これまで多くのパブリッシャーがTikTokを使った迅速、簡潔、万能な事業収益モデルの構築に挑んできたが、ことごとく失敗に終わった。だが、ついに1社、成功者が現れた。ギャラリーメディア(Gallery Media)のCEO、ライアン・ハーウッド氏は具体額は明かさないものの、その額が数億円規模であることを認める。
これまで多くのパブリッシャーがTikTokを使った迅速、簡潔、万能な事業収益モデルの構築に挑んできたが、ことごとく失敗に終わった。
だが、ついに1社、成功者が現れた。ギャラリーメディア(Gallery Media)のCEO、ライアン・ハーウッド氏は具体額は明かさないものの、その額が数億円規模であることを認める。同社はギャリー・ヴェイナーチャック氏が保有する女性向けライフスタイルブランドのピュアワウ(PureWow)、そしてゲームやインターネットカルチャーブランドのOne37pmを運営するパブリッシャーである。
ギャラリーメディアは、SNS事業における収益のうち、TikTokによるものが実に45%にも上る。同社は直近の2年間、ひたすらTikTokを利用した事業戦略に取り組んできた。その方針はインスタグラムやピンタレスト(Pinterest)を使った事業戦略に類似する。つまり、急成長を続けるプラットフォームを利用し、さまざまな分野(カテゴリー)で存在感を発揮できるようなポートフォリオの設計に主眼が置かれている。
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ギャラリーメディアは@purewow、@one37pmのアカウント以外にも、@homeや@fashion、@recipes、@dessertsなど、12にも及ぶ分野(カテゴリー)のアカウントを展開している。これによりさまざまなブランドコンテンツの配信が可能になっている。
「コンテンツ制作をするうえで、必ずしもピュアワウやOne37pmに縛られる必要はない」とハーウッド氏は語る。
アカウントを細分化する戦略
TikTokにおけるピュアワウのフォロワー数は12万5000人以上で、コンテンツ全体で350万を超える「いいね」を獲得している。One37pmはフォロワーが50万人以上、「いいね」の数は1250万以上だ。一方、同社のTikTokアカウントでもっとも人気なのが@recipesで、フォロワーが78万人以上、「いいね」は790万を超えている。
ピュアワウおよびOne37pmでは、広告主とのブランデッドコンテンツ契約が可能となっている。ソーシャルインテリジェンス企業のコンビバ(Conviva)でストリーミング部門のバイスプレジデントを務めるニック・シセロ氏は「オーディエンスの関心がある分野のアカウントを活用することで、地域の広告主やニッチなブランドのファンにもリーチしやすくなる。これはメディア企業にとっても、もちろんプラスな戦略だ」と語る。
さらには、ギャラリーメディアのTikTok事業は、これらの広告収入にのみ頼っているわけではない。パブリッシャーであると同時にエージェンシーでもある強みを活かし、契約内容や状況に応じて、広告主に対し、バイラルメディアの専門知識に基づく、各ブランドにとって最適なSNSプラットフォームの活用方法をコンサルティングしている。
TikTok攻略のふたつの手法
ハーウッド氏によれば、ギャラリーメディアは事業展開をするうえで、ふた通りの手法を採用しているという。ひとつ目が、ペイパル(PayPal)やアスレタ(Athleta)、ウォルマート、サブラ(Sabra)といったブランドと、同社のTikTokインフルエンサーネットワークをつなげる手法だ。たとえば、アスレタとのあるキャンペーンでは、専用のカスタムサウンドを作成。それを利用した動画が、720万人のフォロワーを有する @SweetyHigh のようなインフルエンサーたちを通して、2500本以上作成されたという。
そしてもうひとつは、各ブランドのTikTokアカウントを直接作ってコンテンツ配信する手法だ。
事例を挙げれば、レブロン(Revlon)に対して、この手法を採用した。同アカウントは現在、TikTokで3万7000人以上のフォロワーと40万以上の「いいね」を獲得している。米DIGIDAYの姉妹メディアであるグロッシー(Glossy)によれば、最近では、ギャラリーメディアとレブロンのマーケティングチームが共同で #DoItBold challenge というTikTok上でのキャンペーンを展開し、リリースからわずか3日間で20億回以上の再生数を集めたと報じられた。
ハーウッド氏は「大半のパブリッシャーは、TikTok上で自社アカウントを立ち上げ、ブランデッドコンテンツを展開している。我々が行っているのは、クライアント(広告主)のよる、これらのコンテンツ展開の代行業に過ぎない」と語る。
ポッドキャスト番組の制作も
ギャラリーメディアがTikTok上でこうした事業を始めて2年が経つ。今や同社は、2021年に配信開始予定のTikTokにおける初のポッドキャスト番組の制作権も獲得している。
番組は同社のメディアブランドとは無関係な内容とすることにより、同社に配信収益の約10%が入ってくる契約だ。また、ギャラリーメディアの大半のポッドキャスト番組と同様に、このTikTokのポッドキャスト番組ではTikTokが独占スポンサーとなっている。
「昨年は基礎を作り上げる段階であり、慎重に取り組んできた。そして今年はさまざまな分野で事業が実を結び、強固な収益へ飛躍してくれた」。ハーウッド氏の自信は揺るぎない。
[原文:‘Launching content on behalf of clients’ How Gallery Media turned TikTok into a 7-figure business]
KAYLEIGH BARBER(翻訳:SI Japan、編集:長田真)