DIGIDAY[日本版]がお届けする、2020年・2021年の年末年始企画「IN/OUT 2021」。この企画では、我々が開催してきたさまざまなイベントでお世話になった、日本のブランドおよびパブリッシャーのエグゼクティブたちへ、新しい1年にトレンドイン・トレンドアウトするであろう事象について考えを伺った。
2021年にも、新しいトレンドは生まれ、役目を終えたトレンドは忘れ去られていく――。
DIGIDAY[日本版]がお届けする、2020年・2021年の年末年始企画「IN/OUT 2021」。この企画では、我々が開催してきたさまざまなイベントでお世話になった、日本のブランドおよびパブリッシャーのエグゼクティブたちへ、新しい1年にトレンドイン・トレンドアウトするであろう事象について考えを伺った。
文藝春秋のメディア事業局で執行役員 局長を務める小濱千丈氏の回答は、次のとおりだ。
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――2020年を総括すると、どんな1年でしたか?
数年にわたって注力してきたWebビジネスが、2020年に大きな飛躍を遂げた。
開設3年目を迎えた『文春オンライン』のPVは昨年12月の2億から5月には4億を超えるまでに成長し、広告収益を大幅に伸ばした。いっぽう、昨年11月に始動した『文藝春秋digital』はnoteのプラットフォームを活用したサブスクリププションモデル。『文春オンライン』とは対照的にスケールを求めるのではなく着実にファンを拡大し、母体である雑誌『月刊文藝春秋』と新たな読者層との出会いを創出している。さらに10月には3年間の準備期間を経て本格的な食のECサイト『文春マルシェ』をオープンさせ、コンシューマーへの直接チャネルを開いた。
それぞれ異なるミッションを持つWebメディア&サービスが揃ったことで、今後も激しい変化が予想されるデジタルビジネスのトレンドに対応し、よりダイナミックな展開にチャレンジできるフォーメーションが整ったと思う。12月10日に発表したnoteとの資本業務提携も2021年には新たな可能性を示していくはずだ。
――2021年、必ず押さえておきたいと思う、新しいトレンドは?
Webサイトにおける「量から質へ」。ボリュームを求めることは前提として、クオリティを重視するトレンドは加速するはず。JICDAQ設立が象徴するように、広告品質に対する改善要請はますます重要な課題となる。
弊社の媒体でも適切な対応を行い、高い信頼性を獲得していきたい。さらに広告のみでなくコンテンツ自体、ユーザー、SNSでの拡散などさまざまなポイントでクオリティへの評価が厳しくなると予想している。すべての局面で、クオリティへの投資を惜しまないことを2021年の目標としたい。
――2021年、もはや時代遅れと思える、既存のトレンドは?
2020年は雑誌メディアを起点とするコンテンツのマルチ展開が進み、動画やオンラインイベント、ファンのパワーなどが評価され、雑誌メディアの総合力が認められてきた。そんななか、特にデジタルメディアにおけるテキストの質および編集力への問題意識も高まっている。
問題のひとつはデジタルメディアにおいて、テキストを軽視するトレンドが無意識のまま残っていることではないか。テキストはひとつのパーツではあるが、扱い方次第でその価値が大きく変わる。簡単な例えでいえば、見出しと本文が乖離した記事はユーザーの失望を招く。単に文章化するだけでなく、どう扱うかの編集力も不可欠だ。
テキストに対してリスペクトのない発信という目立たないトレンドは、過去のものであるべきだろう。2021年には信頼性の高い内容で魅力的な表現のテキストが、優れたUXに寄与するトレンドを期待したい。
– 年末年始企画 [IN/OUT 2021] Brands の回答一覧
– 年末年始企画 [IN/OUT 2021] Publishers の回答一覧
Edited by DIGIDAY[日本版]編集部