インスタ活用のツール開発で、新事業を生んだ米媒体社:リテールEC向けに転用

女性向けライフスタイルパブリッシャー、ポップシュガー(PopSugar)は2018年秋、インスタグラム(instagram)のストーリー(Stories)からのリファラルトラフィックを増やす目的で独自ツールの開発をはじめた。2019年7月後半、それがリテーラーおよびブランドのeコマース事業用のサブスクリプションプロダクトとして発売される。

この数カ月間、ポップシュガーはデジタルプロダクトであるスパークル(Sparkle)の微調整を続けていた。eコマースのトランザクション促進を目的に同社が開発した、高速ウェブページフォーマットだ。スパークルがあれば、マーケターはAmazonやウォルマート(Walmart)といったデジタルリテーラーと接続するAPIを利用し、厳選されたアイテムが満載のページを簡単に作成できる。ブランドおよびリテーラーは背景のイメージをアップロードし、リンクとキーワードをページビルダーに追加するだけでよく、あとはスパークルがどんなモバイル機器でも使用できるページを作成してくれる。

スパークルはもともと、インスタグラムストーリー用に開発したのものだ。だが、プロダクトマーケティング&販売戦略部門EVPクリス・ジョージ氏は、これをモバイル検索結果や、モバイルサイトおよびほかのプラットフォームから人々を引き込むページの作成に利用できると、考えたという。

ポップシュガーは当初、スパークルを付き合いのある大手リテーラーのみに提供していたが、今後はショピファイ(Shopify)のアプリエコシステムを介し、軽量版を小規模リテーラーにも提供していく。また、小規模リテーラーにスパークルの使用を促すため、メディアを少々絡ませるアイデアも温めている。ジョージ氏によれば、ポップシュガーによる完全分析とアカウントサポートが付くフルサービス版は、月額の利用料が5桁になる見込みだが、軽量版はそれよりもかなり低価格になるという。

「ブランドパートナーに提供しているうちに、より大きな可能性があることに気づいた」と、ジョージ氏は語る。

スパークル誕生の経緯

インスタグラムストーリーは、いまや高い人気を博している。ブランデッドコンテンツ視聴からeコマースまで、すべてにこれを利用するパブリッシャーにとっては、重要なリファラルトラフィック源となっている。

ところが、ユーザーがスワイプアップでアクセスするページは、概してローディングが遅い。結果、自社コンテンツをダウンロードしてもらう前にユーザーがストーリーを離れてしまうため、ポップシュガーは大切なトラフィックを失っていた。これに気づいた同社は、6人からなるリサーチ&デベロップメントチーム、ポップシュガー・ラボ(PopSugar Labs)に命じ、以前よりも高速でロードできるページフォーマットを制作した。

当初は、eメールアドレスキャプチャーおよび長尺動画視聴機能の促進に利用していたが、2019年初頭、自身のプロパティにおけるeコマースへの利用を開始した。これはAmazonとウォルマートのAPIを活用したもので、ページ上の購入リンクをクリックすると、自動的にチェックアウトページに飛び、カートには選んだ商品が入っている、という仕組みだ。

スパークルのこのバージョンは、2019年春、広告主に対する毎年恒例の販売説明会において、ジョージ氏を含む幹部数名が行なったプレゼンテーションで紹介された。その後、リテーラーおよびブランドからのフィードバックを参考に、同商品の最適化をはじめた。

スパークルは現在、リテーラー5社と組んでおり、今後の拡大も視野に入れている。ジョージア氏いわく、「リテーラーもいろいろで、非常に組みやすいところもあれば、ガードの堅いところもあり、身元調査的なこともされている」。

広告主の利益を増す方法

パブリッシャー勢は以前から、オンラインオーディエンスを求めるブランドのための仲介人または門衛を目指してきたが、同時に、自社プラットフォーム上のeコマースを促進するデジタルプロダクトに継続的な投資も行なっており、それがこのような発想・進化に繋がったと、コンサルティング会社クォンタムメディア(Quantum Media)のシニアコンサルタント、グレチェン・グラント氏は指摘する。

「これはいけるとパブリッシャーが考えたものが、恣意的にしろ、経時的にしろ、最終的に広告主のためになるケースは多い」と、グラント氏。「パブリッシャーは、直接取引において広告主の利益を増す方法を常に探している」。

Max Willens(原文 / 訳:SI Japan)