日本の業界関係者たちは、2022年にどんな課題を感じ、2023年にどんな可能性を見出しているのか? この年末年始企画「IN/OUT 2023」では、 DIGIDAY[日本版]とゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブ、次世代リーダーたちに伺った。
明るい未来、という表現はやや陳腐だが、2022年はコロナ禍を踏まえて次のフェーズに進む「新たな1年」になると、誰もが考えていたのではないだろうか。
しかし、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、世界的な景気低迷とそれに伴う広告・メディア支出の混乱など、波乱に満ちた1年となった。DIGIDAY[日本版]恒例の年末年始企画「IN/OUT 2023」では、 DIGIDAY[日本版]とゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブや次世代リーダーに、2022年をどのように受け止め、2023年にどのような可能性を見出し、新たな一年を切り開いていこうとしているのか伺った。
株式会社CAMにて、新R25セクション・事業責任者を務める寺本隆彦氏の回答は以下のとおりだ。
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――2022年を象徴するトピック、キーワードを教えてください。
コンテンツ視聴の動画シフトが加速していくのを肌で感じた一年でした。
動画PFの躍進
YouTube、TikTok、ABEMAなど、動画PFの躍進に象徴されますが、イチユーザーとしても、メディア運営者としても、”コンテンツ体験の動画シフト”を、ますます肌で感じる一年でした。リクルートでフリーペーパーをルーツとして誕生し、サイバーエージェントで記事メディアから始まった新R25も、気づけばYouTubeをはじめ動画PF上で認知していただくことが増えてきました。最近では「ついに記事メディアも出したんですか?」と聞かれるなど、認知における逆転現象も出てきており、動画のリーチの強さを実感しています。
コンテンツクオリティの向上
また、YouTube上では、映像メディアや、一部のYouTuberにおいて、企画や演出、編集におけるクオリティがますます上がり、”テレビクオリティ”のコンテンツもしばしば見受けられます。今後もこの流れは続くと予想されるため、同じコンテンツメーカーとして、クリエイターやパブリッシャーのみなさまをリスペクトするとともに、身が引き締まる想いでいます。
デジタルサイネージによる動画視聴機会の増加
一方、実生活に目をやれば、タクシーや電車などの交通機関、コンビニやドラッグストアなどの小売、今やトイレにまで、デジタルサイネージがどんどん増えています。パブリッシャーがユーザーにコンテンツを届ける場所も増え続けています。
新R25は、2017年の創刊以来、「シゴトも、人生も、もっと楽しもう」をコンセプトに、R25世代のビジネスパーソンの背中を押すコンテンツを届けてきました。質の高いコンテンツづくりと、ビジネスパーソンとの接点の拡充、この2点は継続して注力して行きたいと考えています。
――2022年にもっとも大きなハードルとなった事象は何でしたか?
初めての紙媒体への挑戦
動画の流れと逆行するようではありますが、新R25は、今年創刊5周年を迎え、節目の機会として事業のルーツであるフリーペーパーを復刻発刊しました。新R25は創刊当初から一貫してデジタル上でのメディアづくりに専念していたため、紙媒体におけるメディアづくりのノウハウは乏しい状況でした。
2000年代半ばのR25全盛期、全国の駅中にあったラック流通網もなくなり、フリーペーパー時代を経験してるメンバーもほぼいないなかで、紙媒体の発行や流通は、初めての体験が多く苦労しました。
ただ、9月の発刊後にはありがたいことにご好評の声を多くいただき、手に取れる手触りのある紙媒体ならではの良さを、改めて組織全員で実感する機会となりました。
復活の5年、飛躍の5年
事業のルーツであるフリーペーパーを復刻することは、創業当初からの我々の悲願でもありました。時代に合わせてデジタルで始め、フリーペーパーで締めくくったこの5年は、自分たちにとってはいわば「復活の5年」と位置付けられると思っています。
――2023年に必ず取り組むべきだと考えていることは何ですか?
動画シフトの流れも踏まえ、下記に取り組んでいきます。
①人気番組の確立
YouTube上で新R25のコンセプトを体現する「ビジネスバラエティ番組」を立ち上げて行きます。
編集長の渡辺が陣頭指揮し、年末年始にかけて複数の番組がスタートします。これまでにない新R25の動画コンテンツをお見せできると思いますので、暖かく応援していただけると嬉しいです。
②ビジネスパーソンとの接点拡充&最適化クリエイティブの開発
デジタル、リアル問わず、ビジネスパーソンとの新R25のコンテンツのタッチポイントを拡充して行きます。あわせて、各タッチポイントに最適化した動画クリエイティブの開発に注力していく予定です。
また、ビジネスモデルやプロダクトにおける新しいトライも引き続き頑張って行きます。
我々にとっては、2022年までは「復活の5年」でした。2023年は、次の「飛躍の5年」の最初の一歩として、歩んでいければと思います。