ハフィントン・ポストは先日、「ザ・ティー(The Tea)」という週刊メールマガジンをローンチした。ターゲットはZ世代の女の子たち。そのユニークさは、コンテンツがハフィントン・ポストからの転載またはリンク集ではないことだ。このメールマガジン上でしか読めない、コンテンツで構成されている。
これまでリーチできていなかった読者層を開拓するため「ハフィントン・ポスト」は、彼らの受信ボックスへ直接アプローチすることにしたようだ。
先日、ハフィントン・ポストは「ザ・ティー(The Tea)」という週刊メールマガジンをローンチ。これはZ世代(もっと簡潔に表現すれば、現代の10代)の女の子たちをターゲットにしている。ザ・ティーのユニークさは、そのコンテンツ(セレブリティーとの独占インタビューなど)がハフィントン・ポストからの転載またはリンク集ではないことだ。このメールマガジン上でしか読めない、コンテンツで構成されている。
ハフィントン・ポストでは2017年、10代のオーディエンスを獲得しようと、いくつかのプロダクトをローンチすることになっている。ザ・ティーは、その最初のひとつだ。最近、同社では、サイトに掲載されているコンテンツをさまざまなプラットフォームに向けて、新しいブランド名で配信するという試みも展開していた。
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「習慣として毎日の生活に入り込むようなブランドが何か、10代のオーディエンスはまだしっかりとは決められていないと理解している。このプロジェクトによってハフィントン・ポストのブランドを彼らに知ってもらうのだ」と語るのは、グロース・分析ディレクターであるキキ・ヴォン・グリナウ氏だ。
メルマガ上だけのコンテンツ
この新しいプロダクトはひとつのテストにすぎない。しかし、これはかつてSEOに徹し、それからソーシャルプラットフォーム上での拡大に尽力してきたハフィントン・ポストが、より直接的なコネクションを読者と築こうとしている象徴だ。
メルマガを通じて、この方向に進もうとしているのはハフィントン・ポストだけではない。彼らの競合他社もメルマガを試験的に使って新しいプロダクト案を試してきた。こうした取り組みが、インスタント記事やAMPに競合できるか確かめようとしているのだ。
しかし、ヴォン・グリナウ氏は、ザ・ティーの狙いは違うという。シンガー・グループ、フィフス・ハーモニー(Fifth Harmony)のローレン・ジョーレギへのインタビューといったコンテンツは、基本的にこのメルマガ上限定での公開となる。最終的にはハフィントン・ポスト上にインタビューのどれかが公開される可能性はあるかもしれないというが、ヴォン・グリナウ氏はまだその点の戦略は確定されていないと付け加えた。
ハフィントン・ポストは2016年の終わりにZ世代を対象にオーディエンス調査を行った。その結果この戦略にたどり着く。「彼らはミレニアル世代とは本当に異なる」と、ヴォン・グリナウ氏。ミレニアル世代はソーシャルメディア上でプライベートを公開することをためらわないのに対して、Z世代は一対一のコネクションを好むという。
閉じられた関係を好むZ世代
ハフィントン・ポストの親会社であるAOLは、数年前に「キャンビオ(Cambio)」というZ世代にフォーカスしたパブリッシャーを買収した。ザ・ティーは、キャンビオ上のコンテンツに挿入されたウィジェット経由でプロモーションされることになる。
また、似たターゲットオーディエンスを抱えるパートナーとも協力して、メルマガとサイトの相互プロモーションを実施することになっている。ここ数カ月のあいだは、AOLのライブビデオサービス、ビルド(Build)ともコラボレーションを実施。ザ・ティー登録者はインタビューゲストにライブビデオで交流できるような企画も行うかもしれないという。
今後3カ月のあいだに、2万5000人のメルマガ登録者を獲得することが目標だ。マネタイズに関しては直近の計画はないとグリナウ氏。「このデモを通じて本当の繋がりを築くためにまずやらないといけない仕事がある」(メルマガのマネタイズには何を指標として使うかという問題があるが、ザ・ティーが目標数を達成したころにはそれが解決されているかもしれない)。
ザ・ティーがZ世代に食い込むことができるかはこれから分かるが、ハフィントン・ポストがこの世代に向けてローンチする実験的プロジェクトはまだまだこれからも続く。
昨年末、ハフィントン・ポスト内の小規模なリサーチ部門であるハフポスト・ラボ(HuffPost Labs)はZ世代について調査し、彼らのコンテンツ消費の習慣について研究。2017年もひき続きZ世代が何に興味をもっていて、なにが彼らにとって効果的なのか、いろいろと実験をすることになった。Z世代との「関係を築くこと」がハフィントン・ポストの義務になっていると、ヴォン・グリナウ氏は語る。
Max Willens(原文 / 訳:塚本 紺)