50人規模の「データ戦略」チームを抱える、ターナーの野望

ターナー(Turner)には現在、50人からなる戦略ならびに製品イノベーションチームが存在する。彼らは新興のコンテンツメディアとのクリエイティブな実験の手伝いからデータプライバシー法へのコンプライアンス継続の保証まで、そのあいだにあるすべてのことを支援している。

ターナーのデータ戦略ならびに製品イノベーション担当エグゼクティブバイスプレジデント、ジェス・レッドニス氏が率いるこのグループは、CNNやTNT、アダルトスイム(Adult Swim)のようなターナーの番組ブランドとターナーの広告販売の支援に焦点を絞った、広範囲なサービス部門として活動する。グループメンバーのおよそ半数は、ターナーのアトランタオフィスから来たデータサイエンティストだ。残りはエンジニアや製品の専門家、ターナーの番組ブランドならびに販売部門のコンサルティングを担当するクライアントエンゲージメントチーム、ビジネス業務ならびにデータガバナンスチームが含まれている。データガバナンスチームは、「一般データ保護規則(General Data Protection Regulation)」や、施行が近づいているカリフォルニア消費者プライバシー法(California Consumer Privacy Act)へのコンプライアンスに対応している。

「我々は(ターナーで)多様なグループを支援し、彼らの能力を向上させて、単にデータの照合に時間を費やすのでなく、より戦略的になれるようにする」と、レッドニス氏はいう。

「手持ちの札でしかない」

データサイエンティストは現在、メディア企業とマーケターの両方で需要が高まっている。業界のパネルディスカッションでよく使われる決まり文句だが、データの(正しい)実装が具体化してきた。メディア企業が新しいビジネス分野に乗り出す場合は特にそうだ。たとえば、米プロレス団体WWEは、単にテレビ番組とペイパービューを推進するだけではなく、独自の直販型サブスクリプションのストリーミング製品を持っている。この製品は、サブスクライバーの獲得や維持に関する戦略、動画番組などを支援できる人材を拠り所としている。WEEの共同会長を務めるミシェル・ウィルソン氏によると、WEEはデータサイエンティストを60人雇用している。

同じことがマーケターにも当てはまる。その多くはデータサイエンティストのチームを作り、日々与えられる情報をよりよく理解しようとしている、とブラックバード(Blackbird)の最高経営責任者(CEO)、ロス・マーティン氏は話す。

「マーケターにとって、データサイエンスはもはや競争上のメリットではなく、手持ちの札でしかない」と、マーティン氏は語る。「成功しているマーケターは、データに対する基本的な理解が必要だと知っている。そこにデータサイエンティストのチームがいて、彼らの意思決定を誘導し、消費者が本当に欲すること、インパクトを与える方法で彼らにリーチする方法を理解させる」。

さまざまな方法で支援

データ戦略ならびに製品イノベーション担当グループは、ターナーの社内でさまざまな方法で支援を提供している。マーケティングサイドでは、グループはターナーのマーケティングチームと協力して、新しい視聴者を捕まえるために、広告費を使ってくれる新しいオーディエンスセグメントを見つけていると、レッドニス氏はいう。

このグループはさらに、ターナーの調査チームが複数のプラットフォームの視聴形態をよりよく理解できるようにアナリティクスダッシュボードを構築するために、ニールセン(Nielsen)、ロク(Roku)など、ターナーと関わりのある他のプラットフォームやプロバイダーからテレビ視聴者データを取り出してもいる。このグループはさらに、ターナーの配信担当幹部が、テレビのストリーミングサービスからロクに至るまで動画配信業者と新たな契約の交渉をする際のサポートもする。

レッドニス氏は次のように語る。「ターナー全体で多数のアプリがある。我々は現在、動画の視聴やエンゲージメント(チャットやゲームのような他分野でのアクティブエンゲージメントも含めたもの)をどうやって特定・定義するか、その標準的方法を定めている最中だ。そしてそれを、ターナーが世界に持つすべてのタッチポイントで展開していこうとしている。我々は最大規模のオーディエンスが何かを理解しなければならない。以前はそれを気にしなくてもよかったが、いまは気にする」。

スコープの一例でしかない

だが、これらは、このグループが社内で目指している幅広いスコープの一例でしかないと、レッドニス氏は語り、「ストーリーテリングの代替メディアを探したいと思っているクリエイティブたちが、強い関心を示しはじめていることもわかっている」と、同氏は補足した。「リニア(線的)なストーリーテリングに代わるものだけでなく、彼らは拡張現実(AR)や仮想現実(VR)に関心を持っている。我々は、彼らがどのプラットフォームで実験をするのがよいか、なぜそれがよいかを判断する手助けをする」。

タイム・ワーナー(Time Warner)はAT&Tに吸収され、ワーナーメディア(WarnerMedia)と改名されたこともあり、ターナーは姉妹企業のHBOやワーナー・ブラザーズ(Warner Bros)、そして新しい広告会社ザンドラ(Xandr)とのコラボレーションを目指した協調の動きもあると、レッドニス氏はいう。

「私はいま、毎日、ワーナー・ブラザーズやHBOと話し合いを重ねているし、ザンドラのチームとの統合も進めている。こうした大手ブランドがお互いをどのようにテコ入れできるかという点では、まだ初期段階にある」と、レッドニスは語った。

Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)