一般的にハードニュース(重大なニュース)は、広告主にとってリスキーな出稿先として「避けるべきところ」とされてきた。しかし、ブルームバーグメディアグループはそれを逆手にとって、新しい広告プロダクトを開発。速報的な重大ニュースに寄り添った広告を、影響力のある出稿先として販売を押し進めている。
その新しい広告の名前は、「Trendr(トレンダー)」。この数日間、もっとも読まれた「ブルームバーグ」の記事と、同誌の記事内で取り上げられた企業の株価情報をもとに、アルゴリズムでリアルタイムに注目の企業を紹介してくれるニュースウィジェットだ。
このブルームバーグの「Trendr」、たとえば読者が記事内のある企業名をクリックすると、その企業に関する記事リストのページに誘導され、さらに詳細が知ることができるという導線をもっている。そして、それぞれのステップで、関連する広告が表示され続ける仕組みだ。そのニュースウィジットの下に用意されているのが、当該の広告枠となる。
一般的にハードニュース(硬派なニュース)は、広告主にとってリスキーな出稿先として「避けるべきところ」とされてきた。しかし、ブルームバーグメディアグループはそれを逆手にとって、新しい広告プロダクトを開発。速報的な金融経済ニュースに寄り添った広告を、影響力のある出稿先として販売を押し進めている。
人気記事と株価情報で、注目企業をリコメンド
その新しい広告の名前は、「Trendr(トレンダー)」。この数日間、もっとも読まれた「ブルームバーグ」の記事と、同誌の記事内で取り上げられた企業の株価情報をもとに、アルゴリズムでリアルタイムに注目の企業を紹介してくれるニュースウィジェットだ。
このブルームバーグの「Trendr」、たとえば読者が記事内のある企業名をクリックすると、その企業に関する記事リストのページに誘導され、さらに詳細が知ることができるという導線をもっている。そして、それぞれのステップで、関連する広告が表示され続ける仕組みだ。そのニュースウィジットの下に用意されているのが、当該の広告枠となる。
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上部が「Trendr」のアルゴリズムで表示される人気企業。
下部に広告枠をプレースメントする。
現在、掲載されるのは、一部の人気が固定している企業のみ。「ブルームバーグ」としては、これをリアルタイムで人気を集めている人物やトピックスにも応用したい意向だ。
硬派なニュースは、長時間読まれる傾向が高い
考案したのは、キース・グロスマン氏が率いる広告イノベーショングループ。グロスマン氏は、同社グループのデジタル配信全般とデジタルプロダクツを総括している。「ブルームバーグ」の中核となる読者が、硬派なビジネスニュースを好んで読む傾向があるのに気付き、アイデアのヒントにした。
硬派なニュースは、長い時間読まれる傾向が高いため、ページの横に「Trendr」のニュースウィジットとともに広告を表示すれば、広告主にとってもインプレッション利益が増すと考えたという。オーディエンスのニュース消費を妨げないよう配慮しながら広告を打ち、エンゲージメント率を高め、離脱率を抑えたいという狙いだ。
「掲載する企業の人気が高ければ高いほど、この広告ユニットのエンゲージメント率は高くなり、広告主にはありがたい結果となる」と、グロスマン氏。なお、グロスマン氏は、ニュース記事と「Trendr」の広告ユニット上で、競合他社の広告がバッティングしてしまうリスクについても言及。その場合、「Trendr」はニュースコンテンツの内容を検討しながら、場合によっては広告の掲載を一次中断し、広告主に配慮するようにしていると述べた。
収益確保の期待がかかる、データドリブンな広告
とはいっても、「Trendr」はブルームバーグが数多く手掛けるデータドリブンな広告プロダクトのひとつにすぎない。運営しているのは、グロスマン氏の広告イノベーショングループに属する、たった6人のエンジニアだけだ。「Trendr」以外のプロダクトでは、「B:Pop」という人気記事のリストを紹介する広告ユニットや、オーディエンスのWeb行動を重視して、より最適な広告を出稿できるプロダクト「B:Intent」などがある。
ブルームバーグの「B:Pop」ユニット。
もっとも読まれた記事リストと広告をセットにしている。
ブルームバーグのメディアは、幅広いトピックを扱っているため、そのすべてに広告を掲載するのは非効率だ。広告主としては、そのなかのある特定のオーディエンス層にリーチしたいため、ターゲティングに特化した「B:Intent」を活用できる。いままでメディアに広告出稿をあまりしていない、高級ブランドに焦点をあてたサービスだ。
データドリブンな広告は、オープンアドエクスチェンジに対抗するかたちで生み出された。ターゲティング率の高さと安価な広告料が、オープンアドエクスチェンジへの需要を高めているが、これ以上の広告料の低下を防ぐための防衛策としても、データドリブンな広告は有効だ。ブルームバーグは、それを見据えたうえで導入した。広告主との関係維持において、パブリッシャーが利益を確実に守ることのできるデータドリブンな広告は、重宝されると思われる。
米メディアエージェンシー大手、MECグローバルのデジタル・マネージング・パートナーのブライアン・コー氏は「このようなプロダクトは、アドネットワーク上での取引を重視しがちだった。そして、買収やスポンサーシップの提携については、派手に拡散させるため、パブリッシャーに出向くのが常だった」と、話した。
一方で、同氏は「しかし、パブリッシャーはデータやテクノロジーを自らの手に絡めつつある。だから、このような広告枠を自社テクノロジーで提供できるようになった。さらに、データドリブンのターゲティングとダイレクトセールとを結びつけることだってできるかもしれない」と、「ブルームバーグ」の新しい試みを評価した。
Lucia Moses(原文 / 訳:南如水)
photo by Thinkstock / Getty Images