IN/OUT 2021 - PUBLISHERS

「個人からコミュニティへ、リーチから共感へ」:講談社 長崎亘宏 氏

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2021年にも、新しいトレンドは生まれ、役目を終えたトレンドは忘れ去られていく――。

DIGIDAY[日本版]がお届けする、2020年・2021年の年末年始企画「IN/OUT 2021」。この企画では、我々が開催してきたさまざまなイベントでお世話になった、日本のブランドおよびパブリッシャーのエグゼクティブたちへ、新しい1年にトレンドイン・トレンドアウトするであろう事象について考えを伺った。

講談社のライツ・メディアビジネス局で局次長を務める長崎亘宏氏の回答は、次のとおりだ。

――2020年を総括すると、どんな1年でしたか?

2020年はメディア業界に「真の破壊的イノベーション」が起こったと考えています。ここ数年、多くの「変化」は起こりましたが、このたびのコロナ・ショックによって「変革」のための最後のトリガーが引かれたと感じています。

第1に「時間の変革」。「メディア定点調査 2020」によると、生活者による1日あたりのメディア総接触時間は411.7分。昨年との比較では、わずか0.1分の増加にとどまっています。いわば限界点に近づいています。

第2に「価値観の変革」です。今年は誰もが経験した、ステイホームやリモートワークという新たな生活様式が生まれたことで、あらゆる側面において高低差やハンデがクリアされ、フラット化しつつあります。たとえば、オンライン会議は現在、リアル会議と等しく併用され、エンターテイメントの世界もリアルイベントから、無観客公演+オンライン配信へシフトしています。

そして第3に「広告モデルの変革」です。日本の広告費は8年連続のプラス成長を遂げました。ところが、コロナ禍の影響を受けた今年3月以降はダウントレンドに転じて、景気の指標といわれたテレビスポットはもちろん、インターネット広告までがマイナス成長となりました。広告主の業績不振による予算削減がある一方で、従来手法の根本的な見直しと再構築が進んでいるように感じます。

――2021年、必ず押さえておきたいと思う、新しいトレンドは?

たとえ好景気が到来したとしても、広告市場がこれまで通り回復するとは思えません。前述の第1、第2の変革を受けて、メディア可処分時間の減少以外にも、従来型「リーチ獲得広告モデル」だけでは生活者を捉えきれない事態が起こっているからです。

デジタル広告はさらにアドテクによってパーソナライズされたものになりました。ただし、そこには「広告に追いかけられ、忌避される」というパラドクスも生じています。私が2021年に期待するのは、メディアとそのコンテンツが本来持つユーザーの価値を再発見すること。ターゲティングを「個人からコミュニティへ」、目的を「リーチから共感へ」置き換えた新たなメディアプランニング手法です。

追うのではなく、追いかけてもらう広告。それがもうひとつの柱になり得るのではないか、と期待しています。

――2021年、もはや時代遅れと思える、既存のトレンドは?

ひと括りに言って「リアルで賑わうイベントビジネス」ではないでしょうか。B2CもB2Bも同様です。

「2019年 日本の広告費」では、1803億円と推定されたイベント市場も転換期を迎えました。もはや、オンライン化またはハイブリッド開催できないイベントは各方面で廃業に追いやられています。

弊社としても従来はリアルで開催していたビジネスイベント「講談社メディアカンファレンス」を、2020年に初めて完全オンライン開催いたしました。いまだ課題は多いものの、さまざまな側面でポジティブな結果を出すことができました。ハンデを乗り越えるためのテクノロジーや新たなユーザーエクスペリエンスの到来にも期待しています。

年末年始企画 [IN/OUT 2021] Brands の回答一覧
年末年始企画 [IN/OUT 2021] Publishers の回答一覧

Edited by DIGIDAY[日本版]編集部