「ハフィントン・ポスト(The Huffington Post)」にとって、2017年の最優先課題は、10代を含めた新たなオーディエンス層に気に入ってもらうことだ。そのために、メルマガ限定コンテンツの制作や、新たなFacebookコミュニティの開設を進めている。
「ハフィントン・ポスト(The Huffington Post)」にとって、2017年の最優先課題は、10代を含めた新たなオーディエンス層に気に入ってもらうことだ。そのために、メルマガ限定コンテンツの制作や、新たなFacebookコミュニティの開設を進めている。
「キャンセルド・プラン」の成功
「ハフィントン・ポスト」は昨年12月、内向的な人たちをターゲットにしたFacebook限定のページ「キャンセルド・プラン(Canceled Plans)」を開設した。最初の3カ月間、このページから自前のコンテンツにリンクすることはなく、TumblrとRedditから許可を得た写真のみを投稿し続けた。「キャンセルド・プラン」は1カ月もしないうちに2万人のフォロワーを集め、2カ月前倒しで目標を達成。現在は、フォロワー数が13万人を超える。
「キャンセルド・プラン」の成功が意味するのは、デジタルパブリッシャーにあまり注目されていない層を、「ハフィントン・ポスト」が開拓しつつあるということだ。同社が現在運営しているFacebookコミュニティは7つ。ミレニアル世代のイスラム教徒向け「トゥモロー、インシャラー(Tomorrow, Inshallah)」、旅好き女性向けの「パック・ライト、ゴー・ファー(Pack Light, Go Far)」、地方政治についての「ゼアズ・モア・トゥ・ザ・ストーリー(There’s More to the Story)」などだ。
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これらのページのアプローチは「キャンセルド・プラン」と同様で、まずはオーディエンスに会話のきっかけを提供し、コミュニティーをスタートさせ、あとからコンテンツを紹介するというものだ。「我々にとってこれは効率的なやり方だ」と、同メディアのグロース・アナリティクス責任者を務めるキキ・フォン・グリナウ氏は語る。「まだオーディエンスを獲得できていない段階で、彼らを狙ったコンテンツを作っても仕方ない」ということだ。
若年層を獲得する取り組み
だからといって、こうしたFacebookコミュニティがすべてうまくいったわけではない。ページを開設する前に、「ハフィントン・ポスト」はそのコミュニティと対話できるスタッフをまず確保する。その後、ソーシャルコンテンツの共有とコメント管理に関する3カ月の成長戦略を立案する。ページにフォロワーが集まればいうことなし。だが、たとえ集まらなかったとしても、大した出費ではない。
「キャンセルド・プラン」ではすでに自前の記事や動画の共有を開始している。対話型アプローチの成果は上々だと、フォン・グリナウ氏は語る。たとえば、「内向的な人たちが苦手な10のこと」という記事は、17倍のフォロワー数を誇る「ハフポスト・ライフスタイル(HuffPost Lifestyle)」のFacebookページに比べ、5倍も多く「キャンセルド・プラン」でシェアされた。同様に、「内向的な人の生きざまがわかる、皮肉っぽい12のカード」は、フォロワー数が25倍の「ハフポスト・グッドニュース(HuffPost Goodnews)」のFacebookページに比べ、4倍近く「キャンセルド・プラン」でシェアされた。
同メディアのFacebookコミュニティ戦略は、新たな若いフォロワーの獲得を目指す、同社の幅広い取り組みの一環だ。2017年のはじめ、同社は限定コンテンツを含むニュースレター「ザ・ティー(The Tea)」の配信を開始。また、バーティカルメディアブランドも立ち上げた。そのひとつである「ザ・スコープ(The Scope)」は、健康関連のコンテンツに特化し、「ハフィントン・ポスト」だけでなく他メディアのコンテンツもシェアしている。
R&Dに特化した専属チーム
こうしたFacebookコミュニティや「ザ・ティー」を生み出したのは、3人のスッタフからなるチーム「ハフポストラボ(HuffPost Lab)」だ。彼らは14人編成のオーディエンス開発部門に所属し、新たなテクノロジーや成長戦略の試験導入を実施。ラボのメンバーは、チャットボットのテストから、「ブランドアンバサダー」プログラムの一環である大学生による寄稿まで、さまざまなことに取り組んでいる。
「我々はこのチームを編成したおかげで、さまざまなアイデアを試し、ニュースルーム全体で推進するに値するものかどうかを検証できている」と、フォン・グリナウ氏は語る。「うまくいったときは、『素晴らしい、ニュースルームに広めよう』となるし、失敗からも教訓を学び、リソースを投資すべきでない分野を把握できた」。
Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)