シンクロ高飛び込みのトーマス・デーリー選手を見て興奮する人はたくさんいるだろうが、ガーディアン(The Guardian)のデータ可視化チームほどの水準で分析をするところはほとんどないだろう。飛び込み板からのひねりのトルクから、着水の正確な角度までを計算してみせるのだ。
ガーディアンは、リオ五輪期間中の毎日、主要イベントのひとつについて、テクニックやパフォーマンス、これまでのオリンピック選手との比較などさまざまなデータを掘り起こしながら、独立したビジュアリゼーション(可視化記事)を制作している。これはほかの放送局と報道で競争するためのひとつの方法だと、可視化チーム「ガーディアン・ビジュアルズ」(Guardian Visuals)の編集者ザクィン・ゴンザレス氏は言う。
シンクロ高飛び込みのトーマス・デーリー選手を見て興奮する人はたくさんいるだろうが、ガーディアン(The Guardian)のデータ可視化チームほどの水準で分析をするところはほとんどないだろう。飛び込み板からのひねりのトルクから、着水の正確な角度までを計算してみせるのだ。
ガーディアンは、リオ五輪期間中の毎日、主要イベントのひとつについて、テクニックやパフォーマンス、これまでのオリンピック選手との比較などさまざまなデータを掘り起こしながら、独立したビジュアリゼーション(可視化記事)を制作している。これはほかの放送局と報道で競争するためのひとつの方法だと、可視化チーム「ガーディアン・ビジュアルズ」(Guardian Visuals)の編集者ザクィン・ゴンザレス氏は言う。
「今週末は、女子体操の演技を分析できるよう、国際審判の協力を得ることになっている(※原文記事の掲載は8月9日)」と、ゴンザレス氏は英DIGIDAYに語った。「シモーネ・バイルズ選手の演技が待ち遠しい。彼女は平均台の女王だ」。
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45人のチームで制作
この記事の執筆時点でガーディアン・ビジュアルズは、すでに3本のビジュアリゼーションを制作している。どれも、オリンピック開催当初の数日のスケジュールで圧倒に多い水泳競技のもので、具体的には男子200m自由形、女子400m自由形、女子リレーだ。
こうしたビジュアリゼーションは、3カ月をかけて計画されてきたものだ。45人を擁する強力なガーディアン・ビジュアルズのうち、オリンピック担当の十数人が、どの競技を取り上げるかを決定し、さまざまな国やジェンダー、スポーツが含まれるように計画を立てている。ガーディアン・ビジュアルズは、競技の実施に先立って、決勝戦のこれまでの記録を収集し、これに英国の通信社プレス・アソシエーション(Press Association)のAPIからのテストデータを組み合わせて、最高の伝え方を練り上げてきた。
ゴンザレス氏は、「まず、我々が伝えたいストーリーは何かを検討し、それから伝える方法を探す」と説明する。「バトンの落下など突拍子もないことや思いがけないことが起きたとしても、ビジュアリゼーションに注釈を加えることができる」と話す。
成功の尺度は滞留時間
競泳では水中写真がうまくいっている。さらに、これからの体操競技では、スポーツフォトグラファーのトム・ジェンキンズ氏が長年撮り続けてきた多重露光写真をさらに駆使して、選手のひねりや回転の詳細を伝える予定だ。自転車競技のタイムトライアルでは、すべてのコースを比較したシンプルなビジュアリゼーションを考案。垂直にスクロールするところ以外は、水泳競技のビジュアリゼーションに似ている。
時差により、競技は英国時間の午前2時ごろに行われることが多い。その後5人のチームが、データを集めてテキストと画像を追加してからプラットフォームに公開するまでを5時間で行う。「どうだったのかを一貫性をもって記述し、起きたことを再現し、重要な瞬間に文脈を与えることを目指している」とのことだ。
ガーディアン・ビジュアルズでは、こうしたコンテンツへのソーシャルメディア上の反応もモニターしている。これまでのところ可視化によってトラフィックが増加しているというが、ガーディアンは具体的な数字を明かしはしなかった。ゴンザレス氏が期待している成功の尺度は滞留時間で、最初のビジュアリゼーションの目標は1分間だ。読者は半数以上がモバイルで閲覧しており、これはガーディアンがほかのコンテンツで確認している数字と一致している。
可視化チーム結成の経緯
ガーディアンは数年前からインタラクティブなグラフィックスを制作しており、米国で警察官に殺害された人物に関するインタラクティブなデータベース「カウンテッド(The Counted)」は称賛を集めている。
ガーディアンのデータ可視化チームは2年前、デジタル最高責任者のアロン・ピルホーファー氏によって、動画とは違うすべての視覚的な記事のために設立された。ピルホーファー氏は電子メールで、「開発者、デザイナー、ジャーナリストのあいだの協力を深めることで、ビジュアルジャーナリズムを仕事の中核に組み込むことができる」と答えてくれた。「読者がニュースを消費する方法は進化し続けている。すぐに理解でき、参考になり、説得力がある記事が増え続けるだろう」。
「2年前にこのチームはなかった」とゴンザレス氏は語る。「書くことは誰でもできるが、データの可視化や視覚的な記事の制作は、製品を差別化する方法になる。それは、ジャーナリズムにとっては強力なコミュニティの構築が重要であるのと同様だ」。
Lucinda Southern (原文 / 訳:ガリレオ)
Images courtesy of the Guardian.