FUTURE OF WORK

オフィスへの「復帰」計画、米・メディア企業スキムの決断

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ミレニアル世代の女性をターゲットにしたニュースレターで有名なメディアカンパニー、スキム(theSkimm)は、6カ月以上をかけてオフィス出社に戻る計画を練りあげ、ようやくハイブリッド型勤務方針を打ち出した。この方針に伴い、フルタイムの従業員は2022年1月11日から、1カ月に3回、ニューヨーク本社への出勤が義務づけられる。

11月に入り従業員に通知された今回の方針では、上司のマネージャーが出社日を指定する。なお、指定日以外でも、オフィスが閉鎖される月曜日と金曜日を除き、出社はいつでも可能だ。全従業員の約75%が今回の新方針の適用対象となる。

スキムのオフィス復帰計画

世界中の企業が、従業員にストレスを与えないオフィス復帰策を再検討するなか、スキムの新たな指針が発表された。

スキムは2016年からマンハッタンのフラットアイアンビルディング付近にあるオフィスのフロアを使用しており、今回のパンデミックでも、このオフィスを手放さなかった。スキムの共同創業者で共同CEOでもあるダニエル・ワイスバーグ氏は、オフィスに戻るにあたり、全従業員にはワクチン接種が義務付けられ、米疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインによる「感染しやすい場所」では、室内のマスク着用が求められると話す。

ワイスバーグ氏によると、スキムでは、座席の間隔をあける、部屋の収容人数の上限を減らす、空気清浄機を追加する、Wi-Fiアクセスを強化する、PPEステーション(マスクなどの着脱場所)を設置する、個包装のスナックを用意するといった対策を取る予定だという。

「今回の決断は、従業員とともに培ってきた厚い信頼関係と、日々の仕事に対する従業員のプロ意識、尽力、情熱のたまものだ」とワイスバーグ氏。「この2年間、先がまったく見えないなか、これまでに経験したことがないようなストレスの多い環境で業務を行いながら、彼らにできることは何なのかを考えてきた。実際、皆、本当によくやり続けてくれた」。

「保守的」なアプローチを採用

広報によると、スキムの主要ニュースレター「デイリースキム(The Daily Skimm)」のアクティブ購読者は現在700万人を超える。また、スキムのアフィリエイト&コマースビジネスは成長軌道にのり、今年は100%以上の増加が見込まれるという。

スキムのもうひとりの共同創業者で共同CEOであるカーリー・ザキン氏は、同社ではオフィス復帰に対して「保守的」なアプローチを取っていると話す。社内で従業員を対象にしたアンケート調査を複数回実施し、従業員には積極的に回答するよう求めた(一部は匿名記入)。その目的は、ハイブリッド型の勤務体制になった場合、「従業員にとって問題点は何か、良い点は何か」を知ることにある。

ワイスバーグ氏によると、こうした調査からは、従業員の間でオフィス復帰計画に対する「意見の一致」は見られなかったものの、経営陣はその後も1カ月に2回改訂しながら、引き続き計画案を用意しているという。なお、社内調査結果を踏まえて、月曜日と金曜日のオフィス閉鎖という方針は変更していない。

「従業員の間で意見の一致が見られないため、最終的には会社側でオフィス復帰という目標を設定せざるを得なかった……重要なのは『どうすれば皆がハッピーになるのか』ではなく、『対面することの役割は何なのか』だ」とワイスバーグ氏は話す。

対面することの役割とは?

それでは、対面することの役割とは何なのだろうか? 「安全に対面でつながることができるのであれば、それがもっとも望ましい。とくに、コラボレーションやブレインストーミング、また、創造力を発揮しなければいけないときには対面が最適だ」とザキン氏。「このハイブリット型なら、きっとうまくいくと私たちは信じている。さまざまな働き方やワーク・ライフの状況に対応できるからだ」。

共同創業者のふたりのもとには、計画が「さまざまなワーキングスタイルや実務」に対応したものであることが重要だという従業員の意見が届いているとワイスバーグ氏は話す。従業員の希望は、毎日対面で会議をしなくても、在宅で仕事ができる状況が継続されることなのだ。

月曜日と金曜日にオフィスを閉鎖するメディアはスキムだけではない。ENテック・メディア・グループ(ENTtech Media Group LLC)の創業者でCEOのトム・フロリオ氏は、2021年9月にENテック傘下の「ペーパー(Paper)」誌でオフィス出勤を再開しはじめたが、そのとき同時に、月曜日と金曜日を在宅可能な曜日に設定し、火曜日から木曜日は全員出社という方針も打ち出している

スキムが懸念している内容には、オフィスを再開したものの、誰も出社しない日があるのではないかという問題も含まれるとワイスバーグ氏。オフィスを再開した企業でそのような話を聞いたというのだ。「重要なのは、オフィスというものが私たちの企業文化で特別な役割を果たしているということだ」。出社の曜日には、「仲間との絆を深める時間が持てるような」対面のイベントやプログラムを計画するなど、その良さを活かす予定だとワイスバーグ氏は話す。

約25%は完全リモートを継続

しかしながら、スキムの従業員130人のうち約25%は完全リモートを継続する予定である。というのも、通勤可能な地域に居住していないからだ。一部には今回のパンデミック中に雇用された人材もいる。そのため、月曜日の社内会議は、リモート社員も対応できるようにバーチャルのままで開催されることになる。

ハイブリッド型勤務体制は6カ月間実施予定で、その後、再検討される。つまり、この計画は実験なのだ。「これまでも繰り返し伝えてきたのだが、この計画が実践でどうなるのかはまったくわからない」とワイスバーグ氏は話す。「パンデミックからの学びがあるとすれば、『唯一不変なことは、不変なことなどほとんどないこと』だ。オープンに意見を交わし、フィードバックをもらったら、ためらわずに変わっていく――それが私たちのやり方だ」。

11月第1週の勤務方針発表後、従業員の反応はどうかと尋ねたところ、ザキン氏は、いまのところ「大歓迎」だと答えている。

賛否分かれるオフィス復帰計画

しかしながら、メディア各社ではオフィス復帰計画が必ずしも快く受け入れられているとは限らない。

たとえば最近、コンデナスト(Condé Nast)が従業員に対して11月5日までに出社勤務に戻るよう求めたが、この発表が労働組合のニューヨーカー・ユニオン(New Yorker Union)の激しい反発を受けた。ニュースギルド・オブ・ニューヨーク(NewsGuild of New York)に加盟するこの組合には、ニューヨーカー(The New Yorker)やワイアード(Wired)、ピッチフォーク(Pitchfork)の従業員が加入している。組合のあるメンバーが米DIGIDAYに伝えた話によると、コンデナストのオフィス出勤再開は、2022年はじめまで延期されたという。

同様の話はハースト(Hearst)でも聞かれている。300人を超える同社雑誌部門の従業員が、オフィス復帰計画の先送りを求めて嘆願書に署名した。同社の計画も11月15日に開始予定だった。コンデナストとハーネスの労働組合はそれぞれ、全米労働関係委員会(National Labor Relations Board)に対し、会社側のオフィス復帰計画を不当労働行為だとして訴えている。

[原文:How theSkimm’s co-founders came up with its return to office plan

SARA GUAGLIONE(翻訳:SI Japan、編集:小玉明依)