも50%下回る。
まだ新しい概念であるため、マーケターやパブリッシャーの多くは、「押しつけがましい広告体験」をジャーナリズムのかけらもないクリックベイト記事と混同しがちだが、MFAは必ずしもクリックベイトとイコールではないとケイン氏は説明する。「これは完全に広告体験に関するものだ。広告体験がばかげたものであれば、それがMFAに該当する」。
どうすればMFAをブロックすることができるのか
ジャウンスメディアが示す「MFAの主な該当条件は、現時点で得られるものとしてはベストだ」と、トラストエックス(Trustx)のCMO、レイチェル・パスクア氏は話す。SSPのトラストエックスは、その親組織であるデジタル・コンテンツ・ネクスト(Digital Content Next:以下、DCN)の加盟企業を通じて作成された許可リストを優先し、創設以来マーケットプレイスにMFAを一切含めていない。DCNは、コンデナスト(Condé Nast)、ドットダッシュ・メレディス(Dotdash Meredith)、FOXニュース(Fox News)、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(Warner Bros. Discovery)などのパブリッシャーを代表する業界団体だ。
パスクア氏は、「かなり信頼できる」ベンチマークがあっても、AIによって、MFAサイトが毎時間のように量産されている現状では、除外リストを用いてMFAをフィルタリングする試みは「無駄な努力」だと話す。
そのため、トラストエックス、グループエム(GroupM)、シェアスルー(Sharethrough)などのエージェンシーやSSPは、プログラマティックビジネスにおいて、既知のMFAを除くすべてのパブリッシャーを含める除外リストではなく、厳選されたプレミアムパブリッシャーのみを含める許可リストに頼るようになっている。
許可リストは、モグラたたきのように、出現するすべてのウェブサイトを審査する作業を回避するためのものだが、許可リストや除外リストの作成を含むさまざまな目的に使用できるMFAリストをクライアントに提供しているジャウンスメディアのケイン氏によると、許可リストでは必要以上に選別が厳しくなる可能性があり、オープンなインターネットを支援するという点ではリスクがあるという。
「もちろん、50~60のパブリッシャーを含む許可リストを使って大規模なエージェンシーを運営することは可能だ。しかし、それにはマイナス面もあり、黒人が所有するメディア企業、LGBTQが所有するメディア企業、女性が所有するメディア企業を選ばない可能性が非常に高くなる」とケイン氏は述べている。
[原文:Made-for-advertising sites lack a clear definition, causing confusion among the advertising industry ]
Kayleigh Barber(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:分島翔平)