米国のサッカーファンで、サッカー南米選手権「コパ・アメリカ・センテナリオ」に興味がある人ならば、ケーブルテレビの豊富なチャンネルから試合観戦をすることができる。サッカー欧州選手権「ユーロ2016」に関心があるファンならば、ESPNにチャンネルを合わせればいい。ただし、世界中のすべてのサッカーの試合が、有名な世界選手権なわけではない。また、すべてのサッカーファンが有料ケーブル局と視聴契約を結んでいるわけでもない。
そこで、サブスクリプション(定額制)ストリーミングサービス「fuboTV(フーボティービー)」の出番だ。月額10ドルで利用できるこのサービスは、コパ・アメリカのような世界選手権から、スペインの「ラ・リーガ」やイタリアの「セリエA」のような国内リーグまで、さまざまなサッカーの試合を生中継している。2015年1月のローンチ以来、オンラインやアプリで視聴する有料会員が5万人を超えるまでに成長してきた。
米国のサッカーファンで、サッカー南米選手権「コパ・アメリカ・センテナリオ」に興味がある人ならば、ケーブルテレビの豊富なチャンネルから試合観戦をすることができる。サッカー欧州選手権「ユーロ2016」に関心があるファンならば、ESPNにチャンネルを合わせればいい。ただし、世界中のすべてのサッカーの試合が、有名な世界選手権なわけではない。また、すべてのサッカーファンが有料ケーブル局と視聴契約を結んでいるわけでもない。
そこで、サブスクリプション(定額制)ストリーミングサービス「fuboTV(フーボティービー)」の出番だ。月額10ドルで利用できるこのサービスは、コパ・アメリカのような世界選手権から、スペインの「ラ・リーガ」やイタリアの「セリエA」のような国内リーグまで、さまざまなサッカーの試合を生中継している。2015年1月のローンチ以来、オンラインやアプリで視聴する有料会員が5万人を超えるまでに成長してきた。
fuboTVの共同創設者で最高経営責任者(CEO)のデビッド・ギャンドラー氏は、次のように語る。「テレビは費用が非常に高い媒体だ。最大規模のオーディエンスに提供するので、テレビはもっとも高額のスポーツ放映権を獲得するとみなされている。規模が大きくなるほど、広告主にとっての魅力が増す。そして、(ケーブル局などの)ディストリビューターから引き出せる手数料も増える」。
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弱小だからできること
米国でもサッカーの人気は高まっている。しかし、テレビにとって十分な規模の視聴者を集めているのは、「FIFAワールドカップ」やユーロ2016のようなトップクラスの選手権と、イングランドの「プレミアリーグ」だけだ。直近シーズンの期間、NBCによるプレミアリーグの放送は、平均視聴者数51万4000人を記録。一方、ESPNとABCによる2014年ワールドカップ決勝戦の放送では、米国におけるテレビ視聴者数が1730万人に達した。
そうした人気から、米国の放送局は、これらの大会を放送するために莫大な金額を喜んで支払っている。たとえばNBCは、プレミアリーグの放映権に6年間で10億ドル(約1019億円)を支払った。FOXスポーツ(Fox Sports)は、2018年と2022年のFIFAワールドカップ放映権に4億2500万ドル(約432億円)を支払う。
fuboTVは、そうした価格に太刀打ちはできない。21世紀フォックス(21st Century Fox)やスカイ(Sky)のような出資者から2000万ドル(約20億円)を調達したとはいえ、5万人の契約者から月額10ドルの利用料を集めても、年600万ドル(約6億円)にしかならないのだ。そしてその多くは、ユニビジョン(Univision)、ビーインスポーツ(beIN SPORTS)、ワンワールドスポーツ(One World Sports)のようなコンテンツパートナーに支払われる。これらのパートナーはすでに、世界選手権や国内選手権の放映権を取得しており、大手スポーツ専門局が扱っていない多くの試合を放送している。
デジタルで配信すべきもの
「テレビネットワークにとっては、視聴率が一定水準より低くなると、コンテンツを放送する意味がなくなる。片や、生中継のサッカーコンテンツは大量にある。これらは、デジタルで配信されるべきなのだ」とfuboTVのCEOギャンドラー氏は語る。
人々が大好きなコンテンツに喜んで対価を払うことは、たくさんの証拠から明らかだ。「クランチロール(Crunchyroll)」や「ドラマフィーバー(DramaFever)」のようなストリーミングサービスはいずれも、比較的マイナーな国外コンテンツを提供し、数十万人規模の有料会員を獲得することに成功してきた。
こうした配信サービスを首尾よく運営するカギは、コンテンツにかかる費用を低く抑えることにある。調査会社SNLケイガン(SNL Kagan)によると、fuboTVは現時点で、契約者1人あたり月額6ドル以上かかると推定される配信料をESPNに払えるほど、十分な収益を上げていないという。だが、ビーインスポーツのような比較的小規模のネットワークなら、配信料は契約者1人あたり月額10セントなので、支払うことが可能だ。考え方としては、こうしたチャンネルを数多く詰め合わせることによって、多様なオーディエンスを十分に引きつける魅力的なサービスにできるかもしれないということである。
サッカー以外も拡充する戦略
ギャンドラー氏によるとfuboTVの目標は、3~4年以内に有料会員数を100万人に到達させることだ。目標達成のために採用した手段は、「隣接」ネットワークの配信だという。具体的な提携先には、音楽ネットワークの「リボルト(REVOLT)」、映画監督ロバート・ロドリゲス氏が立ち上げたケーブルチャンネル「エルレイ(El Rey)」、ミレニアル世代向け独自番組を提供する「ピボット(Pivot)」などがある。こうしたコンテンツの拡充によって、サッカーの試合を生中継していないチャンネルにも興味を持つ会員を増やせるかもしれない。
fuboTVのオーディエンスのうち、90%は18~44歳だ。彼らがfuboTVに加入する理由はサッカーだが、ほかのコンテンツも気に入っているようだ。補助的なチャンネルを徐々に加えてきたfuboTVは、オーディエンスがそうしたコンテンツを好んで視聴し、さらに多くを求めていることに気づいた。コンテンツを追加する時期を問い合わせるコメントが、会員から毎週約3000~4000件寄せられており、スポーツ以外のコンテンツにも問い合わせがあると、ギャンドラー氏は語る。
「現在、我々のオーディエンスが好むコンテンツの種類に基づいて、隣接ネットワークを構築することが重要だ。そうすることで、我々は勢いを維持することができる」と同氏は語った。
Sahil Patel (原文 / 訳:ガリレオ)
Image from Thinkstock / Getty Images