NBCユニバーサル(NBCUniversal)のエンターテインメントニュース部門、「E!ニュース(E! News)」は、Facebookのライブ動画で利益を得るための取り組みをはじめている。重要視するのは、Facebookからの安定的な視聴者の規模を獲得することと、スポンサード広告以外の独自のマネタイズだ。
NBCユニバーサル(NBCUniversal)のエンターテインメントニュース部門、「E!ニュース(E! News)」は、Facebookのライブ動画に1年を費やしたいま、利益を得るためのさらなる取り組みをはじめている。
E!ニュースは11月、「フリースタイル(Freestyle)」という新しいライブ動画シリーズを開始した。番組のパーソナリティを務めるのは、E!ニュースの記者ズーリ・ホール氏とシニアビューティーディレクターのシンヤ・バートン氏だ。番組のテーマはビューティーとファッションで、毎回さまざまな専門家をゲストに迎え、「ヘアスタイルのヒント」「休日に欠かせないアイテム」「口紅のトレンド」といった切り口でさまざまな製品やトレンドを紹介する。960万人のFacebookフォロワーを擁するE!ニュースは、2017年1月までに30分程度のエピソード全8回を配信する予定だ。
E!ニュースが配信しているほかのFacebookライブ動画とは異なり、「フリースタイル」にはスポンサーが付いている。すべてのエピソードが、ビューティーブランドのアルタ・ビューティー(Ulta Beaut)によって「提供される」。また、3つのエピソードでアルタ・ビューティーの製品が取り上げられる予定になっているほか、2016年12月初旬に公開されたエピソードは、アルタ・ビューティーの店舗内で撮影が行われた。さらに、アルタ・ビューティーの専門家が出演し、ヘアスタイルやメークアップの最新トレンドを紹介している。E!ニュースのライブニュース番組と同じように、「フリースタイル」のエピソードは、高画質の動画と複数のカメラアングルによる洗練された作りが特徴だ。
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視聴者の固定化が重要
E!ニュースはこの1年間、Facebookのライブ動画やそのほか動画配信サービスに多大な投資を行ってきた。「フリースタイル」はそんな同社にとって、まだ確実な収入源とはなっていないフォーマットやプラットフォームから利益を上げるための重要な取り組みといえる。
E!ニュースは2016年3月、毎日配信しているエンターテイメントニュース番組の「ライブ・フロムE!(Live From E!)」をFacebookライブ動画で公開した。現在、E!ニュースは1週間でおよそ4時間分のFacebookライブ動画を制作している。これには、「TVセラピー(TV Therapy)」や「ソートゥルー・オア・ソーフォルス(So True or So False)」といったほかのシリーズ番組も含まれる。E!ニュースのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるジョン・ナジャリ氏によると、こうしたライブコンテンツ視聴者数はひとつのエピソードにつき平均で30万人だという。
同氏は、「視聴者の固定化をFacebookでもっとも重要視している。できるかぎり多くの安定した視聴者を引きつけたい」と述べた。
安定した視聴者を確保していることが、広告主にFacebookライブ動画のスポンサーを依頼するのに役立つことは間違いない。E!ニュースでは「フリースタイル」に加え、「ゴールデングローブ賞」「グラミー賞」「オスカー賞」といったハリウッド関連のセレモニーを中継する自社制作のライブ番組で、ブランドや製品を売り込んでいる。同じように、「ビジネスインサイダー(Business Insider)」や「ニューズUK(News UK)」などほかのパブリッシャーも、Facebookのライブ動画でマネタイズの取り組みをはじめている。
あらゆる機会をマネタイズ
NBCユニバーサルでライフスタイルおよびスペイン語圏広告販売グループのエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるローラ・モーレン氏は、次のように述べている。
「我々は顧客がいる場所ならどこにでも進出する。だからこそ、あらゆる機会をマネタイズしたい。我々はすでに、最新のガイドラインに従って、Facebook配信するコンテンツを、顧客であるブランド企業と結びつけるためのソリューションを開発している。ゆくゆくは、お互いが利益を得られるマネタイズの仕組みを開発することに最優先で取り組むつもりだ」。
「フリースタイル」の視聴者数は、初回の9万1000人から徐々に増え、直近のライブ放送では16万人近くに達した。アルタ・ビューティーでブランドマーケティング担当バイスプレジデントを務めるシェリー・ハウス氏によれば、この番組は同ブランドにとって良い「学習の機会」だという。同社が重視しているのは、スポンサーとして番組を「提供する」だけでなく、もっとさまざまな要素を融合したり、別の形の独自コンテンツを制作したりすることのようだ。
「我々は次の取り組みについて(E!ニュースと)すでに話をしており、8つのエピソードが終わった段階で、何がうまくいったのかを評価するために、彼らとじっくり話し合う予定だ。我々はまずアイデアを試し、そのアイデアを強化するためにパートナーシップを活用している」と、ハウス氏は語った。
Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)