NowThis が実践する、抑制的な TikTok コンテンツ戦略

複数のプラットフォームにコンテンツを同時配信する、NowThis(ナウディス)のシンジケーション戦略は、TikTok(ティックトック)でも機能している。このソーシャル動画のパブリッシャーは、TikTokでの配信開始からちょうど100日目を迎えたばかりだが、1日1回にも満たない投稿数で、すでに64万2000人のフォロワーと、1900万件の「いいね」を獲得している(※原文記事は3月11日掲載)。

昨年12月2日のアカウント開設以来、NowThisはTikTokで85本の動画を配信してきた。うち17本は配信時に100万ビューを超えた。別のチャンネルとして開設しているNowThis Politics(ナウディス・ポリティクス)はこれまでに27本の動画を配信し、うち2本が100万ビューの大台をたたき出した。

ほかのチャネルに比べれば、オーディエンスの規模としては大きくない。ソーシャルメディアの分析を手がけるクラウドタングル(CrowdTangle)によると、NowThisが同時期にFacebookのフォロワーに配信した動画は1400本を超える。一方で、NowThisによると、サードパーティソースの標準的なニュースコンテンツはTikTokでも良い数字を出しているだけでなく、編集にかかる労力も比較的小さいという。

コンテンツ制作は比較的容易

NowThisのチーフコンテンツオフィサーを務めるティナ・エクサルホス氏によると、同社が提携先のプラットフォームで配信するコンテンツの大半がそうであるように、TikTokのコンテンツも、通常、サードパーティソースからシンジケート配信される。8年近くに及ぶ配信歴から、同社は、このタイプのコンテンツが事業拡大にはもっとも有効であると学んできた。

NowThisは社内でも独自のコンテンツを制作しており、これを各プラットフォーム向けに編集し、配信している。スーパーバイジングプロデューサーのブライアン・パトリック・バーン氏が率いる制作部門では、編集部員をフィーチャーした動画を含め、さまざまなタイプのコンテンツを試行錯誤してきた。なかには、ポリティクス(政治)のページで配信した「弾劾」関係の解説動画のように、最初にTikTok向けに制作または編集したコンテンツもあるという。

バーン氏によると、TikTokの場合、60秒という時間制限があるため、編集方法もほかとは異なるという。「もっともインパクトのある要素だけを残し、不要な部分は削ぎ落とす」と同氏。たとえば、オーストラリアの山火事のニュースでは、米国の消防隊が救援に駆けつけるシーンを、最小限のテキストとGIFをのせた20秒の動画にまとめている。

NowThisのプロデューサー、スカウト・マケクロン氏によると、TikTokでの試みはいまだ実験の域を脱するものではなく、TikTokのオーディエンスに対してもっともパフォーマンスの高いフリクエンシーと動画の長さを模索している。それでも、動画の編集作業が最小限で済むカジュアルなプラットフォームであるため、コンテンツの投稿は容易という。ほかのプラットフォームやソースからの再利用であればなおさらだ。

コミュニティ構築が賢い戦略

デジタル動画の分析を行うコンビバ(Conviva)で戦略担当のバイスプレジデントを務めるニック・シセロ氏によると、TikTokでもっとも成長の速い上位20のブランドは、年初から現在までに、平均で1日に3回投稿している。にもかかわらず、シセロ氏が言うには、メディアとニュースに関する限り、NowThisはコンビバのスコアボードで第9位にランク入りしている。

NowThisが運営する、特定のカテゴリーに特化したアカウントはNowThis Politicsひとつのみだ。エクサルホス氏によると、インスタグラムでは5つ、Facebookでは8つのチャンネルを展開している。ところが、TikTokでNowThisを検索すると、「NowThis Weed」、「NowThis Her」、「NowThis Food」、「NowThis Espanol」など、認証済みのNowThisブランドのアカウントが全部で13件見つかった。ただし、NowThisとNowThis Politics以外のアカウントでは、動画の投稿はまだひとつもない。

シセロ氏が指摘するように、NowThisはジェネラリスト的なパブリッシャーだが、TikTokのアルゴリズムは、ユーザーの興味や関心に基づくパーソナライズドコンテンツのレコメンデーションで動いている。NowThisにとっては、カテゴリー別のアカウントを活用して、ニッチなコミュニティと深い関係を構築するのが賢い戦略かもしれない。

TikTokにおけるマネタイズ

シセロ氏は、「TikTokは人々が時間を費やす場所であり、人々が時間を費やす場所は、それがどこでも価値がある」と指摘する一方で、このプラットフォームにおけるマネタイゼーションの浸透に関しては、一筋縄ではいかないかもしれないとも考えている。

もっとも合理的な方法として、シセロ氏とエクサルホス氏が想定するのは、ブランドコンテンツを通じたマネタイゼーションだ。

「オーディエンスの構築は仕事の半分にすぎない。人々が注目するからブランドは金を払う」と、シセロ氏は言う。「だが、コミュニティの構築も同じくらい必要だ。コンテンツを再利用するTikTokのパブリッシャーにとって、これをメインのコンテンツ戦略で達成するのは難しいかもしれない」。

エクサルホス氏によると、NowThisにとって、ブランドコンテンツは常に安定的な収入をもたらしてきた。だが、それもいまでは全収入の半分以下に落ちている。このような事情から、TikTokでマネタイズできるようになれば、このプラットフォームでの収益化に本腰を入れたいと、エクサルホス氏は考えている。

Kayleigh Barber(原文 / 訳:英じゅんこ)