「ブランドを信じる」: インフルエンサー 活用を成熟させる、ケロッグのやり方

ケロッグ(Kellogg’s)は、インフルエンサーたちをブランドアンバサダーのように扱いはじめている。

ケロッグは、リーチの度合いで起用するインフルエンサーを選んだり、キャンペーンごとに契約交渉をしたりするのではなく、長期的目線での関係性を望み、正真正銘のファンであるインフルエンサーを求めているのだ。

イギリスの忍耐強いアスリートでブロガーのソフィー・ラドクリフ氏は、2019年5月にマンチェスター・ランというマラソン大会を走り終えたが、そのレースの直後に「スペシャルK(Special K)」というシリアルのブランドからのサポートに対する感謝の意をネットに書き込んだ。イギリスとアイルランドでケロッグのソーシャルメディア部門を率いるジョセフ・ハーパー氏は、この書き込みは謝礼付きのプロモーションだったものの、長期間にわたってともにキャンペーンに取り組んできたインフルエンサーと広告主のあいだで築き上げた信頼関係があってこそのものだったと、2019年5月22日に行われたDIGIDAYブランド・サミット・ヨーロッパ(Brand Summit Europa)の場で語った。

「若くて乗りに乗っているという理由だけで、ソフィーのオーディエンスに投資するのではなく、彼女自身が我々のキャンペーンに没頭できるように努めた」と、ハーパー氏は語る。また、ラドクリフ氏はスペシャルKを信じており、シリアルがバランスの取れた食事として、日々女性の力になるということを示しうるコンテンツを作り出せる存在だとも語った。

長期的な協力関係の作り方

このような信頼関係によって、ケロッグのマーケターたちは、自社の商品を実際に購入している人々の専門性に頼れるようになってきた。そして、ブランドと消費者のコラボレーションによって生み出されるコンテンツは、オーディエンスにとってより興味深く、エンタメ性も高く、実用的だとハーパー氏は語る。とはいえ、すべての主導権をインフルエンサーに渡すわけではなく、彼らのインサイトや知識、そしてクリエイティビティをキャンペーンの展開に活用している。ときには、ケロッグブランドのマーケティング戦略のより上流でインフルエンサーを起用する場合もある。最近、広告主がロンドンで行った商品開発のワークショップでは、健康やフィットネス関連のインフルエンサーが招かれ、全世界に向けた発売に先立って新商品のフィードバックを共有した。

これは、インフルエンサーが商品展開の過程でこれまで以上に幅広い範囲に関わるという、昨今のトレンドを示すものだ。こうした取引のなかには、クリエイティブエージェンシーに委託されるものもあるだろう。そんななか、過去にケロッグと協働した経験のあるタレントエージェンシーのグリーム・フューチャーズ(Gleam Futures)は、より大規模で高予算のプロジェクトへのインフルエンサーの起用を推し進めるため、グリーム・ソリューションズ(Gleam Solutions)というブランドコンサルタント企業を立ち上げた。

インフルエンサーが制作するコンテンツの質の向上を手助けするため、ケロッグは利害関係の異なる3者が構成するグループを立ち上げた。つまり、ハーパー氏をはじめ、クライアントやインフルエンサーがブランドをどのように語るのかの概要を策定するケロッグの法務、栄養、およびコミュニケーションの各部門の専門家が属する「クライアント」、フィードバックをインフルエンサーに届けたり、コンテンツをクライアントに届けたりする手助けを行う「エージェンシー幹部」、そして、コンテンツを制作する「インフルエンサー」の3者からなるグループだ。ハーパー氏によると、こうしたさまざまな利害関係者が必ずしも常に同じ地域やスケジュールでは動けない状況に対応するため、情報は「ライブドキュメント」を通じて共有されているという。ハーパー氏は、「道のりは長かったが、結果的に非常に効果的なコンテンツを得られている」と説明する。

効果測定もよりシンプルに

このような、より戦略的な関係性の構築には、広告主にとってコストがかかる。ケロッグのブランドマネージャーは訓練を受けており、ブランドの信念にとって最適なインフルエンサーを見つけたり、その効果を見極めるために質的・量的なメトリクスを融合させて活用することが可能だ。

インフルエンサーマーケティングは成熟し、ブランドとともにエージェンシーもインフルエンサーも、それを機能させる術に精通しつつあり、特に効果の測定に関わる問題については顕著だ。ケロッグブランドと協働しているインフルエンサーのエージェンシーは、マーケターや自身が保有するメディアエージェンシーでの需要に応じて、より明確な効果の測定結果を導くことに注力していると、ハーパー氏は語る。こうしたエージェンシーの多くは、いまでは確証が取れているアカウントを持つインフルエンサーとしか仕事をしていないという。

実際、ソーシャルアカウントを持っていれば誰でもファンを「買う」ことができる。そして、そうした偽りのフォロワーを数多く作り出せるような企業にとって、これは利ざやの大きいビジネスになる。ユニリーバ(Unilever)などの広告主は、信頼できないメトリクスを使うようなインフルエンサーとは仕事をしないと語っている。ケロッグやケロッグのエージェンシーが協働するインフルエンサーとは、彼らのオーディエンスの年齢層や地域が明確にわかる存在だ。長期的な協力関係の構築に向けた動きは、測定をよりシンプルにできる可能性があり、ケロッグの広告主は、インフルエンサーパートナーの仕事ぶりに基づいて自身の信念やコンテンツを最適化することができるようになるはずだ。

2019年4月に米DIGIDAYが調査したクライアントサイドのマーケター83社のうち27%が、インフルエンサーマーケティングにおける最大の障壁は、キャンペーンのパフォーマンス測定にあると回答している。ウィー・アー・ソーシャル(We Are Social)やグループ・エム(GroupM)も、インフルエンサーと直接仕事のやりとりをしているエージェンシーだが、その目的は、彼らの1次データの分析判断を行い、クライアントの幅広いマーケティングという観点で、それが何を意味しているかを理解することである。

Seb Joseph(原文 / 訳:Conyac