政治ニュースサイト「ポリティコ(Politico)」は7月17日、サブスクリプションサービス「ポリティコ・プロ(Politico Pro)」の新製品を発表した。今回の新製品は、2010年にサイドプロジェクトとして誕生した同サービスが、いまでは同社の年間収益の半分を生み出すまでに成長したことから生まれている。
政治ニュースサイト「ポリティコ(Politico)」は7月17日、サブスクリプションサービス「ポリティコ・プロ(Politico Pro)」の一連のアップデートと新製品を発表した。ポリティコ・プロには、議会を通過する法案の進捗状況を追跡する「レジスレイションコンパス(legislation compass)」や、現在幅広い分野で展開されているデータを視覚化するプロダクト「データポイント(DataPoint)」などが含まれている。
今回発表されたポリティコ・プロの新製品は、2010年にサイドプロジェクトとして誕生した同サービスが、いまでは同社の年間収益の半分を生み出す200人体制の事業にまで成長したことから生まれている。ポリティコは過去3年間、売上高が前年比で30%増加し、顧客数の更新率は90%を維持しているという。
「たくさんのパブリッシャーが『トランプ・バンプ(トランプ旋風)』の恩恵を受けているが、その勢いは衰えつつある。我々のやり方は違う。プロは贅沢品ではない。プロは我々のサブスクライバーが自分たちの業務を遂行するために必要なツールだ」と、ポリティコのバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーであるボビー・モラン氏は述べる。
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驚くほど貴重な読者
デジタルメディアの標準と比べると、プロを利用するオーディエンスの規模は小さい。モラン氏によれば、3000万の月間ユニーク訪問者のうち、わずか2万しかプロのコンテンツを読んでいないという。
しかし、これらの読者は驚くほど貴重な存在だ。5名まで利用可能なプロの有料購読契約は、8000ドル(約89.7万円)。組織での有料購読契約はさらに高くなる。プロが2010年に導入されたとき、同じ有料購読契約の費用は2495ドル(約27万9900円)だった。
「実は割安で市場導入を行った」とモラン氏はいう。しかし、当時はいまと比べて提供するコンテンツが少なかったのも事実だ。2010年の導入当初、プロが取り扱う議会分野は3つだったが、現在16にまで拡大している。また、議会調査部報告を配信したり、議員名簿や、ワシントンだけではなく、プロが貢献しているほかのいくつかの州都で予定されている公共政策のイベントカレンダーも更新したりしている。
プロダクトチームの方針
プロのプロダクトチームが有料購読契約に追加される可能性のある新製品を特定しようとするなかで、どれだけの数のプロの有料購読契約者が、既存の製品を有用であると感じているかを把握しようとしている。有益だと感じる人の割合が50%未満の場合は、スタンドアローンプロダクトとして導入される。50%以上が有益だと感じている場合、コア製品に取り込まれ、価格も上がる。
プロは現在、3500を超える顧客が増え、報道対象範囲も拡大するにつれて、その取り組みの有効性を評価するために、より多くの方法を模索している。3カ月前に、フィードバックツールがプロのコンテンツの下に追加され、特定の記事について読者が有益だと思ったかどうか意思表示することが可能になった。「我々のアカウントマネジャーたちが持てるインタラクションは限られている」と、モラン氏は語る。
高い更新率の維持が最優先事項なので、業務チームと編集チームは、週に一度集まり、同じ目標に向かって協力し合っている。部門間に「ファイアウォール」が存在し、業務チームが編集チームに対し、何を報道するのかについて口をはさむことはないと、モラン氏が強調する一方で、プロの顧客基盤が関心を持つ話題について、多くのやり取りが交わされている。
取りこぼしている市場
プロが提供する情報は専門的なものかもしれないが、取りこぼしている市場が残っているとモラン氏は考えている。プロの有料購読契約を政府のコントラクター、政府系機関、アメリカ政府を注視する企業に対して売り込むことに集中してきた数年、そして現在、プロの販売チームは、高等教育機関やヘッジファンドのような金融サービス企業をターゲットにしている。
「おそらく5000ほどのヘッジファンドがプロの有料購読契約を結ぶ可能性がある」と、モラン氏は語った。「それに加えて、おそらく2000の高等教育機関も可能性がある」。
「ハイエンド市場では大きな成長が見られ、これらの顧客をターゲットにするのがより理に適っている。ロングテール理論が成り立たないといっているのではない。しかし、我々は狭くてニッチなオーディエンスにより焦点をあてている」と、モラン氏は述べた。