米テレビ局ターナー(Turner)が、成長する「ブランデッドソーシャル動画」部門を国際化しはじめた。自社グループで開発したソーシャル動画広告製品「ローンチパッド(Launchpad)」を、自社の国際部門に持ち込み、ワールドワイドに販売を展開するという。そのため、約500人におよぶ営業担当社員に講習会を行った。
米テレビ局ターナー(Turner)が、成長する「ブランデッドソーシャル動画」部門を国際化しはじめた。
データドリブン型広告に重点的に取り組むターナーの広告販売事業部門ターナー・イグナイト(Turner Ignite)は、2016年のCESでソーシャル動画広告製品「ローンチパッド(Launchpad)」をローンチした。この製品は、ターナー系列の各社(コナン・オブライエン氏のチーム・ココ[Team Coco]や、グレート・ビッグ・ストーリー[Great Big Story:GBS]など)が制作するスポンサー動画を、ターナーのソーシャルポートフォリオ上で広告主が配信するのを手助けするようデザインされている。ターナーのソーシャルポートフォリオには、100以上のアカウントがあり、総計で7億9300万人のフォロワーがいる。
自社のソーシャルアカウントでアクセスできるデータを利用し、提携するソーシャルアナリティクスベンダーのデータとマージさせることにより、ブランデッド動画制作を手助けするだけでなく、そうした動画のソーシャルウェブでの配信に成功することもできるという発想だ。
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ターナー・イグナイトのソーシャル戦略ソリューション担当シニアバイスプレジデント、フランク・カビランツ氏が率い、ニューヨークの20人のチームで構成される「ローンチパッド」は、広告主向けにすでに160以上のキャンペーンを行ってきた。エンターテインメント企業の21世紀フォックス(21st Century Fox)やスニッカーズ(Snickers)などの広告主向けのキャンペーンは、動画視聴数が5億回近くに達している。
社員向け講習会を実施
現在ターナーはこの製品を、ターナー・インターナショナル(Turner International)やCNNインターナショナル・コマーシャル(CNN International Commercial)などの国際部門に持ち込もうとしている。そのためターナー・イグナイトは、欧州、南米、アフリカ、アジアなど海外市場の営業およびマーケティング担当者が「ローンチパッド」に習熟できるようにする研修プログラムを開始した。このプログラムは、2日間で計8時間の講座で構成されており、講座を開発したソーシャル戦略担当ディレクター、ブラッド・ジョーンズ氏が主導した。
講座の内容は広範に渡った。まずは、ニュースフィードや「ダークポスト(未投稿のポスト)」といった基本用語や機能を扱ってから、各ソーシャルネットワークのリーチや機能に関する情報を紹介し、さまざまな広告ユニットの分割や、そうしたユニットのターゲティング機能など、各プラットフォームでの宣伝方法に関するマニュアルへと続いた。その後は、「ローンチパッド」内で利用できる各種データや分析ツールと、それらが重要な理由に関する詳しいディスカッション。最後は、キャンペーンの試験的な実行で締めくくられた。
ターナーは、講座を修了した営業担当者のみが「ローンチパッド」にアクセスできるようにするという。
プレジデントも漏れなく受講
「営業担当者が宣伝に行くとき、自分が精通していないものがあると、それを話題にしたがらない。この講座は、『ローンチパッド』を話題として持ち出す自信を与えてくれる」とカビランツ氏は語る。
これまでに、ターナーで働く世界各国の営業およびマーケティング担当者500人近くが講座を修了し、製品を利用できるようになった。また、プレジデントのデビッド・レビー氏やターナー・アド・セールズ(Turner Ad Sales)のプレジデントであるドナ・スペシアーレ氏など、ターナー系列企業の上級幹部も、この研修講座を修了している。
「いまなら、ダークポストとは何か、レビー氏に質問できる。レビー氏は、ダークポストのことを知っている」と、カビランツ氏は言う。
すでに国際的な実績もあり
「ローンチパッド」の国外展開に伴い、カビランツ氏のチームメンバーは、年内に30人のストラテジストとデータサイエンティストに拡大する。キャンペーンが展開されたら、チームがキャンペーンに対応し続けるが、ターナーは国際部門内部のデータスペシャリストが、ニューヨークを拠点とする「ローンチパッド」チームと絶えず連絡を保つ体制を築こうとしている。
カビランツ氏は以下のように説明する。「地域ごとに、データから洞察を得るスタッフを特定してきた。彼らは、[8時間の講座を]超えて、私のチームがやっているように、すべてのデータの意味に関して深く掘り下げられる者たちだ。彼らは私のチームと緊密に連携し、常時電話連絡をとりつつ、CNNインターナショナル・コマーシャルとターナー・インターナショナルに組み込まれた『ローンチパッド』チームの出先機関として機能している」。
「ローンチパッド」はこれまでに、GBSが全日本空輸(以下ANA)やジェネシス(Genesis)とともに展開したふたつのキャンペーンなど、12の国際的キャンペーンを完了または開始している。ANAとジェネシスのキャンペーンはいずれも複数の動画があり、顧客とのより広範な継続的パートナーシップの一部となっている。こうした提携は、ターナー・イグナイトと「ローンチパッド」が重点を置いている主要分野だ。
30秒間の視聴保証も特徴
「ローンチパッド」製品のもうひとつの主要な特徴は、ソーシャルプラットフォーム上で30秒間の視聴保証を付けている点だ。カビランツ氏によると顧客の約70%が利用しているという。
「ターゲットである特定のオーディエンス(一定の年齢層や性別だけではなく、特定の嗜好を持っているオーディエンス)への30秒間の保証を国ごとに提供し、キャンペーンの窓口でそうしたことをすべて行える」とカビランツ氏は述べる。「これは、ソーシャル上でのコンテンツマーケティングを1カ所で行えるようにするターナーのアプローチだ。米国で展開しようと、パリや香港、あるいはその3地域すべてで何かを行おうと、こうしたものすべてが得られるとわかっているため、取引をさらに容易にする」。
Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)