ヴォーグの インスタ 戦略、「中央集権化」で力強い成果

ヴォーグ(Vogue)は、コンテンツのアウトプットの一部とインスタグラム(Instagram)における戦略を、彼らが所有する9つのタイトルすべてにおいて中央集権化した。そしてその成果が表れつつある。

2017年にコンデナスト・インターナショナル(Condé Nast International)がロンドンで中心的役割を担うハブを設置して以来、ヴォーグによる11のインスタグラムアカウントの「いいね!」とコメント数は62%上昇している。2018年のあいだは、平均して月間640万の「いいね!」とコメントを稼いだ。この傾向はヴォーグだけではない。6月にはコンデナスト・インターナショナルと米コンデナストのインスタグラムアカウントは合計で8700万のインスタグラムフォロワー数を突破した。

「ヴォーグのインスタグラムアカウントをお互いに競合させるのではなく、ひとつの家族として統合することがアイデアだ。これまでは競合が起きていた可能性がある。部門を統合するという、とても舞台裏な行いがこれほどの影響を持つことを確認して、非常に心強い」と、ヴォーグ・インターナショナル(Vogue International)のソーシャル戦略・ストーリーテリング部門責任者であるハナ・レイ氏は言う。

インスタストーリーから改善

レイ氏が率いるロンドンのチームは、中心的な戦略コンサルティング・ハブとして機能している。レポートの共有、トレーニング、そしてワン・トゥ・ワン・コールおよびより広範囲な地域固有のミーティングを通じて、ネットワーク全体でベストプラクティスと学習を共有している。彼らの社全体における、ロンドンの中央ハブを通じてリソースの運営を効率化するという取り組みの一環となっている。それがヴォーグの起点となっている。

まず、レイ氏がすぐに改善ができる余地があると見なしたのが、インスタグラムストーリー(Instagram Stories)のクオリティとアウトプットだ。これをより一貫性のある戦略を導入することで達成できると考えた。ストーリーにおける、作り上げられていない舞台裏の映像や画像というスタイルをデザイナーやイベント、撮影といったヴォーグが抱える貴重なアクセス能力と組み合わせることで成果を見せた。

ニューヨーク、ロンドン、ミラン、そしてパリのファッションウィークに代表されるように、ヴォーグが年間を通じたファッション行事で特に重要視する時期がいくつか存在する。これらの時期には、定期的にインスタグラムストーリー上のシリーズ企画を開催する。なかでも代表となる3つのシリーズ企画が「ヴォーグ・プラスワン(Vogue Plus One)」「ヴォーグ・ファーストルック(Vogue First Look)」「ヴォーグ・バックステージ(Vogue Backstage)」だ。最初のシリーズがファッション・イベントからのコンテンツを紹介し、2番目がデザイナー・コレクションに早くからのアクセスを提供するもの、そして最後がファッションショーにおける舞台裏を紹介するものになっている。このストーリーは他のヴォーグ・マーケットでも使えるようにパッケージ化される。米国以外の25のライセンス・ヴォーグ・マーケットが対象だ。ストーリーをローカルなコンテンツに混ぜて追加することができる。

動画も増やしつつある

すべてのタイトルが動画であることもあるが、それは珍しいと、レイ氏は言う。ファッション・ウィークが開催される月には、ストーリーは平均して83%の視聴完了率を持つという。ストーリーは5つから8つのクリップが流れると、同氏は付け加えた。

インスタグラムの長編ライブ動画サービスであるIGTVにヴォーグが注目したのは2月のことだ。インスタグラムが、ユーザーがフォローするアカウントによるIGTV動画の1分プレビューをメインのフィードで提供しはじめたことがきっかけだ。ここ6カ月において、ヴォーグはIGTVで試すコンテンツの数を増やしている。メイクアップのチュートリアルであったり、モデルの1日を追いかけるものであったり、といった具合だ。これらのコンテンツは他のプラットフォームでも配信されている。決められたスケジュールはまだないが、IGTVへの配信はだいたい1週間に1度のペースになっていると、レイ氏は言う。

インスタグラムストーリーとは違い、ヴォーグのすべてのアカウントがIGTVのコンテンツを配信することは珍しくない。

「キャットアイ」メイクアップを教えるハウツー動画のような、メイクアップ・チュートリアルはこれまで約15万のIGTV再生回数を稼いでいる。「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」の女優ソフィー・ターナー氏が自身のフィットネス・ルーチンを「ヤギ・ヨガ」に変える、という「エクストリーム・ウェルネス」シリーズの回はすべてのヴォーグタイトルによって配信された。これによって100万回のIGTV再生回数を得ている。メレディス(Meredith)のようなパブリッシャーは、より定期的なオリジナルコンテンツ配信を行っており、彼らはIGTV上の番組で合計2000万回の再生回数を得ていることを考えると、この回数は期待が持てるものだ。

コンデナスト・インターナショナルは、IGTV向けにオリジナルコンテンツを制作してはいない。しかし、YouTubeやFacebookといったほかのソーシャルプラットフォームで配信されているシリーズ企画やフランチャイズは、IGTVでの配信を念頭に置いて、タイトルやヘッドライン、字幕がすべてのプラットフォームで、ちゃんと表示され、収まるように撮影されている。

広告主向け長編動画はこれから

現時点ではインスタグラムは広告主向けの長編動画サービスは開始していない。コンデナスト・インターナショナルはコマーシャル部門がソーシャル部門と密接に協働しているが、インスタグラムがどれほどの収益に貢献しているかは明かさかった。

「インスタグラムはヴォーグとしては、ほかよりも良くあるべきプラットフォームだと考えている。2年前、我々は本来いるべき状況に立てていなかった。いまではインスタグラムにおいてヴォーグは業界を率いるプレイヤーのひとつであると自信を持って言える。多くのメディア企業は、コミュニティ第一のプラットフォームではなく、人々に声をぶつける配信プラットフォームとしてインスタグラムにアプローチしているからだ」と、レイ氏は語った。

Lucinda Southern(原文 / 訳:塚本 紺)