DIGIDAY[日本版]がお届けする、2020年・2021年の年末年始企画「IN/OUT 2021」。この企画では、我々が開催してきたさまざまなイベントでお世話になった、日本のブランドおよびパブリッシャーのエグゼクティブたちへ、新しい1年にトレンドイン・トレンドアウトするであろう事象について考えを伺った。
2021年にも、新しいトレンドは生まれ、役目を終えたトレンドは忘れ去られていく――。
DIGIDAY[日本版]がお届けする、2020年・2021年の年末年始企画「IN/OUT 2021」。この企画では、我々が開催してきたさまざまなイベントでお世話になった、日本のブランドおよびパブリッシャーのエグゼクティブたちへ、新しい1年にトレンドイン・トレンドアウトするであろう事象について考えを伺った。
ハースト婦人画報社の代表取締役社長を務めるニコラ・フロケ氏の回答は、次のとおりだ。
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――2020年を総括すると、どんな1年でしたか?
Innovative & Sustainable Business:2020年は世界的なパンデミックのなか、個々の生活スタイルや価値観の変化があり、業界のみなさんが知恵を絞り、持続可能なビジネスを再検討した年だと思います。当社でも多くのチャレンジをし、学びを得ました。
自宅時間が増える生活環境への対応として、3月には「おうち時間充実キャンペーン」とし一部雑誌をオンラインで無料公開。2月にはワークアウト用のウェアやグッズを中心としたのeコマースビジネスを「Women’s Health」ブランドで開設し、10月には30日間連日開催のオンライントレーニングプログラムを展開。11月にはサステナブルビジネスを強化する企業を応援する年間協賛メニュー「ELLE Active! for SDGs」をELLEブランド6媒体共同で発表し、12月には時代を経ても色褪せない時計の魅力を伝えるコレクション性の高いマガジン「HODINKEE Magazine Japan Edition」を創刊しました。ブランデッドコンテンツもインスタライブなど双方向コミュニケーション形式が増えました。メディアという情報発信の立場から、制約が多くてもできること、求められている情報の発信のカタチを順応に変えることを全員で挑戦した1年でした。
――2021年、必ず押さえておきたいと思う、新しいトレンドは?
Accessible Luxury x Gen Z:私が今一番注目しているのが、マーケターの皆さんのご多分に漏れずZ世代やミレニアル世代の消費行動です。とくに当社ハーストとお取引の多いグローバルラグジュアリーセクターでは、eSportsへの投資、ナイキ・アディダスといったスポーツメーカーとのコラボ商品開発、SNS限定商品の展開なども進んでいます。日本では高齢化社会が進み、Z世代やミレニアル世代の人口率は低いですが、彼女彼らには圧倒的な「発信力」や、「個性・価値観へのこだわり」傾向があるように思います。
平成生まれ以降学校教育では当然のように、地球環境やダイバーシティといったトピックスを学ぶ授業があり、世界のトレンドやサステイナビリティへの感度が高い世代でもあります。自分にとって長く愛用できるもの、ブランドコンセプトがなりたい自分に近しいこと、そういった消費は今後より選定され、継続されるでしょう。ブランド側もますますストーリーテリングが複雑化していきます。消費者に近い立場にいる我々メディアは、引き続きブランドの皆様の360度ストーリーテリングが実現できますよう、サービスを拡充してまいります。データドリブンな施策提案・表現を豊かにする動画制作代行・OMOサービス・コマースビジネスとの連動など、ご期待ください。
――2021年、もはや時代遅れと思える、既存のトレンドは?
buzz? or Empathy?:「バズ」を作れるかどうかが、ここしばらくマーケティングやPRの領域で注目されてきています。「バズ」は高い注目にはなりますが、その多くは一時的なもので終わってしまいます。果たして、企業やブランドのマーケティングで大事なのは、一時的な注目でしょうか? その答えが「No」であることは誰もが気づいていることではないかと思います。どんなブランドでも企業でも、時を越えて、長く愛され続けることを目指したいと思っているはずです。一時的な注目だけを集めても、その先に、人々から共感されるストーリーやフィロソフィーがなければ、それを叶えるのは難しいでしょう。サステナビリティのように、長期的に取り組んで初めて成果につながる活動に企業が力を入れるのも、このような流れのなかにあることを意味する象徴的な変化だろうと思います。
当社では、これまでの広告営業という概念を取り払い、マーケティングソリューションを提供していくことを今年皆さまとお約束をしました。この変化は、短期的な成果だけではなく、長期的なブランディングを見据えてクライアントをサポートをしていくことこそ、これからのメディアが取り組むべき領域だと考えているからです。マーケティングの領域では、次々と生まれる新たな手法や指標に左右されがちですが、これらは手段にしか過ぎないことを念頭に置き、長期的なブランド形成という目的を見失うことなく、ソリューションを提供していきたいと考えています。
– 年末年始企画 [IN/OUT 2021] Brands の回答一覧
– 年末年始企画 [IN/OUT 2021] Publishers の回答一覧
Edited by DIGIDAY[日本版]編集部