DIGIDAY[日本版]がお届けする、2020年・2021年の年末年始企画「IN/OUT 2021」。この企画では、我々が開催してきたさまざまなイベントでお世話になった、日本のブランドおよびパブリッシャーのエグゼクティブたちへ、新しい1年にトレンドイン・トレンドアウトするであろう事象について考えを伺った。
2021年にも、新しいトレンドは生まれ、役目を終えたトレンドは忘れ去られていく――。
DIGIDAY[日本版]がお届けする、2020年・2021年の年末年始企画「IN/OUT 2021」。この企画では、我々が開催してきたさまざまなイベントでお世話になった、日本のブランドおよびパブリッシャーのエグゼクティブたちへ、新しい1年にトレンドイン・トレンドアウトするであろう事象について考えを伺った。
朝日新聞社の総合プロデュース本部で本部長を務める五老剛氏の回答は、次のとおりだ。
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――2020年を総括すると、どんな1年でしたか?
世界中のあらゆる既存の価値観が大きく揺らいだ1年。生活者のメディアへの接触にも変化が現れた。コロナ禍で新聞の閲読時間が増えた人が多数に及ぶなど、リアルの活動が制限されるなかで、新聞、Webともにメディア接触の機会が増えている。コロナ禍では政治・経済はもちろん国際動向までもが人々の生活に直結する。信頼ある情報源として、さらにアフターコロナの社会のあり方を探るうえでも新聞社の果たす役割は大きいと感じている。
リアルなコミュニケーション機会が減る一方で、オンラインで同じ価値観を共有するコミュニティの価値が増大している。当社は30を超える多くのWEBメディア、コミュニティを擁しているが、ほぼすべてのコミュニティでオンラインイベントを行い、読者とのエンゲージメントを構築している。こうした活動で読者のインサイトを深く理解することが、企業から受注するコンテンツマーケティングの企画制作にも生かされている。さまざまな嗜好をもつ読者との強い関係性は、今後、マーケティング上の大きな価値となりそうだ。
今年はとしまえんの「あしたのジョー」を起用した広告など、新聞広告がSNSで爆発的に拡散する事例も多くみられた。コンテンツとクリエイティブ次第で、情報起点になりやすい新聞の価値も再認識されていると言えるのではないか。
――2021年、必ず押さえておきたいと思う、新しいトレンドは?
コロナ禍を経て、生活者のライフスタイルや価値観、企業に対する目が変わろうとしているなかで、多くの企業が、自社の社会的価値を見つめ直し、ブランドの存在意義を再確認しているのではないか。近年注目される「ブランドパーパス」の概念はさらに重要になるのではないかと考えている。
まずは、このコロナ禍を経たニューノーマルな世界において、ブランドは、どんな存在で、どんな価値を提供し、どんな体験を顧客にもたらすのか。その背景にあるフィロソフィは何か。あらためて表明していくことが求められるのではないか。そして、それに共感する顧客をしっかりとつかみ、中長期的な関係性をさまざまな情報発信を通じて築いていくことが重要になる。
当社もそれに寄与することは多くできると考えている。新聞広告は信頼性や社会性、時事性が評価されており、読者の接触態度も能動的だ。一方、当社が持つ多様なデジタルメディア/コミュニティーは、SDGsを始め社会課題に関心の高い読者を多く抱えている。これらをクロスメディアで組み合わせたコンテンツマーケティングの展開は、パーパスブランディングの実践に大いに役立つと思われる。パーパスブランディングではオウンドメディアの価値もあらためて見直されると思われるが、当社はブランドとの共同サイトを展開する例もある。継続的な情報発信を得意とする当社の企画編集力とデータ分析力を活用いただければと思っている。
――2021年、もはや時代遅れと思える、既存のトレンドは?
コロナ禍で、生活者のライフスタイルから、あらゆる産業におけるビジネスに至るまでDX(デジタルトランスフォーメーション)が一気に進んだことにより、BtoC、BtoBマーケティング両面において、既存のオンライン/オフラインのどちらか一方に偏ったマーケティングは厳しくなり、高度なハイブリッド化を目指す方向により進むのではないか。
BtoC領域では、コロナ禍でECのシェアが大幅に伸びているが、それを前提にオンライン/オフラインがシームレスになったオムニチャネル戦略への一層の注力が必要になっている。一方で、リアルな体験価値も貴重になっており、顧客のロイヤリティ向上やリアル体験自体が情報シェアされやすいことからも重要になる。
BtoB領域では、テレワークの増加でリアルな営業訪問機会が減っており、フィールドセールスだけでなく、オンラインによるリード獲得、インサイドセールスの重要性が一層増すのではないか。
当社でもBtoBマーケティングを目的としたクライアントによるコンテンツマーケティングやオンラインイベントの実施例が増えている。
イベントも20年度はオンラインシフトしたが、オフラインとのハイブリッド型の実施例もある。オンラインでは参加者が日本全国はもとより海外にも広がり、新規のユーザーにリーチできているほか、満足度、歩留まりも高い傾向があり、リアルな体験価値を提供するオフラインとの併用も進むのではないか。
– 年末年始企画 [IN/OUT 2021] Brands の回答一覧
– 年末年始企画 [IN/OUT 2021] Publishers の回答一覧
Edited by DIGIDAY[日本版]編集部