日本の業界関係者たちは、2022年にどんな課題を感じ、どんな可能性を見出しているのか? この年末年始企画「IN/OUT 2022」では、 DIGIDAY[日本版]とゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブに伺った。
ニューノーマルはすでにノーマルとなり、街の鼓動は再び力強く脈打ちはじめている――。
そんななか日本の業界関係者たちは、2022年にどんな課題を感じ、どんな可能性を見出しているのか? この年末年始企画「IN/OUT 2022」では、 DIGIDAY[日本版]とゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブに伺った。
株式会社日本経済新聞社にて、執行役員 デジタル編成ユニット長を務める飯田展久氏の回答は以下のとおりだ。
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――2021年に得たもっとも大きな「成果」はなんですか?
世界の潮流でもありますが、2020年に大きく伸びたニュースメディアのサブスクリプションの成長率は2021年、鈍化しました。ニュースを提供しているだけでは新たな読者の獲得は覚束ないと感じています。
そのなかで、私たち日経電子版が新たに取り組んで成果を上げたのが、社内外のエキスパートによる投稿「Think!」です。記事に対しての解説や分析、別の視点などを投稿してもらい、読者に記事の理解を深めてもらうのが目的です。
特に購読歴の浅い読者のエンゲージメントを高める狙いで始めました。データや調査を通じて、ほぼ狙い通りの成果を得られています。日経の記事は難しい、とっつきにくい、という読者を引き付つけていると感じています。
――2021年に見えてきたもっとも大きな「課題」はなんですか?
若年層の読者に購読してもらうことの難しさです。特にZ世代には「自宅で新聞を取っていない」環境で育った人も多いうえ、無料のニュースサイトやYouTube、SNSなどで十分と感じる人もかなりの数に上ると思います。有料会員になってもらうどころか、日経電子版を知らない、訪問したこともない、という人たちにまず、どうやって知ってもらうか、というところから始めないといけないと考えています。
――2022年にもっとも注力したい「取り組み」はなんですか?
私たちは事業成長して将来にわたり生き残っていきたいと思うと同時に、メディアパワーを維持していかないとジャーナリズムの灯が消えてしまいかねないとの危機感を強く持っています。そのためにはニュースの表現手法を多様化して、ひとりでも多くの人の興味を引き付ける必要があります。
データジャーナリズムを追求するために衛星写真を解析したり、埋もれた情報を発掘してビジュアル化したりなど、デジタルの世界だからこそ実現できるジャーナリズムに一段と取り組みたいと考えています。動画や音声も駆使しながら、特に若い人たちにニュースの面白さを知ってもらい、長く付き合ってもらえる関係を作っていきたいと考えています。
Edited by DIGIDAY[日本版]編集部