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老舗誌 コスモポリタン、 EC 展開で「若年層」開拓に注力:「過去の栄光に甘えず 拡大に乗り出す」

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伝統ある雑誌ブランドは、圧倒的な知名度という強みを持っていることが多い。だが、そんな彼らもいまやブランドロイヤルティを構築し、若いオーディエンスとの関係を維持しようとしのぎを削っている。

ハースト・マガジン(Hearst Magazines)が有する「コスモポリタン(Cosmopolitan)」もそうしたブランドのひとつだ。編集長のジェシカ・ペルス氏によると、1886年に創刊されたコスモポリタンは、ミレニアル世代とZ世代の女性オーディエンスを増やすために、eコマースビジネスを成長させる戦略に取り組んでいるという。

「我々は着手した取り組みを後戻りさせたり、過去の栄光に甘んじたりすることなく、むしろ拡大や実験に乗り出そうと決めていた。もちろん、ウェブサイト、雑誌、ソーシャルというメディアとしての主力プロダクトに注力するという方針に変わりはない」と、ペルス氏はいう。「ただし、今年は私たちにとって、ブランドの成長の可能性を感じられるような新しい体験を構築する(ことが中心の)1年となっている」と、同氏は語った。

ワイン販売が好調

女性向けライフスタイル誌のコスモポリタンでは、2020年1月~10月にeコマース経由で販売した製品の数が、前年同期比で254%増加した。しかもその多くが、この秋に実施したいくつかのオリジナル商品リリースやアフィリエイト戦略の直接的な成果である可能性が高いという。同誌はこの期間中、新たな製品ライセンス契約を締結して自社ブランドのワインを販売したり、アフィリエイトビジネスの拡大を狙った2日間のショッピングイベントを開催したりした。また、自社ブランドのTシャツ、パズル、トートバッグなどを扱うショップも立ち上げている。

「コスモポリタンのワインがグローバルで、かつオーガニックにブランド拡張を実現できている理由は、ワインを飲む若い女性の数が非常に多いからだ」と、ペルス氏は述べている。コスモポリタンが実施したブランド調査によると、同誌の読者は1週間に3600万杯のワインを飲んでおり、直近の30日間には1億7000万ドル(約177億円)をワインに費やしていたという。

また、コスモポリタンというブランド名が人気の高いカクテルの名前に由来することから考えても、アルコール事業への参入はごく自然なブランド拡張戦略だと、コスモポリタンのシニアバイスプレジデントで出版ディレクターを務めるナンシー・バーガー氏は述べている。

コスモポリタンのワインコレクションは「アンコークト・バイ・コスモポリタン(Uncorked by Cosmopolitan)」と呼ばれ、4種類のワインで構成されている。これらのワインはすべてカリフォルニアのグアラチ・ワイン・パートナーズ(Guarachi Wine Partners)が製造し、コスモポリタンのチームがパンデミック前にオフィスでおこなったテイスティングを経て認められたものだ。また、現在は5つ目のワインを販売する準備が進められている。このワインコレクションはいまのところWine.comで独占販売されているが、来年には小売店に進出したいとバーガー氏は語っている。

コスモポリタンは提携先のグアラチと売上金を分配しているが、その正確な金額は明らかにしていない。

ライセンスビジネスでエンゲージメントを構築

また、コスモポリタンは2019年8月、香水の製品ラインとして「オー・ド・ジュース(Eau de Juice)」というブランドを立ち上げている。この香水は当初、コスメチェーンのアルタ・ビューティー(Ulta Beauty)が独占販売していたが、1年後にはウォルマート(Walmart)とコールズ(Kohl’s)でも販売されるようになった。

「(製品ライセンスを)コミュニケーションプラットフォームの一部として考える必要がある。売上を生み出すだけでなく、ターゲットとする消費者とブランドのあいだに感情的なつながりを作り出すことが目的だからだ」と、ライセンスビジネスの業界団体ライセンシング・インターナショナル(Licensing International)で業界関係担当シニアバイスプレジデントを務めるマーティ・ブロックスタイン氏はいう。 「そして、そのための最適な方法が、(ワインを試飲したり香水を試したりするという)リアルな体験を提供することだ」と、同氏は語った。

コスモポリタンは、製品ライセンス事業だけでなくアフィリエイト事業も拡大している。米DIGIDAYが8月に報じたように、同誌のアフィリエイト事業はコロナ禍のさなか、前年比288%の成長を記録し、2019年のホリデーシーズン中に獲得したアフィリエイト売上を上回った。

ショッピングイベントも展開

コスモポリタンは8月、ブラックフライデーや独身の日といったショッピングホリデー、それにAmazonのプライムデー(Prime Day)と市場シェアを争うための取り組みとして、「ハウリデー(Hauliday)」と呼ばれるショッピングイベントを初めて開催した。このイベントは2日間にわたっておこなわれ、イベントスポンサーのクラーナ(Klarna)と提携した小売業者100社に割引オプションが提供された。クラーナは、後払いサービスを提供する決済プラットフォームだ。

バーガー氏によれば、このイベントで販売された製品の数は、通常の週末にクラーナのプラットフォームで販売される製品の3倍に達したという。そのため、クラーナは来年もハウリデーのスポンサーになることに同意した。ただし、バーガー氏はこのスポンサー契約に関する詳細を控えている。

2021年には、コスモポリタンのインターナショナル版が欧州で春夏バージョンのハウリデーを開催する予定だ。「我々はいま、世界的なショッピングイベントを作り出すという以前から抱いていたビジョンを実現すべく動き始めている」と、バーガー氏は語った。

さらに、ペルス氏によれば、大学生の年齢層が多い同社のオーディエンスは、キャンパス外で消費者にリーチしたいと考える広告主にとって大きな市場になっているという。そのため、ハウリデーのようなショッピングイベントは、小売業者やブランドがターゲットとするオーディエンスに近づく強力な機会を提供していると同氏は話す。

広告主と競合するリスクも

ただし、雑誌を手がけるパブリッシャーにとって注意すべき点があると、ライセンシング・インターナショナルのブロックスタイン氏は指摘する。それは、製品ライセンス事業と広告事業の両方が成長するに従って、製品カテゴリーの重複が発生し、ブランドがパブリッシャーの雑誌やサイトへの広告出稿を見合わせる事態がいつの間にか起きないようにすることだ。

ほかの香水ブランドやワイン業者と競合するようになれば、彼らは二度とコスモポリタンで広告費を支出しなくなる可能性があるとブロックスタイン氏はいう。

この懸念に対し、コスモポリタンのペルス氏は次のように語った。「我々は読者が何を買いたがっているのかを把握している。そして、それこそが我々の仕事なのだ」

[原文:How Cosmo is building brand affinity with younger audiences through its focus on commerce

KAYLEIGH BARBER(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:分島 翔平)