CNNインターナショナルは、30分の政治トーク番組「CNNトーク」を5月5日に放送開始した。この番組は、毎週テレビと同時に、Facebookライブでも放送される。狙いは、一般人がどんなことを話題にしているのかを反映する政治番組になること。そのため、番組の実績として、コメントやそのやり取りの数を測っているという。
CNNインターナショナルは、30分の政治トーク番組「CNNトーク」を5月5日に放送開始した。このCNNトークは、毎週金曜日にテレビと同時に、Facebookライブでも放送されることで注目を集めている。
番組の司会を務めるのは、CNNインターナショナルの特派員マックス・フォスター氏。彼がパネルゲストとしてレギュラー出演する、イエイン・デール氏、リアム・ハリガン氏、アイーシャ・ハザリカ氏とともに、その週の政治ニュースについて議論するという内容だ。CNNによると、この番組の狙いは、一般人がどんなことを話題にしているのかを反映する政治番組になること。そのため、番組の実績として、コメントやそのやり取りの数を測っているという。
最初の放送ではFacebookライブにおけるコメント数は280だった。だが、7月14日にトランプ大統領についてどう思うかを議論した際は、1600ものコメントがついた。シェア数やビュー数といった指数も上昇傾向にある。CNNによると各エピソードは、100万人以上のFacebookユーザーのフィードに流れているという。
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視聴者のコメントが重要
「重要な指標は会話の質だ。軽いものでもないし、下らないインターネット上のチャットのようなものでもなく、ちゃんと意義があるものになっている」と語るのは、CNNヨーロッパ、中東、アフリカのニュースイベントプログラミングの責任者であるギル・ペンリングトン氏だ。「テレビという観点だと、成功は書かれるコメントの質にかかっているといえる。深い思考の伴った議論が行われていれば、それは実際に価値を加えていると言える」。
Facebook上のストリームは、テレビ放送開始の5分前に開始され、そこではユーザーへの質問が投稿される。それを見たユーザーは番組開始前からコメントが書き込みはじめるという仕組みだ。番組の開始時と比べると、質問はより短く、ダイレクトな内容になっている。
オーディエンスとのやり取りが番組にとって重要な役割を担っているため、Facebookのコメントを早い段階で得ることは非常に重要だ。以前は約10人の番組スタッフが手作業でこれを行っていたが、CNNインターナショナルは承認されたコメントを自動で表示する技術を開発。彼らのデータによると、毎回約12個ほどのユーザーからのコメントが、番組で議論されている。
テレビのトーク番組では通常1回のエピソードで3から4つの異なるトピックが話される。だが、CNNトークで分かったのは、ひとつのトピックにオーディエンスが反応してコメントを投稿するまでに、パネルが次のトピックへと移ってしまっていることだ。そのため番組はすぐに、その回全体をカバーするひとつのテーマを選ぶことを決めた。
テレビCMの余白が味に
Facebookは長時間ビデオのプラットフォームへと進化するという野心を持っている。しかし、番組の長さが伸びることは、人々がニュースフィードを下にすぐスクロールするという現状と相性が良くないと懸念している。ビデオを最後まで視聴するユーザーたちの割合は公開していないが、イギリス総選挙の特別番組1時間版を最後まで見たビューワー数はポジティブなものだったという。
CNNインターナショナルは番組制作にあたり、Facebookからお金を受け取ってはいない。そして、Facebookライブ番組にミッドロール広告を入れてマネタイズすることも行っていない。しかし、テレビ版のCNNトークでは、コマーシャルが流れている(世界規模でCNNインターナショナルは、4億5000万家庭で流れている)。
「番組にとって不利になるかと予想していたが、結果的に自分たちに有利な物として使えたのが、テレビコマーシャルだ」と説明するのは、CNNインターナショナルのシニアプロデューサーであるレイチェル・ロドリゲス氏だ。最初の頃はテレビがコマーシャルに入っているあいだ、Facebookライブ上では静止画を表示させていたが、いまではCM中もFacebookライブはスタジオの様子を流している。プロデューサーたちがセットを横切って準備しており、パネルたちはコメントを読んでいる姿が見られるのだ。「Facebookのユーザーたちはこの少々雑な、テレビらしくない光景を楽しんでいる。Facebookライブにふさわしい、舞台裏的なクオリティがこれによって生まれている」と、ロドリゲス氏は言う。
ユーザーは画像を求める
Facebookライブのオーディエンスはテレビ視聴者よりも多くの画像を欲しているとロドリゲス氏は言う。たとえば、英国首相テレサ・メイが新内閣を立ち上げるためにエリザベス二世女王を訪問したことを扱った回では、訪問自体ではなくブレグジット交渉に今回の総選挙の結果が影響を与えるかという一般的な議論をする場面があった。こういう場面においても、メイ首相の訪問時の画像がいろいろと流され続けた。「専門家が話しているのと同時に、時事的なニュース写真を見るのをユーザーたちはすごく楽しんでいる。それが議題から逸れていてもだ。これを行うと数字がダイレクトに上昇することが見て取れる」と、彼女は語った。
現在ではこのフォーマットを他番組で利用する予定はないとのことだが、スポーツ分野でもうまくいくかもしれないと、ペンリングトン氏は考えている。スポーツでも盛んな対話が生まれるからだ。「自然なテレビ番組であり、ソーシャルからのインプットがある必要がある。そのバランスをとろうとしている」と、ペンリングトン氏は言う。
Lucinda Southern(原文 / 訳:塚本 紺)
Image courtesy of CNN International