IN/OUT 2021 - PUBLISHERS

「ページビューの役割は減りつつあると感じている」:ロケットニュース24 瓦野晋治 氏

2021年にも、新しいトレンドは生まれ、役目を終えたトレンドは忘れ去られていく――。

DIGIDAY[日本版]がお届けする、2020年・2021年の年末年始企画「IN/OUT 2021」。この企画では、我々が開催してきたさまざまなイベントでお世話になった、日本のブランドおよびパブリッシャーのエグゼクティブたちへ、新しい1年にトレンドイン・トレンドアウトするであろう事象について考えを伺った。

ロケットニュース24を運営するソシオコーポレーションのメディア事業部でマネージャーを務める瓦野晋治氏の回答は、次のとおりだ。

――2020年を総括すると、どんな1年でしたか?

不要不急な読み物メディアにとって我慢の1年でした。

当初はウェブサイトへのアクセス、ビジネスとも好調でしたが、どちらも緊急事態宣言あたりからネガティブな影響を受けたことは否めません。直近では改善しつつあるものの、明日にでもまた何か大きく動いてもおかしくありません。

一方で悪いことだけではありませんでした。社内組織としては、編集部も含め2月にはリモート体制に移行し、試行錯誤を積み重ね、継続してメディアを運営できたことに関係者一同自信を持っています。

厳しい状況のなかでも、毎日のように記事を読んでくださる皆様が数万人いるありがたさを改めて身にしみて感じています。2021年も読者に楽しんでもらえるよう、変化に適応しながら事業を続けてまいります。

――2021年、必ず押さえておきたいと思う、新しいトレンドは?

新しいトレンドではないですが、ウェブの広く多くの人がよく使うプラットフォームとしての存在感が、ますます薄れてきていると感じています。

スマートフォンが普及し、インターネット接続端末がかなり増えたものの、ブラウザアプリを能動的に立ち上げる機会はそう多くはないはずです。このような外部環境変化と自社メディアウェブサイトのアクセス状況などから、読み物としての記事コンテンツを発信しているメディアとしては、記事を届けられない人が増えてきていると強く危機感を持っています。

スマホアプリも課題が大きく、ウェブのような開かれた民主的な仕組みではない、記事コンテンツとの偶発的な出会いが起きづらいなど、広く多くの人に届けるのはかなり難しいと実感しています。アプリストアと端末内で熾烈な競争があり、インストールと継続利用のハードルもかなり高い。

個人の発信力が強い今でも、編集部のおかげで弊社メディアの記事は力強く、記事が届いた方には継続的に読んでいただけることも多いです。

ウェブだけにこだわらず「どうすれば記事を届けられるか?」を考えつつ、「どうすれば利益をあげられるか?」「メディアを覚えて、再訪してもらえるか?」を2021年も試行錯誤していると思います。

――2021年、もはや時代遅れと思える、既存のトレンドは?

ウェブメディアにおいて、広告媒体としての媒体力や記事の成果をメディア間で比較・評価できる、ページビュー以外の共通の指標をなんとか生み出したい。

ページビューはページが開かれたことをあらわし、一見、媒体間や記事間で比較できそうです。

問題としては、媒体間での比較には、たとえまったく同じコンテンツであっても、ページ構成や計測の設計によってページビューが異なるという指標としての不安定さが挙げられます。

同じ媒体内の記事が同量のページビューを生み出しても、たとえば読了率や回遊率、運用型の収益性も異なります。読者の態度変容や、読者以外にも影響力も違います。サブスクリプションの転換率なども記事によって異なるでしょう。媒体が違えば、1ページビューがもつ価値はまるで別物である可能性が非常に高い。

一方で媒体社の内部ではページビューの役割は減りつつあると感じています。解析ツールが多様になり、さまざまな指標で評価することが増えきました。ツールのデファクトスタンダードともいえるGoogle Analyticsも、ユーザー単位での解析に変化してきています。

理由なく使われ続けているわけではありませんので、一朝一夕に変わることではないですが、少なくともページビューだけでは見落としている価値があります。

年末年始企画 [IN/OUT 2021] Brands の回答一覧
年末年始企画 [IN/OUT 2021] Publishers の回答一覧

Edited by DIGIDAY[日本版]編集部