フランスの全国紙「フィガロ(Le Figaro)」を擁するフィガロ・グループは、過去4年間に渡ってデジタル面への大規模な投資を実施しており、その成果が現れてきている。同グループの営業収益の実に70%が、デジタルからとなっているのだ。
フィガロ・メディアのCOO(最高執行責任者)であるアレックス・マルコム氏によると、ここからさらにプログラマティック広告戦略を本格化させ、同分野による収益を2倍にまで増やす計画だという。
フランスの全国紙「フィガロ(Le Figaro)」を擁するフィガロ・グループは、過去4年間に渡ってデジタル面への大規模な投資を実施しており、その成果が現れてきている。同グループの営業収益の実に70%が、デジタルからとなっているのだ。
この成長は偶然の産物ではない。2000人の従業員を抱えるフィガロ・グループは、エンジニアやデベロッパー(その数はいまや350人)、そしてテック、データ関連のインフラに投資を続けてきた。その額は、500万ユーロ(約6.14億円)にも上る。ほかにも買収による自社トレーディングデスクの獲得、スタッフの半分を全ビジネスにおいてデジタルに特化した職に再配置する、といった改革も行われた。
フィガロ・メディアのCOO(最高執行責任者)であるアレックス・マルコム氏によると、ここからさらにプログラマティック広告戦略を本格化させ、同分野による収益を2倍にまで増やす計画だという。
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「フランスの市場において私たちはいま、市場に存在するすべてのエージェンシーや広告主と直接話すことができるほどのサイズになっている。仲介をさらに減らし、彼らと直接やり取りをしたい。私たちはまた、自社のパブリッシャー・トレーディングデスク業務を開発している。その業務としては、私たちが所有する全事業からのデータをさらに活用すること、そして高品質な広告フォーマットを提供することが含まれる」と、マルコム氏は語った。
大きく膨らんだオーディエンス
フィガロは2015年10月、仏メディア・グループであるCCMベンチマークを買収しており、それによってオーディエンスの規模、そしてプログラマティック広告収益が大きく膨らんだ。
買収の時点でCCMのデジタル・メディアは、デスクトップで合計2400万のユニークユーザーというオーディエンスを抱えていたのである。このメディアというのは「JDN(Journal du Net)」「ハウ・イット・ワークス(How it Works)」「ウーメンズ・ジャーナル(Women’s Journal)」などだ。
仏調査会社メディアメトリー(MediaMetrie)によると、現在のフィガロ・グループのユニークユーザー数は、モバイルとデスクトップを合わせて3100万にまで達している。
プログラマティック収益を2倍に
CCMのデジタル収益の半分は、プログラマティック広告によるものだ。その一方で、買収時のフィガロにおいてプログラマティック広告は、デジタル収益の25%しか占めていなかった。しかし、マルコム氏の発言を信じるとすれば、その状況もすぐに変わるだろう。
プログラマティックによる収益を2倍とするために、CCM事業に加えてフィガロ・メディアのオーディエンスからもさらにデータを引き出す計画を立てているというのだ。それによって、より高度にターゲット化された広告機能を生み出すとともに、自社のパブリッシャー・トレーディングデスクを発展させると、マルコム氏は語る。
全事業・全デバイスにおいて、広告をプログラマティックに提供するためにフィガロは、アップネクサス(AppNexus)との提携を発表した。これによりアップネクサスの広告サーバーを使用し、プラットフォームやアナリティクスの最適化技術を活用することができる。マルコム氏によると、広告在庫の値段設定のコントロールと透明性が、改善されることを期待できるという。
ここでの焦点はモバイルとデスクトップ両方におけるディスプレイ広告である。現在、モバイルにおけるプログラマティック広告はフィガロのボリュームの80%を占め、収益の40%を占めている。
思いがけず短縮されたロード時間
アップネクサスとの提携には予想していなかった特典もあった。デスクトップのページ表示時間が12秒から5秒へと大幅に削減されたと、マルコム氏は言う。モバイルでのページ表示時間も、6秒から4秒に短縮された。
この大幅な高速化は、アップネクサスでも想定はしていなかったという。同社のヨーロッパ・中東・アフリカにおけるパブリッシャー売上部門のJCコンティ(JC Conti)は次のように述べている。
「これは思ってもみなかった特典だ。私たちはそのような効果は売り込んでもなかった。しかし、考えてみればすべてのソリューションをひとつの同じプラットフォームに統合し、しかもプラットフォームは常に結果をもとに最適化されているとなると、情報の流れの複雑さを解消することになる。それは最終的には待ち時間の短縮になるのだ」。
「ヘッダー入札」や「ウォーターフォーリング」は、どちらもプログラマティック広告における収益増加を促す人気のテクニックだが、アップネクサスとの提携でフィガロはそれらに頼らなくてよくなった。
「「ウォーターフォーリング』しなくて良くなったことで、ページの読み込み時間が本当に改善された」と、マルコム氏は最後に締め括った。
Jessica Davies(原文 / 訳:塚本 紺)
Image via Wikimedia Commons