Business Insider(ビジネスインサイダー:BI)および一般ニュースのスピンオフタイトルであるインサイダー(Insider)の親会社であるインサイダー(Insider Inc.)が、ビジネス、ニュース、ライフスタイルの3部門に分かれた編集チームを再編成している。
Business Insider(ビジネスインサイダー:BI)および一般ニュースのスピンオフタイトルであるインサイダー(Insider)の親会社であるインサイダー(Insider Inc.)が、ビジネス、ニュース、ライフスタイルの3部門に分かれた編集チームを再編成している。各編集チームを分野ごとに集中させるとともに、オーディエンスと広告クライアントに対して編集権限をより明確にすることが目標だ。
インサイダーのCEOであり、自身も編集者であるヘンリー・ブロジェット氏は今回の再編成について、「過去5年間の、当社全体で一貫したビジョンに基づいた取り組みだ」と語る。
立ち位置をより明確に
昨年、BI編集チームのうち、政治、ニュース、軍事防衛の担当者らは、一般ニュースタイトルのインサイダーへと異動した。これもまた両タイトルをより明確に差別化する取り組みといえる。同社にとって両タイトルは今後も主力であり続けるが、社内の混乱を避けるため、立ち位置をより明確に定めていく方針だ。BIは企業役員向けのニュースやライフスタイルを報じる一方で、一般向けニュースや政治、そして旅行や食事といったライフスタイル分野はインサイダーが取り上げる。とはいえ、今後も両ブランド間である程度重なるコンテンツも残される。
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これに伴う人事異動も行われてきた。たとえばBIの英国版と国際版の前編集長、ジム・エドワーズ氏はインサイダーのグローバルニュース編集長へと異動した。そしてインサイダーの米国編集長のジュリー・ゼベロフ・ウェスト氏はライフスタイル部門へ、アリソン・ションテル氏はBIの編集長を務めることになる。また、インサイダーがビジネスニュースから一般向けにシフトするにあたって同パブリッシャーは編集スタッフにも投資を続けており、2018年からニュースルームの人員は10%増加した。
インサイダーのグローバル編集長、ニコラス・カールソン氏が社員に向けて送ったメールによれば、動画チームに変更は行われないという。
ブロジェット氏は、インサイダーのシフトによるマイナスの影響によって再編成を決断したわけではないが、各ブランドで多少の混乱はあったと述べている。同氏は、具体的な数字については明かせないものの、編集チームへの投資に伴い、今後は発行するコンテンツ量も増えると語っている。
広告もより売りやすく
BIは2007年にビジネス、経済、技術分野のニュースを報じるタイトルとして設立され、5年前にインサイダーのタイトルでライフスタイル報道も行うようになった。同社が掲げるビジョンは、ブランドをさらに統合させることで、今回の再編もその目標へ向かう一歩だ。
時が経つにつれ、BIのビジネスニュース色は薄まってきた。現在BIはアマゾンで発生している大規模な火災や休暇中に撮った子供の写真への批判に反論するクロエ・カーダシアン氏などの記事も取り上げている。また、インサイダーも多数の政治分野のコンテンツを配信している。
「再編によって、クライアントの望むコンテクストに合わせたキャンペーン展開が可能になる」と、ブロジェット氏は語る。インサイダーの収益の大半は広告収益で、さらに収益増を続けている。
昨年インサイダーは通年で初の黒字をあげ、1億ドル(約110億円)の収益を達成した。インサイダーは時間をかけて、動画制作やイベント、ライセンス提供番組、Facebookなどのプラットフォームへの進出、コマースなど収益源の多様化につとめてきた。またインサイダーは2015年、アクセル・シュプリンガー(Axel Springer)に3億4300万ドル(約411億円)で買収されており、それによるメリットも生じている。
サブスク収益も順調に成長
また、同社のサブスクリプション商品であるBIプライム(BI Prime)は、編集チームの再編によって変化することはないという。BIプライムは2017年にサービスを開始し、会員に向けて追加の記事を提供している。ブロジェット氏によると、今年の4月から6月までの会員増加は、昨年の同時期よりも180%大きいものだったという。具体的な数字は明かせないものの、会員数は数万人規模で「急速に」伸びているとのことだ。同じくアクセル・シュプリンガーの子会社であるeマーケター(eMarketer)との統合に伴い、来年度のサブスク収益は広告収益に匹敵するレベルにまで増加すると見られている。
また、ブロジェット氏はBIプライムのローンチによる広告収益へのマイナスの影響はないとしており、次のように語った。
「広告収益は伸び続けており、クライアントにとって大きなビジネスチャンスが広がっている。同時にサブスク事業にも大きな決心をもってのぞんでおり、広告だけでは難しいようなジャーナリズムを実現していきたいと考えている」。
Lucinda Southern(原文 / 訳:SI Japan)