「試す価値はある」: GQ が独自ECの開設で、自社商品の販売へ

男性ファッション/ライフスタイル誌、GQはレベニューストリーム(収益源)の拡充を図り、8月25日の火曜日、新たにeコマースストア、The GQ Shop(ショップ)を立ち上げた。同誌は2018年1月からGQ Recommends(レコメンズ)でのアフィリエイトと、年4回のサブスクリプションサービス、GQ Best Stuff Box(ベスト・スタッフ・ボックス)を開始しており、今回の動きはこれらに続くものとなる。

まずは、GQブランドのTシャツとスウェットシャツ――12種類、価格は40ドルから100ドル(約4200円から約1万590円)――を売り出すほか、15ドル(約1588円)での年間購読(GQオリジナルキャップ付き)や、GQ Best Stuff Box(1箱50ドル[約5290円]、または年間4箱で90ドル[約9531円])も販売していく。

新規ショップに自信あり

GQ編集長ウィル・ウェルチ氏とデジタルディレクター、ジョン・ワイルド氏はいずれも、今年度初頭から続くコマースビジネスの好調を踏まえ、新規ショップにおける読者の活発な消費に自信を持っている。

現在までのところ、Best Stuff Boxの収益は前年比162%増を記録している。同誌によれば、同ボックスを1個購入した顧客の平均定着率は85%強、年間購買者の平均定着率は75%強に上る。さらに、同誌のアフィリエイトビジネスの拠点GQ Recommendsは現時点で前年比105%増となっている。

GQ Best Stuff Box購入者の1/3が、箱の中身を見せるYouTube動画やニュースレターなど、同ボックスを宣伝するエディトリアルコンテンツ経由となっている。これまでに販売した5個のボックスはすべて完売しており、なかには発売からわずか6週間で売り切れたものもある。

この高コンバージョン率をワイルド氏は好材料と見ており、これは読者が同誌の推薦を大いに参考にし、実際に購入に至るほど高く評価している証であり、GQブランドの商品についても、同誌の推薦に耳を傾けてくれる可能性が高いことを示していると語る。

また、それだけではなく、「これはつまり、我々のTシャツに注目してもらうのに、マーケティング費をさほどかけなくても済む、ということでもある」と、ウェルチ氏はいい添える。

米メディア監査協会AAM(Alliance for Audited Media)によれば、今年度上半期、GQの有料および認証済み発行部数は95万部弱で、デジタル市場分析会社コムスコア(Comscore)によれば、7月、同誌サイトのユニーク訪問者数は630万人だった。

スケールはあくまで二次的

ただし、新設ショップは大勢のオーディエンスにリーチするコンテンツとリンクされている一方、品揃え対する読者の反応を見るのに、スケール(規模)はあくまで二次的なものでしかないと、ウェルチ氏はいう。

実際、確保できる高クオリティ商品が限られているために一定数しか発売できないGQ Best Stuff Boxの場合と同じく、The GQ Shopで今回発売するTシャツとスウェットシャツについても、各アイテム数百着しか用意しないという。

自社ショップを持つことはしかし、「クオリティとテイストに関して、同誌の目は確かである」という「証明」になると、メディアコンサルティング会社クオンタム・メディア(Quantum Media)のプリンシパル、エイヴァ・シーヴ氏は語る。

「しかし歴史的に見て、雑誌は」定期購読を除き「[ブランド]商品の販売に弱い」。というのも、オーディエンスは通常セグメント化されており、その結果、ブランドが伝えたい総体的なメッセージが薄れてしまうからだと、氏はいい添える。

だからこそアフィリエイトビジネスが、そして商品の製造および流通をまかなえる製造業者とのライセンス契約が、パブリッシャーにとっては最も魅力的であり、コストも低く抑えられる選択肢である場合が多いと、氏は語る。

「儲けがすべてではない」

とはいえ、GQは商品を小ロット生産し、自社ショップで販売するため、製造および配送費を差し引いても、一般にパブリッシャーが行なう他のビジネスと比べると見劣りはするが、多少の利ざやは残る、とも氏は指摘する。

「莫大なものにはならないだろうが、試してみる価値はある」と氏はいう。

GQのこの動きにはさらに、マーチャンダイズの販売で手にできる粗利益とはまた別の有益な目的もあると、氏はいい添える。「GQはおそらく、ライセンス契約を結ぶに値するブランドであることを自ら立証しようとしているのだろう」。

「儲けを追い求めるのがすべてではない。そんなことをしていると」、高クオリティ商品の推薦に関するGQの「権威を自ら貶めてしまうことになる」と、ウェルチ氏は語る。

[原文:‘It’s worth testing’: GQ is moving from recommending products to selling its own

KAYLEIGH BARBER(翻訳:SI Japan、編集:長田真)