米人気コメディアンが企む、 動画ビジネス の多様化戦略:「ラフ・アウト・ラウド」の生き残り方

コメディアンのケビン・ハートとライオンズゲート(Lionsgate)によるコメディ・ビデオネットワーク「ラフ・アウト・ラウド(Laugh Out Loud:以下LOL)」は、有料会員制を2018年のビジネスの中核に据えようと計画している。

LOLではオリジナルのWebシリーズ、短編のソーシャルビデオ、TVビデオ、映画、スタンドアップコメディをプラットフォーム上で提供しており、またYouTubeやFacebookといったソーシャル配信パートナー契約も行っている。月額2.99ドル(約330円)で広告無しの利用ができると8月から加入者を集めている。しかし、ネットワークのマーケティング・マネタイゼーション部門シニア・バイスプレジデントであるタイ・ランドルフ氏によると新ネットワークとしての存在を知ってもらうことにフォーカスしており、加入者数を増やすためのマーケティングはそこまで大規模には行ってこなかったという。

ローンチの段階で、意図的に良いコンテンツとクリエーターにフォーカスを置いたコミュニティを作ろうとした。もちろんさらに(追加のサービスに料金を払うことに)オプトインしたいというユーザーのためのプレミアム体験をしっかりと提供したいと考えている。

ランドルフ氏は広告無しのバージョンに料金を支払って加入している登録者数は明らかにはしなかったものの、彼らによるとアプリは8月のローンチから最初の30日間で50万回ダウンロードされたという。ランドルフ氏によると、それ以降の追加のダウンロード数は「6桁台」にあるという。

LOLの次のステップ

LOLの次のステップは、ユーザーに追加料金のサービスに登録するモチベーションを与えることだ。限定番組や映画やスタンダップ・スペシャルへの簡単アクセスなどが可能性として挙げられる。また彼らのメンバーシップモデルはイベント形式のプロダクトもサービス内容に含んでいる。これはクランチーロール(Crunchyroll)やドラマフィーバー(DramaFever)、そしてルースター・ティース(Rooster Teeth)も登録者ベース拡大のために行っている。

LOLのメインビジネスは、コメディビデオのネットワークだが、デジタルやTV配信に売るためのTV番組やスタンドアップ・スペシャルを制作するためのスタジオビジネスも構築中だ。また日常的なソーシャルビデオやオリジナルのデジタルシリーズをネットワークの内外両方に向けて制作する。

LOLのコンテンツにはFacebookやほかのプラットフォームに載る短いソーシャルビデオの形式をとっているもの、LOLのサイトやアプリで公開される8分から10分程度の「スイートスポット」とランドルフ氏が呼ぶ中編ビデオ、そして外部の配信パートナー向けのテレビ番組規模のコンテンツがある。

さらなる追加収入源

また制作するコンテンツの量を増やすためにデジタルスタジオを設立中であると、ランドルフ氏は言う。これによって、毎月1から2本の中編デジタルシリーズ、4から6本の外部配信向けの大規模なプロジェクトを制作するという。

これまでのところ、LOLは8本のオリジナル・デジタルシリーズを公開している。コント番組「モー・ファニー・モー・ラフス(Mo Funny Mo Laughs)」や大学を舞台にしたコメディア「キャンパス・ロー(Campus Law)」、そしてブランデッドシリーズである「ケビン・ハート:リフト・レジェンド(Kevin Hart: Lyft Legend)」などがある。LOLはまたケビン・ハートが出演するTV番組「ワット・ザ・フィット?(What the Fit?)」をYouTubeに売った。これは2018年初頭に広告サポートのオリジナルTV番組としてプレミア配信される予定だ。ブランドやプロダクトの入れ込みからの収益に加えて、LOLはこういったプログラムの権利も保有しているため、ほかのマーケットやプラットフォームでのちに配信されることになった場合も追加の収入源となる。

ビデオ以外では、シリアスXM(Sirius)とパートナーを組んで、新しいコメディ・ラジオチャンネルを2018年にローンチする予定だ。そこではハートが司会となって行われるインタビュー番組などが毎週オリジナル番組として放送される。またLOLがすでにアーカイブに保有しているスタンドアップ・スペシャルなどをシンジケート・コンテンツとしても放送するという。

「オープンかつ流動的に」

「(新しいビジネスモデルに対して)オープンかつ流動的でいられるように努力している。エコシステムが変わる可能性があることを理解しているからだ。世間とつながりを持ったブランドを持ち、面白いクリエーター群を持っている限りは、メンバーに価値(のあるコンテンツ)を届ける方法はたくさんあるし、最終的にはそのオーディエンスをマネタイズする方法もたくさんある」と、ランドルフ氏は語る。

LOLはライオンズゲートのデジタルベンチャーグループに属している。このグループではオーバー・ザ・トップ(OTT)動画配信、ストリーミング配信のビジネスにフォーカスを置いている。会社の顔となっているケビン・ハートはそれぞれの部局のトップとのミーティングにも参加し、プログラムやサブスクリプション戦略やタレント選別などについて意見を交わしているという。

「彼はただアップデートをしてもらうのを待っているわけではない。プラットフォームのビジョン形成に関わっている。それはコメディという観点だけではなく、ビジネスの観点からもだ」と、ランドルフ氏は説明した。

Sahil Patel(原文 / 訳:塚本 紺)