GDPR の影響を示す 5つのチャート

5月に施行された「一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:以下、GDPR)」は、多くの企業に波乱をもたらしている。実際、早くもいくつかの変化が見られるようになった。この記事では、その一部を5つのグラフで紹介しよう。

欧州のニュースサイトでサードパーティクッキーの利用が急減

欧州では、サードパーティクッキーの利用率が平均で22%減少したと、ロイタージャーナリズム研究所(Reuters Institute for the Study of Journalism)は報告している。このレポートは、GDPRが施行された5月25日をはさむ4月~7月における、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、フィンランド、およびポーランドでのサードパーティクッキーの利用状況をまとめたものだ。英国のニュースパブリッシャーは、GDPRの施行前にはページあたりのサードパーティクッキーの割合がもっとも高かったが、施行後は45%というもっとも大きな下落率を記録している。一方、ドイツの下落率はわずか6%で、7カ国中最低だったと、ロイタージャーナリズム研究所は報告している。

Source of data (approximate percentages) from Reuters Institute of the Study of Journalism.

Source of data (approximate percentages) from Reuters Institute of the Study of Journalism.

GDPRでは、ユーザーから同意を得ることが義務付けられている。そのため、ニュースパブリッシャーは、自社サイトでのユーザーデータの利用に関する規約にユーザーが同意するまで、一部のトラッキングクッキーを利用しないようにしている場合がある。このことが、ページあたりのサードパーティクッキーの平均利用率が下落したひとつの原因だとレポートは分析している。また、GDPRをきっかけにサイトのクリーンアップを行い、古くなった機能やコードを取り除いたパブリッシャーもあるだろう。これも、利用率の下落につながった可能性がある。

サプライチェーンのパートナーを信用しないマーケター

誰もが知っているように、GPDRが施行される5月まで、GPDRに準拠する責任を転嫁する動きがあちこちで見られていた。マーケティングテックベンダーのデマンドメトリック(Demand Metric)とデマンドベース(Demandbase)が255名のブランドマーケターを対象に行った最近の調査によると、GDPRに準拠しなくてもマーケティングテックベンダーが法的リスクにさらされることはないと考えているマーケターの割合は、わずか20%だった。

Source of chart: Demand Metric and Demand Base.

Source of chart: Demand Metric and Demand Base.

復活するコンテキストターゲティング

アドテク企業のサイズミック(Sizmek)が、欧州および米国の決定権を持つブランドマーケター500名を対象に行った調査によると、GDPRのおかげでサードパーティデータを使ったオーディエンスのターゲティングが難しくなると答えた人の割合は、80%近くに達していた。ただし、当面はコンテキストターゲティングがこの穴を埋めるものと思われる。実際、マーケターの87%は、今後1年間にコンテキストターゲティングを拡大しながら、可能な限りパーソナライズド広告を維持する計画だと回答している。

Source of chart: Sizmek

Source of chart: Sizmek

デュオポリーに押される小規模なアドテク企業

驚くことではないが、小規模なプレイヤーのほうがGDPRの影響がより大きいようだ。一部には、GDPRの登場によって、FacebookやGoogleなど支配的地位を築いている米国のプラットフォームの成長ペースが鈍ることを期待する向きもあった。だが、彼らはGDPRのおかげでかえって大きな力を得るようになると、多くの業界専門家が考えている。ニュースサイトでは、サードパーティのソーシャルメディアサービスの利用が減っている。ロイタージャーナリズム研究所の調査によれば、Facebookのコンテンツがニュースサイトに掲載されていた割合は、4月の75%から7月には70%に減少した。小規模なアドテク企業も、トラッキング目的でのパブリッシャーの利用が減っている。

Source of chart: Reuters Institute for the Study of Journalism

Source of chart: Reuters Institute for the Study of Journalism

米国企業は様子見が多数

米国のニュースサイトは、GDPRへの対応状況が欧州のサイトと異なっている。GDPRの施行から2カ月経ったいま、1000を超えるニュースパブリッシャー欧州からの訪問者をブロックする道を選択しているのだ。アドテク企業のキャッチポイント(Catchpoint)が行った調査によると、GDPRが施行されたあと、USAトゥデイ(USA Today)の米国版サイトは、ウェブページの平均読み込み時間が9.9秒だった。一方、英国版は0.42秒、フランス版は0.75秒、ドイツ版は0.51秒だったという。欧州版のページのほうが速く読み込まれる理由は、アドサーバーなど外部のサードパーティの機能、Googleのサービスや分析機能、ソーシャルメディアのプラグインなどが取り除かれたためだ。広告料は5月25日以降、米国で10%上昇したのに対し、欧州では下落したと、アナリティクス企業のエゾイック(Ezoic)は報告している。

Source of chart: Ezoic

Source of chart: Ezoic

Jessica Davies(原文 / 訳:ガリレオ)